PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/200, F9, ISO 100, Photo by Z II

PENTAX KP / SHOOTING REPORT

ペンタックスから驚くべき新モデルが登場しました。APS-Cサイズの新しいCMOSセンサーを搭載し、撮像画素数は約2,432万画素。PENTAX K-70の上位機種ともいえるモデルです。画像処理エンジンにはK-1と同様の「PRIME Ⅳ」を採用。さらにアクセラレーターユニットを搭載することでハイレベルな画像処理を高速で行うことが可能になっています。もちろんリアル・レゾリューション・システムも搭載した、いわゆる「ペンタックスの全部入り」であります。ちょうど1年前に待望のフルサイズ一眼レフ「K-1」が登場し、これで燃え尽きてしまわないかと心配していましたが、APS-CクラスにもK-1の血統を継ぐフラッグシップ相当のモデルが登場しました。その外観からもその血統を感じさせます。高感度性能など我々ユーザーの想像を超える驚きを用意してくれたようです。とにかく作例を見ながらその実力を検証していきましょう。

( Photography & Text : Z II )

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まさに小粒の「K-1」 小さなフラッグシップ。

ボディのサイズと重量はともにAPS-Cクラスのフラッグシップ機であるK-3II(800g)より少し小さく、K-70(688g)よりほんの少し大きい703g。ちなみにK-1はドンと1kg超え(1010g)となっています。しかもKPはセンサーサイズこそAPS-Cですが、性能ではK-1とほとんど肩を並べていながらお値段は約半分と、現実的な選択肢として非常に魅力的ではないでしょうか。カメラを手にした感じでは、男性なら小指がやや余るくらい、女性ならしっかりホールドできるぐらいの大きさ。こちらの写真では標準装備のグリップSが装着されていますが、手の大きい方やマウントするレンズの大きさに合わせてしっかりホールドしたいときには、別売で専用の交換グリップが2サイズ(M、L)用意されています。今回はグリップSとMの違いを試しながら撮影しましたが、私にはグリップMを装着した方が手のなかに収まる感触が格段によかったです(購入された方はぜひおためしください)。余談ですが、グリップ交換のアイデアや取り付け金具の形状で往年のLXを思い出しました。

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/1250, F8, ISO 100, Photo by Z II

流れる雲に太陽が隠れた瞬間をサッと撮ることができました。雲の質感やハイライトや放射状に伸びる光芒、手前のビルのシャドウ部もしっかりと解像しています。PENTAX KPは軽量コンパクトなだけでなく、スリープ状態からの立ち上がりも速いので素早く撮ることができました。

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/125, F5, ISO 100, Photo by Z II

冬の日本のいたるところで見かける椿は色彩の少ない冬場には格好の被写体です。しかも赤という色はデジタルカメラでの色再現が難しいので、カメラの力試しにもうってつけではないでしょうか。しっとりとした色や質感、おしべの細かさ、葉の艶感の描写も申し分ないです。

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/25, F5.6, ISO 400, Photo by Z II

光の弱い条件でも三脚を使えないシーンはよくありますよね。このような細工の細やかさを表現したいカットでは少し絞って撮りたいところですが、手ブレが心配ですよね。でも大丈夫です。PENTAX KPは角度ぶれ、シフトぶれ、回転ぶれにも対応するボディ内5軸手ぶれ補正機構「SR II」(Shake Reduction II)が搭載されています。メーカーデータでは最大約5段分の補正効果があるとのことなので、作例ではISO400まで上げ、F5.6、1/25秒に設定し、天蓋(てんがい)の繊細な装飾や柔らかに光を反射する金の色味など、意図した通りに撮ることができました。限られた条件のなかでも見せたいところをしっかり写せると嬉しいですね。まさに手ぶれ補正ありがたやです。

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/10, F5.6, ISO 100, Photo by Z II

縦横に直線がのびる建築物の撮影では絞りを少しでも絞り、なおかつできるだけ低感度でたいところです。こちらはISO 100でF5.6、1/10秒で挑戦。脇を閉め息を止めて撮ると、しっかりと止めることができました。


PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/320, F4, ISO 12800, Photo by Z II

常識を破った超高感度撮影。

冒頭でお伝えしたとおり、PENTAX KPの最大の特徴ともいえるのが超高感度での撮影。これは新しいCMOSイメージセンサーと画像処理エンジンPRIME IVとアクセラレーターユニットの採用によってハイレベルなノイズ処理が実現でき、さらにISO感度設定の上限をISO 819200まで大幅に拡大できたということです。上限が増したことで高感度に余裕ができ、いままで常用としては厳しい面もあったISO 6400などでも撮影が可能になりました。こちらの作例はなんとISO 12800での撮影。若いバンドグループのライブシーンを撮らせてもらいました。少し前なら考えられない超高感度での撮影ですが、ご覧の通りノイズも少なく驚くほどなめらかですよね。一見しただけでは超高感度とは思えないほどです。ズームレンズを使ってもシャッタースピードは1/320秒の速さで切ることができましたので、手ぶれも被写体ぶれも気にせず昼間の野外ライブのごとく撮影ができるのはありがたいですね。「HD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE」などの望遠ズームを装着し、開放値がF6.3でも手ぶれを気にすることなくボーカリストの表情やギタリストの手元までも狙えそうです。

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/125, F3.5, ISO 51200, Photo by Z II

こちらはISO 51200。このあたりになるとさすがに多少のノイズが見えますが十分にシャープです。

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/400, F2.8, ISO 102400, Photo by Z II

感度をさらにあげてISO 102400。さすがにノイズが目立ちますが人間の目は確実に超えていることが伝わると思います。使ってみた感じではISO 25600までなら常用できるレベルではないでしょうか。それ以上のISO感度での撮影ではノイズが目立ち始めるという印象ですが、どんなに暗い場面でも写るわけですから、十分すごいことだと思います。

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/10, F2.8, ISO 100, Photo by Z II

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/800, F3.5, ISO 1600, Photo by Z II

もうこうなったら夜だろうが室内だろうがどんどん手持ちで撮りましょう。夜だからこそ撮れる被写体は意外とあるものです、日が暮れてからも臆することなくPENTAX KPを連れ出しましょう。

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/250, F4, ISO 3200, Photo by Z II


PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/13, F10, ISO 100, Photo by Z II

暦の上では春になりましたが少し内陸に踏み込めばまだまだ景色は冬。撮影日の気温は-5度。メーカー耐寒性能は-10度となっていますので、およそ1時間の撮影でしたが何の問題もなく使用できました(これ以上の気温はなかなか関東圏では試せません)。カメラマンにとっては厳しい気温でしたが、三脚を据えてじっくり撮ることができました。ペンタックスのカメラではお馴染みとなった「リアル・レゾリューション・システム」の写りにゾクゾクしてください(画像のクリックで等倍画像をご覧頂けます)。


PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/160, F4, ISO 100, Photo by Z II

PENTAX KP, HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR, 1/640, F2.8, ISO 100, Photo by Z II

昼も夜も雨でも雪までも。

さて、困りました。これまでのモデルでも屋外の撮影では悪天候ももろともせず無類の強さを誇っていたペンタックスのシステムですが、手ぶれ補正の強化や超々高感度撮影まで可能に。つまり上位モデルとの差がほとんどなくなってきたわけです。こうなってくると一体どれを買えばいいのか悩ましいところですよね。PENTAX KPのセンサーサイズはAPS-C。フルサイズセンサーのK-1よりはずっと軽量コンパクトですから、重量を少しでも減らしたい登山やトレッキングなど、アウトドアフィールドに持ち出すカメラとしては最良の選択肢のひとつになるのではないでしょうか。もちろん本気の風景撮影ならK-1には少しだけかないませんが、サブ機としても十分なスペックですから、もっと日常のシーンに気軽に持ち出せる仕上がりのカメラです。さまざまな性能を総合してみると、現時点ではペンタックスのAPS-Cクラスのフラッグシップ機と言ってしまっていいカメラだという印象を受けました。

実際にボディを手にしてみるとギュッとした塊感があり、マグネシウム合金製のボディが持つ高い剛性感は「いいカメラを手にしている」という実感に繋がり嬉しくなります。また、軍艦部周辺に配置されたダイヤルがアナログ主体のカメラらしい操作感があり、各所のボタンも立体的な形状でグローブをした手でも確実な操作ができるところも頼もしく感じます。もちろん一眼レフですから、視野率100%で見えもよい光学ファインダーも撮影意欲を高めてくれる大きなポイントです。

季節は春めいてきましたがPENTAX KPは防塵防滴耐寒仕様になっていますから、春スキーや登山でも大いに役立つカメラだと思います。例えば、簡易防滴構造の「smc PENTAX-DA 18-135mmF3.5-5.6ED AL[IF] DC WR」あたりをつけっぱなしにしておけば、強力な手ぶれ補正と高感度性能によって、広角から望遠まで昼でも夜でも活躍してくれますね。ぜひ一度、触って撮ってペンタックスの新しい春を感じてもらえたらと思います。

( 2017.02.28 )

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驚きの高感度性能、K-1譲りのスタイリングと多彩な機能。APS-Cクラスの全部入りと言える頼もしいモデルの登場です。

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こちらはシルバーモデル。クラシカルなシルバー鏡胴のレンズとの相性もバッチリです。

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スペアバッテリーもお持ちになると安心です。

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本体付属のグリップと同等品です。

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こちらはMサイズ。がっしりとカメラを構えたい方に。

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こちらはLサイズ。手の大きな方の他、大きなレンズ・重いレンズを多用される方におすすめです。

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専用のグリップも登場。縦位置撮影の多い方はお忘れなく。バッテリーは「D-LI109」と「D-LI90P」の両方がお使いいただけます。

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こちらは専用のバッテリーグリップでお使いいただける大容量バッテリー。※本体ではご使用いただけません。

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今回の作例撮影で使いましたLimitedレンズ。ズーム倍率は低めに抑えられていますが、単焦点レンズに匹敵する高い描写力が自慢です。

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こちらはシルバー鏡胴。美しいシルバーの金属鏡胴のレンズです。

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