LEICA V-LUX 5
ライカの高倍率ズームコンパクトカメラ「V-LUX」に、新型が登場です。高性能ズームレンズ「DC Vario-Elmarit 9.1–146 f/2.8–4 ASPH.」と大型の有効画素数2010万画素のセンサーといった心臓部は先代から継承していますが、EVFやAF周りが刷新され、背面液晶はタッチパネル対応となり、更にはUSB充電も可能になりました。35mm判換算で25-400mm相当の便利なズーム域と高画質はそのままに、一層のキレと最新の使い勝手を獲得したモデルと言えるでしょう。今回はそういった変更点がどう効いているかを中心に、検証してまいります。
( Photography : Naz & Text : TAK & Naz )
25mm相当のワイド端では、眼前の光景をダイナミックに捉えることが出来ます。輝度差のある条件でも、空の雲からビルの壁面まで見事に描き出してくれています。有機ELディスプレイを採用したEVFの視認性も素晴らしく、気持ちよく構図を決めることが出来ます。
内蔵の手ブレ補正機能は、望遠域を多用したくなるこのカメラにとって必須の機能です。強力な手ブレ補正機能の搭載により、被写体ブレを起こすシャッター速度でも安心して被写体へ挑むことができます。
背面の液晶パネルをタッチすることで、フレーム全体からAFポイントを直感的に選択できます。これは楽ですね。
被写体と背景がきれいに分離しています。湿度のある条件を上手に捉えてくれている印象です。
レンズ鏡胴のズームリングを操作することで、50mm、135mm、200mm等主要な焦点距離への切り返しも容易です。シャッターボタン脇のズームレバーによる微妙な画角のコントロールも行いやすく、それぞれを使い分けることで16倍の高倍率も意のままに操ることが出来ます。解像力も十分すぎるほどですよね。
超望遠レンズということで生まれて初めての競馬場へ。最終コーナーを駆け抜けるサラブレッドを連写で捉えてみましたが、AF-Cの食いつきもよく、狙い通りの1枚を撮ることができました。空間認識技術を採用したAF、そして最大12コマ/秒の連写能力。進化は相当なものですよ。
有効画素数2010万画素のセンサーに光をたっぷりと与えてあげた時の写りには、ハッとさせられるものがあります。特にこういう絵づくりを見ると、「ああ、やっぱりライカだな」と思います。
レンズフィックス機としては大柄なボディですが、超望遠レンズを搭載したカメラとしては小型であることは間違いないでしょう。しっかりとホールドできるボディサイズを持ちながらも小型軽量に仕上がっていますので、こうした街中でのスナップも躊躇なく挑めます。普段のスナップ撮影では主に広角レンズを使うのですが、望遠スナップもまた非常に面白く、すっかりハマってしまいました。
力を抜いて、まずは写真を楽しもう。
いかがでしたか。先代同様、グッと来る「ライカ画質」ですが、一層シャッターチャンスに強いカメラに仕上がっていますよね。そもそもこれだけのズーム域で、ピントもスッと合ってくれて、連写も利くのです。正直、「これ一台で十分では?」と思ってしまいました。1型センサーということで、より大型のセンサーには敵わない部分も当然ありますが、機材のサイズと画質のバランスにおいては最強のカテゴリーとも言えます。写真の出来を決める要素の中で一番わかり易いもののひとつが、画面における被写体のサイズではないでしょうか。レンズを交換することなく400mm相当まで一気に迫れる本機の有用性は、計り知れないものがあります。しかもサイズはコンパクトなままですから、超望遠でも目立つことなく、街中スナップだって出来てしまうのです。メインとしてもスーパーサブとしても、頼れる相棒となることでしょう。「重箱の隅をつつく前に、野に出て写真を撮りましょう。」 LEICA V-LUX 5とは、そういうカメラなのだと思います。
( 2019.08.06 )