PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

SONY RX1 / SHOOTING REPORT vol.1 vol.2 vol.3

「ソニーがフルサイズのレンズフィックス出すらしい」編集部にこの情報が入ってきたとき、メンバーの頭に浮かんだのは「??」。「フルサイズなのにレンズ交換できないの?」と。恐らく同じように感じられた方々も多いのではないかと思います。というわけで、個人的にもテストが大変楽しみな1台でした。これまで、大判センサー搭載・レンズ固定式の各機種についてレポートして参りましたが、これらは全てAPS-Cサイズのセンサーを搭載しています。RX1は35mmフルサイズ。バックフォーカスが短く、Carl Zeiss Sonnar 35/2を搭載。試写せずとも画がよいのは想像つきますが、それは一体どのぐらいなんだ??と、1日半ほど撮り歩いてみました。作例と共にインプレッションをお届けしたいと思います。

( Photography & Text : K )

これは…かなりの破壊力。

絞り開放から文句のつけようのないほどにシャープ。男性の手は原寸でも皺一本一本まで見事に繊細に解像しています。見慣れたクロップの無い35mmの、絞り開放の画です。多種多様のレンズがマウントされるわけでは無く、このセンサーのためだけに開発されたレンズであり、きっと我々が考える以上にこのアドバンテージはあると思います。最高に贅沢な話ですが、画も実に贅沢な写り。

通常は30cm程度まで寄れるのですが、レンズ鏡銅前側に配置される切り替えリングを回すことで、最短約20cmまで撮影可能。大変美しいボケ味、「無理矢理寄れるようにしました」といったなんちゃって感(?)なんて微塵も感じさせないこの写りです。AFは同じくフルサイズのα99と同等若しくは高速に感じます。上のカットのような近接撮影でも、AFでかなりの歩留まりで捉えられますが、MFで追い込んだ方が確実かもしれませんね。しかし美しい写りです。Carl Zeissといえば、たとえばハッセルブラッド用レンズなどの影響で、むやみやたらに「寄らせない」なんてイメージが個人的に凄く強いのです。昨今は様々なチャネルのレンズを送り出し、切り替えリングで10cm最短が縮むなんて機能が載っかること自体、時代の流れを感じますね。余談でした。しかし、35mmレンズでこの10cmの差は大きいです! 寄れないより寄れた方が断然よいですよね。

カメラを試すときに、まず最初に撮るのがこんなカットです。ドラマチックな光よりも、フラットな光でアンダー気味に撮影。季節季節の光の色があって、長袖一枚では少し寒さを感じるこの季節の光が写るか。ISO800までゲインアップしていますが、コントラストが高くなったりして画がガサついたりすることもありません。ゆっくり流れる時間が写るような。踏み込まれた床、積み上げられた冊子のビニールの質感、よく現場の雰囲気が再現されています。


遠景を開放で撮っても切れ味抜群の写り

近接のよいレンズは無限側が甘く、その逆もまた然り。「まあレンズってのはそういうもんでしょう」と思うのですが、本機に搭載されたSonnar35/2は、開放で遠景を撮ってもビックリするぐらいよく写ります。樽型の歪曲収差と周辺光量落ちはありますが、前者は嫌であればカメラ本体のメニューまたは付属のRAW現像ソフトで解決できますし、後者は絞り込む、若しくは、こちらも現像ソフトで解決可能です。しかし、歪曲収差も周辺光量落ちも補正をかけないほうが何となく佳いんですよね。歪曲を補正すると確かにビシっと線は真っ直ぐになりますが、どこか平面的。補正機能を使わないと、被写体によっては若干歪曲を感じますが、どことなく「レンズっぽい写り」なのです。レンズ通して写してるのですから変な表現ですが。そんな話はともかく、ギミックに頼らなくてもレンズそのものの描写性能は、そもそも素晴らしいのです。絞るのが勿体ないぐらい、開放からよい写りです。

2段絞り込んでF4。もう十分です。シャープさを求めて絞るのではなく、ピントの深度を取るために絞り込むといった様相。それぐらい開放から画のキレは変わりません。RAW現像からの画像ですが、暗部も潰れきらず、ハイライト側もよく粘ります。RAW+JPGで撮影していますが、JPGの画のデキも素晴らしいです。殆どJPG撮りっぱなしの画で十分だと感じます。


コンパクトでマニュアル撮影に耐えるボディ+35mm。スナップが楽しい!

「フルサイズセンサーと固定式レンズ」しかもコンパクトデジタルと変わらないボディサイズというだけで、かなりの意欲作です。焦点距離を何ミリにするかということで議論は無かったのかなあと思いつつ、パッケージから出して試写に出かけたわけですが、通常使用で最短30cm、マクロ切り替えで20cmと寄れるので、35mmで正解かなあと個人的に感じます。これは人それぞれだと思うのですが、40mmぐらいだと潰しが利くというか、使いでのある画角だと思うのです。普段使いに50mmだとたまに窮屈に感じ、35mmだと広すぎる時も。その中間をとって40mmと。しかし一眼レフ用単焦点レンズがおおよそ焦点距離と同じ距離ぐらいしか寄れません。たとえば35mmなら35cmといった具合です。本機に搭載されるレンズが寄れるのもあって「広ければ寄っちゃえ」と割り切れてしまいます。あと、コンパクトな上に、露出補正ダイヤルが軍艦部に鎮座していたり、カメラそのものの操作性が、マニュアル露出やマニュアルフォーカスに十分配慮された構成になっています。35mmが苦手な筆者でも、バンバンとシャッターを切る気になってしまうのですから、このカメラが持つパッケージングは面白いですよね。もちろん「画がよい、レンズがよい」というのが何より大きな後押しになります。実際に撮っていて本当に楽しいカメラでした。

上のカットは、見たまんまを再現するためにかなり大胆にプラス補正で撮影しています。デジタルカメラにとっては厳しい条件ですが、アンダーに振った画もよいですが、オーバー目もまたよいです。飛んでも構わないと決めた露出ですが、実際は絶妙に飛んでません。この粘りはα99でも同じ事を感じましたが、大した物だと思うのです。

開放からこれだけキレると、こんなシーンでも開放で撮りたくなります。ピントは銅像で、座っている男性はフォーカスから外れます。50mmだと切り取り感がもう少し強くなりますが、この独特の画面構成は35mmの世界ですよね。ここで一点。開放時はシャッター最高速が1/2000。F5.6以上で1/4000となるようです。ここまで写るレンズだからこそ、できれば開放でも1/4000が欲しいところです。絞りで最高速が変わるというのはレンズシャッターなのでしょう。

コンクリートの質感がよく再現されていますが、この立体感も素晴らしいですね。

通りかかった郵便局の中をウインドウ越しに。通りかかった人達はさぞかし変な人と思ったことでしょう。

かなり強烈に差し込むサイド光。フレアが出てくれればいいなと、フードを取り外して撮影。コマーシャルの撮影ならともかく、フレアなんかは出てくれた方が、その場の雰囲気がよく出ますよね。出過ぎてそもそもの描写を阻害するようじゃ困りますが、元々が優秀なレンズですからこんな具合に。

いまの季節は本当に光が美しいですよね。クリアで真っ直ぐで。それを本当によく捉えてくれるレンズだと思います。

上野公園にて。開放ではなく少し絞りたいところですが、背景がうるさいので開放で。

いかがでしたか。もっと沢山カットはあるのですが、今回はこのあたりで。2ndレビューも準備中です。ご期待ください。


手のひらに、抜群の写りの35mmとフルサイズを。

最初にRX1の出で立ちを写真で見たときの印象は「ちょっとゴツいかなあ」と半ば”力み”を感じたデザインでした。しかし、ちょっと写真写りが悪いかも…です。コンパクトデジタルと大して変わらないサイズのためか塊感があり、レンズが強調されたシンプルなデザインということもあって、実際に手にするとコロっと「かっこいいよ!」なんて編集部内で言ってしまう自分が。「SONY」というブランドイメージとロゴからか、鏡銅根元のオレンジリングのせいか、どことなく高級なビデオカメラを見てるような気もします。いわゆる”よい物感”はプンプンで、手の平で遊ばしているだけでも楽しいボディです。

さて、35mmフルサイズでレンズ固定式。α99と変わらない価格。このあたりから「う〜ん」と思ってしまう方も多いのでは。しかしセンサーに最適化された抜群のレンズがマウントされ、画質にも大きなインパクトを与える、余裕のある画素ピッチを持つフルサイズセンサーを搭載するわけで「究極のコンパクトデジタルカメラ」と言えるでしょう。使用していて印象的だったのは、フルサイズだろうが何だろうが、当たり前のような話ですが、コンパクトデジタルカメラを使うときの作法と同じだということです(同時に大変なことだとも思いますが)。つまり使っていて本当に気楽。よいカメラを使っている時の、独特の高揚感もあります。この究極さが欲しい方にはたまらない1台だと思います。

近日中に2ndレポートをお届けする予定です。ガリガリと使ってみて感じたこと、気づいたことなどを作例と共にお伝えしたいと思います。どうぞお楽しみに!

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いやはや、なんてことをしてくれるのでしょう。ソニーらしいと言うか、流石ソニーというか。この間、α99とレンズを買ったばかりなのですが、悩ましい。もう少し早く機会が来ていれば…。

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RX100と共通のバッテリー。「え?持つの??」と思いますよね。作例撮影という極めてカット数の多い使い方をして、おおよそ半日ちょっとといったところでしょうか。予備は持っておくに越したことは無い、そんな印象です。

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フードはレンジファインダーカメラ用な出で立ち。レンズの先端保護にも。

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なかなかしっかりしたケースです。

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