SONY α99 | SHOOTING REPORT

ソニーがα900を世に送り出して、ちょうど4年。デジタルカメラの世界において4年間とは、ある種途方も無い時間です。そして新たにリリースされたフラッグシップ機「α99」は、なんだか何もかもが違うカメラになったような気がしますよね。画素数据え置きで画質アップを図ったというセンサー。光学ファインダーからEVFへ。AFの高速化。ムービー機能搭載。防塵・防滴設計、等々。挙げればキリがないくらい数々の進化を遂げたようです。ソニーが4年越しで新たに定義したフラッグシップを紐解きつつ、実力の程を作例と共にお届けしたいと思います。

( 写真/文:Y.Moriki )

画の次元が一つ上がった、そんな印象を与える階調特性と解像力

まず感心させられたのは、メーカーがアナウンスするとおり「画のリアリティ」についてです。上のカットを見ると、海水に濡れた岩の表面の細かな質感、弾ける飛沫の一粒一粒の立体感、大きくうねる波の塊の重量感。肉眼で見た光景がそのままに描かれている印象です。いや、肉眼以上でしょうか。実に緻密にディテイルをキャプチャしているのです。筆者はα900ユーザーでもありますが、画素数といった基本的なスペックが変わらないのに、ここまで違うものかと少々驚きました。当時α900に粗を感じつつも「135ライクなデジタル一眼もここまで来たか・・・」と、その非凡さに感心したものですが、いやはや4年の歳月は重いものなのですね。1画素が受けとめられる光量を増やしたり、ノイズ処理を改善したりと、言葉では簡単に言えてしまうことですが、実際には開発陣の並々ならぬ努力や苦労があったことと思います。・・・なんていきなり開発陣の皆さんに思いを馳せてしまうほどに、画の次元が上がっている、そんな印象です。

α900と大きな違いを感じたのが、この階調特性です。ハイライトからシャドウ部に至る全体の階調がとても豊かになりました。朝日が上ったばかりの空のグラデーション、窓越しに見る明るい外の景色から、室内の暗く落ち込んだ壁や床に至るまで、幅広いレンジを実に上手くまとめ画に落とし込んでいるといった印象です。

階調についてのお話をもう少し。上のカット左側を(JPGで撮影)、後処理で試しにかなり明るくしてみたのです。アスファルトに落ちる影を捉えようと、かなりアンダー目に撮影してみたのですが、シャドウ部はほぼ黒く潰れていました。ここから後処理を行ったとしても、当然ディテールが出てくるとは思っていなかったのです。ところが画像処理ソフトで持ち上げてみると、路面の点字ブロックや店のドアの色、左奥にある立て看板の文字にいたるまで、細部がよく判るほどに階調が残っていたのです。α900を使ってきた経験からは、ただただザラついた画像になってしまうと予想していたのでとても驚きました。なんだか画に"厚み"を感じるのですね。階調特性がここまで違うと、画の何処が違うといったことよりも、一つ次元が変わったと感じると思うのですが、最初にα99の画を見た印象は全くそのとおりでした。

階調特性のよさを感じられるカットをもう一つ。少し溶けた氷の表面の描写が前後のボケとともに、とてもナチュラルに表現されています。まるで氷の表面やグラスの淵に触れたときの感触まで伝わってくるようです。絞り開放での撮影ですが、レンズ描写の素晴らしさも手伝って、嬉しくなる画を見せてくれました。

画の次元が上がったと感じた要因は、遠景の描写でも垣間見ることができます。展望デッキの分厚いガラス越しの写真ですが、そんなものは意に介さずといった勢いで、かなり遠くの建物の細部まで描写しています。新開発のローパスフィルターの効用が大きいのでしょう。甘くなりがちだった細かい線や面をしっかりと描写しています。さらに、ビルの壁面にありがちな格子模様などで偽色やモアレが発生しがちでしたが見受けられません。ともかくこのチューニングの完成度が、進化というものを感じさせてくれますよね。

解像力そして解像表現力、階調特性の良さがシンクロすると、こんな画になるんだなあと感心しました。ともかく画にキレがあるのと同時に、パン!と飛んでしまいそうなハイライトをいなし、空のグラデーションをそつなく描き、シャドーにも”眠る階調を見せる”。何と表現すればよいだろうと色々考えてみたのですが、「よくできたプリント」といった感じなのですね。豊富な階調特性のネガフイルム、そしてプリントの硬さがシンクロすると、ちょうどこんな感じになるのですね。だんだんこんな表現も通用しなくなるのかなあと思いつつ。でもまさに、そんな感じなのです。

 

まったく別物になったAF、すんなり腑に落ちたEVF

αシリーズのアイデンティティでもあり強力な武器とも言える、トランスルーセントミラー・テクノロジーによってAFのスピードが格段に向上しました。そもそもミラーやAF周りの構造が全く違うわけでα900とは単純比較できないのですが、α99ではさらにAFセンサーにさらにテコ入れし、合焦の速度と精度の向上を図り、フラッグシップに相応しいAF性能を発揮していると感じました。今回、時間の都合上多くを試せなかったのですが、さすがに百発百中とはいかないものの、思った以上に、かなりの「速度」と「精度」で動く被写体に追従してくれました。 構造上、当然ファインダーはEVFになるわけですが、ミノルタ時代から受け継がれたアキュートマットを採用した、α900の明るくピントの合わせ易い光学ファインダーとの決別は、受け入れ難い向きもあるのではないでしょうか。しかし、光学ファインダーに慣れ親しんでいない方がこのEVFを覗き込むと、わりとすんなり受け入れられるのではないかと感じます。それぐらいのデキの良さを感じるのですね。それはつまり「やっぱり光学ファインダーでなきゃ!」といった方にも、かなり説得力のあるファインダーであると思うのです。ぜひ機会があれば店頭で覗いてみてください。「へぇ〜」と感心するかも。EVFのメリットに目を向けると、ピントやボケの具合を確認できるのは当然として、露出や色温度等の設定を反映した結果をまさにライブで確認できるのです。さらに、暗い中や逆に強い光源が画角に入っている様なフレーミングもままならない様な状況下でも、EVFならフレーミングもピントの確認もスムースに行うことができるのです。これがどれだけ現場で撮影に確信をもたらしてくれるか(当たり前の話ですが)。徹底的に撮り込む方ならその恩恵はおわかりいただけると思います。光学ファインダーの変わらぬ魅力、そしてα99のEVFのデキの良さ、EVFのメリット、これらを机の上に並べてみて「う〜ん」と考えてみる。なんてことをする前にロケ撮影だったわけですが、正直なところファインダーがどうのというよりも快適な撮影でした。つまり、カメラ全体のパッケージングで、快適と感じさせられたわけです。この先は、皆さんぜひ経験してみてください、としか言えないといったところです。

 

実用範囲の広がった高感度特性

最後のカットは高感度(上の写真はISO 3200)での夜景の撮影です。 ISO 25600という超高感度は、さすがに緊急用といったところだと感じましたが、それでも随分と写るようになったものです。実用的な範囲としてはISO 1600やISO 3200くらいでしょう か。ISO 100 と比較してしまえば当然ノイズも見受けられますが、十分な写りと言えるでしょう。手前の建物の床面や照明などの立体感、そして海面を隔てて、東京タワーが見える向こう岸までの奥行き感の表現力には目を見張るものがあります。 いずれにせよ、フルサイズセンサーを搭載したαに、高感度特性の良さが加わりました。

 

気がつけば、次の一眼レフの姿を最も追った形を見せられている、そんな「フルモデルチェンジ」

まずα99のインプレッションを締めると「ともかくよく写ります」。月並みで大変申し訳ないのですが。。。α900ユーザの皆さんが買い換えられても不満は出てこない進化を存分に感じられると思います。新たにαユーザとなり、フルサイズ版のモデルを待たれていた皆さんにも自信を持っておすすめできます。そして、前衛的なソニーの一眼レフに魅力を感じつつも「どうなんだろう??」と様子見されていた皆さんへ。気がつけば、前衛的でギミックめいて見えていた独特のソニー一眼レフも、堂に入ってきた印象です。あらためてα99の画の良さ、そして独創のトランスルーセントミラー&EVFという一眼レフの新しいアピアランスがもたらす数々のメリットが高い次元でシンクロしだして来た、そんな印象で、こうなってくると、もはや新たな価値をまざまざと見せつけられている印象なのです。そして、もともと定評のあったミノルタ時代のレンズも含め、ツァイス銘の魅力的なレンズラインアップ等、システム全体でかなり「突っつかれる」魅力を放っていると感じます。まずは店頭で手にしてみてください。直感で面白そうだと感じる方には、写真表現において強力な1台となってくれると思います。

画についてのまとめると、こんな例えも今更どうかと思うのですが。フィルムを丁寧に(ハイエンドのスキャナで)デジタル化すると、2400万画素のデジタルカメラでは敵わないクォリティを秘めていたりするのですが、当然そこまでの解像度でスキャニングすればフィルム特有の粒子が見えてきます。α99の画を見ていて感じたのは、「粒子のないフィルム」の様だという事です。被写体の形や質感、 色やトーンはもちろん、光源の質までも克明に写し取っている様は、フィルムの様な深みと繊細さ、そして力強さを感じさせてくれました。これまで色々とエクスキューズのあったデジタルの画もかなりの次元に到達してきた、そんな印象です。長年、写真をやっているやっていないに関わらず、私たちが目にする「写真」は、フイルムの画がスタンダードなのです。これは実際問題、そうなのですから当たり前の話ですよね。それに慣らされた目で見て、グッと来る画を叩き出すようになってきたと感じます。4年分以上の進化を感じられる、そんな説得力のある画に仕上がっていると思います。

これまでの一連のαシリーズのラインナップと、そして今回のα99の登場。コニカミノルタから事業継承し、α900がリリースされた頃は「もう少しソニーらしくやればいいのに、少し伝統の前で大人しくない??」と感じたものですが、気がつけば、カメラのあり方を問うかの様なソニーの姿勢を見て、今後の展開までもが楽しみになってきました。面白そうだなあと感じていた皆さん、一度触れてみませんか? 編集部では、今後もα99のレビューを続行しますので、ぜひお楽しみに。

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やっと出てくれましたよね。お待たせしました。

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日頃はコンパクトに、必要に応じて縦位置グリップをつける。合理的だと思います。

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バッテリーの予備もぜひ。

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