PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

Canon EOS 5Ds, EF16-35mm F4L IS USM,  1/60, F4.0, ISO 400, Photo by Z II

Canon EOS 5Ds / SHOOTING REPORT

ついに来ました、「EOS 5Ds」の実写レビューです!ベースとなっているのは3年前に発売された「EOS 5D Mark III」(有効画素数約2230万画素)。その後、他社からはさらに上回る高画素モデルがリリースされてきたこともあり、キヤノンからの新しいフルサイズ機の登場を心待ちにしていた方も多かったことでしょう。そして遂に今回姿を現したのは3000万でもなく4000万でもなく、何と一気に5000万台の画素数を誇るセンサーを積んできたというのですから、ホント度肝を抜かれました。予定調和なんて一切お構いなし。これでも食らえ、と言わんばかりにバンッと突きつけてきた感のあるスペック。一体どんな画が撮れるんだろう?とPY編集部員たちも色めき立ちました。同時リリースとなったローパスフィルターの効果をキャンセルした同じくEFマウントの「EOS 5Ds R」もあり、編集部内では実写のスタッフィングを巡って争奪戦に(笑)。「EOS 5Ds」での撮影を勝ち取ったスタッフは鼻息荒くロケへと勢いよく出発したのですが、連日の曇天に泣かされた模様。さあ、泣きながらも気合を入れてどんな作例カットを撮ってきたのか??フルサイズ有効画素数5060万画素センサーが叩き出す画を、早速見て行きましょう。

( Photography : Z II / Text : KIMURAX )

Canon EOS 5Ds, EF24-70mm F2.8L II USM,  1/160, F2.8, ISO 100, Photo by Z II

フォーカスした古めかしい本の質感、そして立体感は大変見事なものです。超高画素化されたセンサーは、わら半紙のようなざらつきのある紙面、そこに刷られたひとつひとつの文字、はみ出した紙のよれ具合と、極めて細やかにキャプチャしています。拡大して見ると実に顕著で、ピント面で捉えた文字はくっきり読み取れます。ルビまでしっかり描き込んでいるのには驚かされました。レンズのよさももちろんありますが、むしろ"Lレンズ"レベルの力がないと、センサーの解像度にレンズが追いつかないということにもなりかねません。それほどに解像力が圧倒的に高いのです。背景から分離したテーブル。さらにそこから分離する敷き布と本。という具合に画の奥行きというか厚みまでも感じさせ、立体感をもたらしているのですね。

Canon EOS 5Ds, EF24-70mm F2.8L II USM,  1/250, F3.2, ISO 100, Photo by Z II

なんでもないようなシーンですら、気配を感じさせる画の仕上がり。それはやはり情報量の"多さ"が成せることなのでしょう。像をきっちりと分離する解像力に加え、確かな階調再現力が発揮されることで、このように限りなくリアルに近づくのです。ほんのわずかな手ブレさえも逃さない容赦の無い描き込みは、対峙した光景を包み隠さず炙り出すかのようで、レリーズの瞬間にちょっとした緊張感が走ります。

日の当りにくい常に湿り気を感じさせるこの空間。少しひんやりとした、湿度の高い空気までもが伝わってきます。高周波な山林の風景を狙う予定でしたが、この日は明け方から、霧雨、霧雨、霧雨…。というわけで、苔山を山林に見立ててみました(ちょっと無理がありますかね)。さあ、では画像をクリックしてみてください。苔山の100%クロップの画像を見ることができます。どうでしょうか。フォーカスエリアは曖昧さがなく、きりっとシャープに解像しています。山間?に蜘蛛の巣があり、ここはアウトフォーカスエリアなのですがここからさらに拡大してみると、糸の一本一本まで確認できるほどです。この緻密なディテール再現の積み上げによってワンカットができ上がっているのですから、画にメリハリが出てくるのも頷けます。

Canon EOS 5Ds, EF24-70mm F2.8L II USM,  1/20, F2.8, ISO 100, Photo by Z II

しめ縄周辺のハイライト重視で露出を決定。シャドーエリアはすとんと落ち込まずに、目を凝らせばその奥が徐々に見えてくるような感覚を覚えます。どんよりとした空の下での撮影でしたがこのクリアさ、そして精緻な描き込みはさすがです。画全体の見事な諧調再現により、厳かな雰囲気が醸し出されています。

Canon EOS 5Ds, EF24-70mm F2.8L II USM,  0.5s, F5.0, ISO 100, Photo by Z II


Canon EOS 5Ds, EF24-70mm F2.8L II USM,  1/160, F2.8, ISO 400, Photo by Z II

ローパスフィルターが利いているとはいえ、圧倒的な5060万画素の解像度。ステンレスやガラスといった、硬い素材を撮るとズバッとはまるのです。この時はさほど感度アップに頼らなくても、手持ちでいけるシャッタースピードが得られたのでそのままレリーズ。ちなみにISO400です。本機の常用感度はISO100〜6400となっており、極端な高感度撮影が必要でなければ十分なスペックだと言っていいでしょう。

Canon EOS 5Ds, EF24-70mm F2.8L II USM,  1/25, F2.8, ISO 400, Photo by Z II

映り込みがあるからガラス越しだということが判るだけではなく、大げさではないもののガラスの艶感みたいなものまできちんと伝わってくる描写。フォーカスした髪の一本一本までを克明に解像しています。解像度では近頃の中判デジタルカメラと肩を並べるレベルにきており、プロフェッショナルなコマーシャル撮影にも十分に対応できるでしょう。もちろん中判・大判の懐の深い大型センサーがもたらす一瞬ハッとさせられるあの立体感(特に風景写真で感じられる)とまではいきませんが、緻密な描き込みによる質感表現が求められる物撮りなどでは本機の活躍が大いに期待できます。ガッチリ機材を組んでの撮影が前提となるでしょうが、システム自体がコンパクトだというアドバンテージがあり、いざとなれば手持ちでもいけるというのはやはり凄いこと。豊富なEFマウントのレンズ群から選択できるというところも見逃せません。

Canon EOS 5Ds, EF24-70mm F2.8L II USM,  1/125, F3.5, ISO 100, Photo by Z II

撮影したカットを縮小してご覧頂いているわけですが、等倍まで拡大していっても曖昧になりません。なにしろポスターサイズまで引き伸ばせるデータのキャパですからね。

Canon EOS 5Ds, EF70-300mm F4-5.6L IS USM,  1/500, F5.6, ISO 400, Photo by Z II

物憂げな空模様にのんびりとした時間の流れを感じさせる猫の背中。曇天のフラットな光ですが、中間のトーン再現も見事なものです。カメラの背面液晶でもライブビューを16倍まで拡大できるので、こういったアングルでのシビアなフォーカシングには大変重宝します。

Canon EOS 5Ds, EF70-300mm F4-5.6L IS USM,  1/1000, F5.6, ISO 400, Photo by Z II


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フルサイズセンサー、5000万画素時代へようこそ

ローパスフィルター搭載で仕立てられた「5Ds」ですが、実に痛快な解像力を見せてくれました。「5Ds R」の描き込みも気になるところですが、まったく同じシチュエーションで撮影したものを仔細に見ていかないとなかなか判りにくい、並べてみて初めて気が付くレベルなのではないかと予想されるほどです。今回の撮影はRAW+JPEGでの保存でしたが、5060万画素ものデータをもたつくことなく瞬時に処理していました。ちなみに連続撮影速度はベースとなった「5D Mark III」の6コマ/秒に対し、本機は5コマ/秒。一見スペックダウンに映りますが、さばいているデータ量は倍以上も本機の方が多いのですから、これはこれでもの凄いことだと思います。大概のシーンではなんら不足するようなスペックではありませんしね。操作性に関しても「5D Mark III」からほぼ変わらず。使い込んでいる人ほど設定の調整事項は限られているでしょうから、違和感無くすぐに使いこなせるところもマル。ハイアマチュアはもちろんのこと、先ほども触れましたがプロユースにも十分対応できる解像度と使い勝手のよさが備わっています。これだけの高画素機ですから、できれば最新のレンズで臨みたいところです。空気の揺らぎすらも拾ってしまうというシビアな撮影が要求されますから、ガッチリとした三脚の用意、しっかりとしたホールドが必要となってくるでしょう。高画素センサーと最新レンズの力を最大限に引き出すために、じっくりと撮影の時間を楽しんでみてください。息を飲むような快心の一枚をもたらすには十二分なポテンシャルを秘めていますから、どうぞ心行くまで。パソコンでデータを開いたとき、新しい世界を目の当たりにすることでしょう。

( 2015.09.04 )

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やみくもに画素数を増やしたのではなく、しっかりと画に落とし込めるバックグラウンドがあるからこそ実現できた5060万画素です。この解像力に触れたら、もう後戻りはできません。

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バッテリー、メモリーカード、交換レンズ。デジタル一眼三種の神器です。いくら本体の性能が良くても、それだけではなにもできませんから。予備バッテリーもぜひ。

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5000万画素カメラのデータ量は猛烈です。フラッシュメモリの書き込み速度がカメラの動作速度にも影響してきますから、カメラと一緒に超高速・大容量のメモリーカードも投入しましょう。

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より高速さを求めるならCFカードも見逃せません。RAW+JPEGで記録する方は、デュアルカードスロットをうまく活用しましょう。

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