RICOH GR, 1/2000, F6.3, ISO200, Photo by Naz

RICOH GR | SHOOTING REPORT

その名もずばり、"GR"。センサーサイズを大きくAPS-Cサイズに替えて、GRシリーズに新しいデジタルカメラが生まれました。高級コンパクトカメラを牽引してきたGRシリーズは、古くはフイルム時代のGR1に遡りますが、今に至ってもそのアイデンティティが変わることはありません。広角単焦点レンズを搭載して画質と携帯性のバランスに優れた「撮る道具」としてのGRは、日常の世界を軽快にスナップできる頼もしいパートナーです。GR Digitalは沢山のユーザーに支えられて4世代までその完成度を高め、ハイエンドコンパクトという世界を切り拓いてきましたが、そのセンサーサイズを大きくしても"GR"のコンセプトを体現できる、そんな技術レベルに到達したということでしょう。GXR A16センサーなどで培われたローパスレスAPS-Cセンサーの技術もフィードバックされ、満を持して生まれた新生GR。スナップシューターならきっと大本命となる1台ですから、期待せずにはいられませんよね。

( 写真:Naz / 文:M.Ishizuka )

RICOH GR, 1/250, F2.8, ISO400, Photo by Naz

開放からシャープですがカリカリとした印象ではなく、近くの被写体にピントを合わせれば豊かなボケが得られます。ボケ具合も自然で美しく、積極的に開放で狙って行きたくなる優秀なレンズ。こういった画は、GR Digitalでは難しかった表現ではないでしょうか。


RICOH GR, 1/640, F4, ISO200, Photo by Naz

眼で見た光景を収めるのにぴったりな28mm相当の画角。気持ちよく伸びていく直線が嬉しいですね。
隅々まで破綻なく解像しますから、少し絞った撮影なら構図と瞬間に気をかければよく、スナップに集中できるというものです。

RICOH GR, 1/1500, F5.6, ISO200, Photo by Naz

センサーの大型化に伴い各種動作が遅くなるかと思えば、まったくそんなことはありませんでした。起動からAF合焦までテンポよくキビキビとした動作で、前モデルと比べても違和感なく使うことができます。その瞬間を狙うことこそスナップの醍醐味ですから、やはり疎かにできないポイントでしょう。メーカーの腐心を伺うことができます。

RICOH GR, 1/20, F2.8, ISO800, Photo by Naz

高感度耐性も向上し、ISO800〜1600は常用感度として利用できそうです。開放F2.8のレンズを搭載していますから、夜のスナップでも困ることはないでしょう。より高い感度ではさすがにノイズが乗ってくるのですが、それを表現のひとつとできるかは撮り手次第。ノイズを載せたモノクロなんていう使い方もいいですね。

RICOH GR, 1/3200, F8, ISO100, Photo by Naz

強烈な反射を受けた場面ですが、逆光にも強いレンズですね。強い光に引っ張られてアンダー目の写真になりましたが、却って暗部のディテールがよくわかるカットとなりました。作例画像ではわかりにくいかと思いますが、シャドウの階調もしっかり残っています。

RICOH GR, 1/1000, F2.8, ISO200, Photo by Naz

こういった質感溢れる描写は、GR Digitalとは一線を画すレベルになりました。開放は比較的柔らかい描写で、ボケ味も良好。マクロ撮影もできますから、街で見つけた小さな感動を収めておくにもぴったりです。

RICOH GR, 1/1000, F4.5, ISO200, Photo by Naz

35mm相当の画角にクロップできるモードを搭載し、28mm / 35mmどちらにも使える1台になりました。ワイドコンバージョンレンズをつければ21mmの画角になりますから、一粒で三度美味しいカメラと言えそうです。撮影スタイルやロケーション、その日のお好みに合わせて画角を選択してください。

RICOH GR, 1/400, F5.6, ISO100, Photo by Naz

 



小型化・高画素化が進むデジタルカメラ市場において、魅力的な選択肢は増える一方。スペックだけを考えれば、"GR"はなかなかにストイックな選択と言えるかもしれません。しかしミラーレス機ですら大きく感じてしまうパッケージは、使い慣れれば軽快そのもの。ポケットから無造作に取り出してシャッターを切る。そんな使い方ができるのはやはりGRだからだと思うのです。画にもインターフェイスにも決して派手な印象はありませんが、これこそがGRらしい姿と呼べるのではないでしょうか。安易な機能追加や形状の変化を良しとせず、あくまでGRであることを追求する。そんな姿勢を伺うことができます。

5世代目となる本機は、GR Digitalからセンサーサイズの変化という大きなアップデートを果たし、実質的に新しいカメラへと生まれ変わりました。それでも単焦点レンズという潔さ、シンプルな操作系、キビキビとした動作など、本シリーズの目指すものは常に明確で一貫しています。これこそが本シリーズの魅力であり、長く付き合える相棒としての説得力だと言えるでしょう。脈々と続くGRシリーズの最先端にあり、これからも磨かれてゆく存在。新しいGRをどうぞお試しください。

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待望のAPS-Cセンサー搭載のGR、いよいよ発売です。

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本格的に撮られる方はスペアバッテリーもどうぞ。GR Digitalシリーズでも共用いただけます。

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本体から直接USBで充電できるようになり、バッテリーチャージャーは付属しなくなりました。スペアバッテリーをお求めの方はこちらもお忘れなく。

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GR標準の28mm、クロップモードの35mmに加え、こちらのワイドコンバージョンレンズで21mmの画角が手に入ります(それぞれフルサイズ換算)。

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