PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Nikon D610 / SHOOTING REPORT

いつかは手にしたいフルサイズセンサーのボディ。フラッグシップのD4、高画素のD800/D800Eにつづくラインナップとなる「D610」は、コンパクトなボディに視野率100%の光学ファインダーを搭載し、フルサイズの世界をぐっと身近にしてくれる1台です。D600の発売から1年を経て登場したモデルということでスペック上の大きな変化はありませんが、連写性能やオートホワイトバランスの向上、静音撮影モードの搭載など、ユーザのフィードバックを反映した細かなアップグレードが図られています。連射性能や静音撮影モードについてはミラー動作を独立させた専用の駆動機構によるものということですから、メカニカルの改良も含めて完成度を高めたモデルと考えて良いでしょう。フルサイズボディの裾野を広げ、写真撮影の楽しみを更に増してくれる。いよいよフルサイズに手を伸ばしたい方にも、軽快な最新ボディに興味のある方にも、見逃せない1台の登場です。

( Photography : M.Ito / Text : 48 )

24メガピクセルのフルサイズセンサーがもたらす、精細で階調豊かな世界。

2426万画素のフルサイズセンサーが描き出す世界は緻密で精細。画素数だけで言えばD4を凌ぐもので、これだけの精細さがあれば一般的な用途において不満はないでしょう。単純な解像力/シャープネスだけではなく、この画素数によって生み出される濃密なトーンが画のクオリティを一段高い世界に引き上げています。もちろん豊かな階調やダイナミックレンジの広さなどはフォーマットによるアドバンテージもあり、D4/D800シリーズと同様の画像処理エンジンも搭載して、D610の画が上位モデルに引けを取るということは全くありません。センサーサイズが大きければ画素ピッチに余裕ができますから、同じ画素数でもAPS-Cやそれ以下のフォーマットに比べ、懐の深い画が得られるというわけです。

オートホワイトバランスの進化によって、難しいコンディションでも自然な色再現が得られるようになりました。単純に白が白に見えるようなホワイトバランスでは、こういった光の雰囲気は損なわれてしまいますよね。ロウソクや白熱灯の光など、程よく色を残したホワイトバランスで、まさに人の目に見える世界を紡ぎだしてくれます。

スポットライトのように階段を照らす、窓からの光。電灯で照らした先ほどの画とは変わって光は白く捉えられ、緑の葉の色もごく自然な色合いです。輝度差の大きいシーンですが階段から壁へと光量の落ちる部分もしっかりとトーンが得られています。JPEGの画をそのまま持ち上げても色が浮かび上がってくる粘りがあり、大きなセンサーゆえの余裕というものを感じます。

いかがでしょう、この表現力。黄色や赤色の花でも質感豊かに捉えるのは、センサーの余裕のなせる業です。本稿に掲載している作例は基本的にJPEG撮影されたものですが、そのままでも自然な色合いとクリアな描写が得られ、まるでポジフィルムをライトボックスで眺めているような印象を持ちました。


広いファインダーと軽快な操作感に、シャッターも自然と増えてゆく。

リッチな画もさることながら、フルサイズボディの魅力は光学ファインダーを覗いたときに最も実感できるのではないかと思います。光学ファインダーの大きさはセンサーサイズに等しく、単純に言って広いのです。被写体を切り取りピントを追い込む行為が、広くクリアなファインダーによって一層の歓びに変わるでしょう。コンパクトなボディを手にして歩きまわり、気持ちよく切るシャッターのひとつひとつが、撮影者に充足感を与えてくれるはずです。スペックでは測ることのできないこういった要素は、この光学ファインダーや確かなボディに触れて初めて感じられる世界。35mm判フイルムカメラの時代から培ってきたニコンの技術は、こんなところに表れます。

ボケ味を楽しみたいなら、やはりフルサイズ。被写界深度は薄くなりますし、慣れ親しんだ焦点距離のレンズを、周辺までそのまま使えることが嬉しいですよね。光学ファインダーのスクリーンに写るのは装着したレンズを通した光景。よいレンズを着けると見え方もぐっと良くなりますから、ひとつよいレンズを手にしたいものです。明るい単焦点レンズなんていうのも楽しい選択ですよね。

F4ですが焦点距離70mmでの撮影で、被写界深度はこの薄さ。豊かな表現力を得られる中望遠というゾーンは、やはりフルサイズでこそ使いやすいと思います。同様の焦点距離をAPS-Cサイズ以下のボディで利用すると、少し画角が狭くなってしまうのですよね。大三元ズームの使い勝手の良さはもちろんですが、単焦点でも60mm・85mm・105mmというレンズが揃っています。

濡れた枯葉のディテールをそのままに、質感豊かに描いてくれました。踏みしめたときの音やしとしとと落ちる小雨の音まで思い出されるようです。新しいカメラやレンズを手にしたときには何にでもシャッターを切ってしまいたくなるものですが、あとで見返すとそういった高揚感はしっかり写真に残っているのですよね。傑作でなくとも、いいではありませんか。せっかく手にしたカメラ、たくさん使ってあげましょう。


犬のアクビの連続撮影とはいかがなものかと思いつつ、D600より少し上がった連写性能を試してみました。秒間6コマというスピード、画像サイズを抑えれば最大100コマまで連続撮影できるという性能は、決定的なタイミングを抑えるのに十分活躍できるはずです。高感度耐性にも優れたボディですからISO 3200〜6400などを活用すれば、絞りこんだ撮影や暗いシーンでも連写性能を遺憾なく発揮できることでしょう。動きの速い被写体はもちろんですが、日常的なスナップにも連射を使ってみるのはいかがでしょう。ちょっとしたタイミングの差で得られた写真から最良の一枚を選択すれば、得られる結果は格段に上がります。たとえば人物ひとつ撮るにしても、瞬きを避けたり一瞬の表情を狙ってシャッターを切るなんていうことは難しいですよね? これだけのボディ性能を持っているのですから、躊躇なく連続撮影を試してみてください。フイルムを消費するわけではないデジタルだからこそ、できることでもあります。

眠ってしまった子を起こさないように、静音シャッターも試してみました。静音シャッターはD610で初めて実装された機能ですが、シャッター音が小さくなるというよりは機械音を分解してタイミングをずらせるようなイメージです。シャッターを切ってから衣類などでカメラを包み、ミラーダウンすることで音を抑えることができます。シャッタータイミング自体はあまり変わりがありませんが、余計な音を抑えたいというシーンでうまく使うことができそうです。


フルサイズの世界をすべての人に。写真撮影の歓びが詰まった渾身の1台。

FXフォーマット機のラインナップとしてはエントリーモデルに位置する本機ですが、その画において手抜かりはなく、むしろ幅広いユーザにマッチする主力モデルと言ってよいでしょう。フラッグシップモデルの確かさが意味を持つのはどちらかといえばプロフェッショナルの方々でしょうし、エッジの効いたD800/D800Eを活かすにはそれなりに神経を使う必要があります。フルサイズセンサーに2400万画素というスペックとコンパクトなボディは使い勝手が良く、気軽な心持ちで連れ回せる実践的なフルサイズモデル、それがこの「D610」というわけです。

写真を撮る道具として、ある種もっとも成熟したカタチといえるのが35mm判一眼レフ。その真価を堪能できるフルサイズのボディが、これだけリーズナブルな価格で手に入れられる時代になりました。フイルム時代から一眼レフを楽しまれていた方には、いよいよデジタルでフルサイズを楽しめるとお喜びの方も多いでしょう。昔使っていたオールドレンズを持ち出すも良し、最新のレンズを手にしてプロフェッショナルのクオリティを得るも良し。これからフルサイズを経験される方にも、最良の選択肢のひとつであることは間違いありません。

お楽しみください。これがニコンのフルサイズの世界です。

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細かなアップグレードを果たし、熟成を重ねたフルサイズボディ。気がつけばフルサイズは手の届くところにあります。おひとついかがでしょうか。

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使い勝手の良い標準ズームレンズ、24-85mm f/3.5-4.5 G ED VRとのキット。初めてスタートされる方に、おすすめのセットです。

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こちらは高倍率ズームレンズとのキット。今の高倍率ズームレンズは良く写ります。1本で済ませてしまいたい方へ、便利なコンビです。

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バッテリーを増やして長時間の撮影を可能にすることはもちろん、縦位置のグリップが使いやすくなるのが魅力。一度使うとやめられないアクセサリです。

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離れた場所からスマートフォンで操作ができるデバイス。リモート撮影だけでなく撮影画像のワイヤレス転送も可能で、撮ったその場で写真を共有できます。

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この標準ズームレンズがあれば、機材はプロフェッショナルと変わりません。あとは撮影を楽しむだけ。どうぞお楽しみください。

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単焦点にも気になるレンズが登場します。最新ボディと最新レンズで固めてしまうのはいかがでしょう。

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SDカードの2枚挿しができる本ボディ。64GB×2なら、撮影枚数に憂いなしというものです。

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