RICOH GR, 1/250, F2.8, ISO100, Photo by K

RICOH GR | SHOOTING REPORT

さて、GRです。何度も当サイトの記事で書いているとおり、28mmは苦手なのです。苦手を通り越して「嫌い」とこの際書いてみましょう(笑)なにせ、目の前で視認している普通の視野がそのまま再現されてしまいます。これで「お!」なんて写真を撮るのは筆者の場合不可能に近いのです。つまり小細工が効かない。あの手この手の小手先で何とかしようとしても「真っ直ぐ撮れ!」とカメラ&レンズに跳ね返される気がするのですね。それにも関わらず、GR1Vから事始めに、デジタルになった歴代のGR DIGITAL全てを所有するというこの意味の分からない行動は、「RICOH GR」というカメラが "持つもの" に要因があるのです。「今度こそ!」と新しいGRが出る度に、28mmをキチンと使いこなせるようになりたいと買ってしまうのです。つまり本気で撮ってみようという気にさせられるカメラ故の話なのです。買って自分を追い込み、28mmを使いこなす自分を夢見る。そして毎回挫折するわけなのですが。そもそも論外な話なのですが「うんうん」と頷く方も多いと願いたい(笑)

そんな話はさておき。ついに大判センサーを搭載したGR。手にした印象は歴代のモデルより大きくなったとはいえ、まさにGR1と変わらない印象です。これに光学ファインダーが載ってフルサイズセンサーなら、純粋に感材を置き換えたことになるわけで、何だか少し感慨深いですよね。ポケットに入って、一級のレンズが載って、「撮る」人が愛せるカメラ。それがGRだと思いますが、使い道の一つで思いつくのは「旅」。今回超長距離ロケに連れ出してみることにしました。既にVol.01でインプレッションはお届けしていますので、大判センサーで実現できることにスポットを当てて撮影してみることとしました。

( 写真・文 : K )

RICOH GR, 1/125, F5.6, ISO100, Photo by K

個人的なデジカメチェック項目「澱が写るか」。本当にスカッと抜けた空気というのは実は稀で、天気の状態はともかく、たいていはヘイズあるのが日常。その雰囲気をそのまま写し込めるかというのは、デジカメの実力を計る上で大変分かりやすいのですね。階調が豊かでないと、眠い光景を撮ってもサマになりません。日没直後、少し露出はこれでも明るめに。暮れなずむ伊根の舟屋群(京都の丹後半島にある街です)。日没直後の雰囲気と、高いコントラストが両立して、見た目に忠実な印象です。

RICOH GR, 1/250, F5.6, ISO200, Photo by K

こちらは広島・尾道のロープウェイ乗り場から。切り詰め気味の露出ですが、曇った空の雰囲気がよく再現されています。山の木々も、これだけ切り詰めた露出でもトーンが残り、かつ量感を覚えます。この量感はローパスレスである故のシャープさによってもたらされるのでしょう。

RICOH GR, 1/250, F7.1, ISO100, Photo by K

こちらもデジカメでは難しいシーンの一つ。カラーネガフイルムで撮りたい光景ですね。フラットな光景です。それでもシャドーはきちんと落ち込んで、メリハリは感じます。海面の紋様がきちんと写り込むのは、シャープなおかげですよね。元来デジタルカメラは水ものの表現に優れているとずっと感じてきました。これは黎明期からです。しかし、海面の紋様までは写らなかったのです。肉眼で見えていながら写らない。ラチチュードの問題なら致し方ないかなと思いますが、解像の問題はやはり見過ごせないのです。だから、ここまで写ると本当に嬉しいですよね。ただの眠い画ではなくリアリティが伴う。新しいGRの実力を感じました。


RICOH GR, 1/640, F5.6, ISO100, Photo by K

28mmでは、ほぼ豆粒のようになってしまう船。しかし原寸で見ると船名まで見えてしまうかのような解像力です。
しかもこのサイズで立体感があるのだから、大したものですよね。

 


RICOH GR, 1/640, F5.6, ISO200, Photo by K

ただやみくもにシャープなだけでなく、線の細さが際立ちます。ハイライトはよく粘る傾向にあり、明るめの露出でも不安がありません。しかし橋桁といい、釣りをしているおじさんといい、立体的な描写で素晴らしいです。

RICOH GR, 1/2000, F5.6, ISO200, Photo by K

過去のモデルも同様のことを感じましたが、わりと素材性の高い画作りだと感じます。かなり見た目に忠実で、ヘイズはヘイズとして写り、スカッと抜けていればその通りに写る。実にナチュラルな画作りです。しかし比べるのがナンセンスですが、やはり大判センサーの威力は如実に感じます。

RICOH GR, 1/1250, F5.6, ISO200, Photo by K

少し絞り込んでいますが、接写の画も文句がありません。白い車のフェンダーにとまっていたテントウ虫。光の具合で白にも色んな白が画面内にあるわけですが、見事に再現されています。

RICOH GR, 1/640, F2.8, ISO200, Photo by K

相当ボケ味にも気を遣って設計されているのでしょう。バックのボケもなかなかのものです。ハイライト側の描写が滑らかで、このカットよりもハイキー気味の画にも向いたカメラなのではないかなと感じます。

RICOH GR, 1/2000, F2.8, ISO200, Photo by K

ワカメを干していたので、お願いして撮影させて頂きました。繊細な線を結ぶ様がおわかりいただけると思います。


RICOH GR, 1/500, F5.6, ISO200, Photo by K

朝の気持ちよい光。フレアが一番出るポイントを探してフレーム。
このメーカーさんに全く気を遣わないあたりがいかがなものかと思いますが、
こんな画はフレアが出てくれた方が雰囲気でますよね。

RICOH GR, 1/180, F5.6, ISO200, Photo by K

歪曲は本当にほんの少しだけ。これ初代からの変わらない美点ですよね。大変佳く抑えられた印象です。上の普通のガラス、下の紋様の入ったガラス、拭き残しと思われるガラスの曇り、窓枠の質感と、本当によく再現されているなあと感じます。

 


RICOH GR, 1/15, F2.8, ISO400, Photo by K

光を失う直前の空。部屋から窓越しに。

RICOH GR, 1/4, F16, ISO6400, Photo by K

高感度特性もさすがにセンサーが大きいだけあって余裕が感じられます。どれ、6400まで上げてみようと撮ってみたカットです。流石にノイジーですが、潰し方が巧く、現場でキッチリ露出を詰め切ればそれなりの画になります。※ISO6400で撮ったカットを後処理で・・・というのはあまり考えない方がベターです。後処理で触るならISO1600ぐらいまでに。

RICOH GR, 1/400, F2.8, ISO6400, Photo by K

こちらもISO6400。これでもカラーネガのISO1600相当ぐらいですよね。よい雰囲気の潰れ方じゃないですか??

RICOH GR, 1/180, F2.8, ISO200, Photo by K

歴代と比べれば"芯"だけ同じ。あとは別物のカメラに。

画作りのフィロソフィ、実際のその雰囲気と、歴代のモデルと同じ血を感じます。しかし、小指の先ほどのセンサーとAPS-Cサイズでは、やはり画のクオリティが根本的に変わってきます。歴代のモデルで難しかったシーンが捉えられて、それでいて目玉が飛び出るほど価格が違うわけでは無いのです。気になっている方にとっては悶々としてしまう存在でしょう。センサーが大きくなったことで、どうしてもAF駆動にパワーが必要となり、精度も高さが求められます。さすがに歴代のモデルほどではありませんが、不満は無いレベルでしょう。

しかしここまで写るようになるとトコトン「写したい」。ボディのルックスを考えれば、着脱式のEVFを用意して欲しかったなあと感じます。背面液晶OFFで、外付けの光学ファインダーはそれはそれでストイックで佳いのですが、歴代のモデルからすれば被写界深度も浅くなるわけです。いえ、そんなことはどうでもよいかな。説得力のある画を液晶で見てしまうと、できる限り撮影のハードルを下げ、撮り込みたいと感じるのです。自分の眼で見ている視野と液晶モニタに映る画には違いがあります(*1)。よってフレームする際に、自分の眼の位置までカメラを持ち上げつつ、少し下がって撮影すればよいのですが、もっとダイレクトに撮りたいわけです。このあたり手際よくやれるなら不要な話なのですが。。よって極めて個人的な欲求です。しかし、それもこれも写るが故の新たな欲求なのです。

ポケットに、カバンのほんの少しのスペースに「GR」。
カメラの使い勝手は、まさに「GR」のそれ。なかなか佳いチョイスだと思います。

*1 液晶モニタでのフレーミングがどうも苦手だという方は、ご自分の目元までカメラを移動して撮ってみてください。少し気が楽になると思います。

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センサーの大型化はより美しい描写と豊かな表現方法をもたらしました。あなたの世界を広げる新しいGR、ぜひお試しください。

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GR・GR Digitalシリーズ共通のバッテリー。備えあれば憂いなし、です。

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所有欲をくすぐるアクセサリーもちゃんと用意されています。このケースをつけて首から提げたところは様になりますね。

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ケースもこだわる方にはストラップにも。革でちゃんと揃えられます。

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