Hasselblad X2D 100C, XCD 4/28P, Photo by Naz

Hasselblad XCD 4/28P

ハッセルブラッドの中判ミラーレスシステム向けレンズ「XCD 4/28P」の実写レビューをお届けします。本レンズはXCDレンズの中でも最小・最軽量となる1本で、画角はフルサイズ換算22mm相当となる広角レンズです。マウント面からの全長は43.5mm、質量も245gとこれまでにないコンパクトネスを追求し、X2Dのボディに装着すると中判のシステムとは思えない軽快感に驚かされます。ボディと合わせた重量は1,140gと、35mmフルサイズ上級機のボディに軽量なレンズを装着したのと同じぐらいの感覚でしょうか。前玉は小さく、後玉が大きいレンズ構成は8群9枚。5枚目には非球面レンズ、7枚目にはEDレンズがあしらわれています。ステッピングモーターを採用した俊敏なAFはインナーフォーカス式、内蔵のレンズシャッターはXCDレンズで最も高速な1/4000秒まで対応するなど、昨今のレンズ設計のトレンドを踏襲しその性能に抜かりはありません。なお製品名末尾の「P」は「Portable=ポータブル」を意味するものだそう(ちなみに「E」はExclusive=唯一無二、「V」はVersatile=汎用性とのこと)。それでは作例写真をご覧ください。

( Photography & Text : Naz )

Hasselblad X2D 100C, XCD 4/28P, Photo by Naz

1枚目のカットは開放で撮影、こちらのカットは画面全体をしっかり写し込みたいとF8まで絞ってみました。キレが素晴らしいですね。絞っても線は太くなりませんが、しっかりとした線を描くやや硬めの描写に感じます。本レンズがスナップや風景、建築、ドキュメンタリー等の撮影に適した画角であることを踏まえれば、理に適った描写だと思います(画像のクリックで原寸画像を表示します:約27MB)。

Hasselblad X2D 100C, XCD 4/28P, Photo by Naz

換算22mm相当という超広角域に迫る広い画角は、ストリートでのスナップ撮影が楽しい画角ではありますが、眼前の光景をそのまま撮れば様々なものが写り込み、情報量が過多になりやすくもあります。そのため画面をどう構成するかが本レンズを使いこなす腕の見せどころになるかと思います。

Hasselblad X2D 100C, XCD 4/28P, Photo by Naz

X2Dの強力な手ブレ補正を活かし、F11まで絞り込んでスローシャッターで撮影しました。広角レンズはその画角から、水平より上へ向けて撮ることが多くなりがちですから、見下ろすようなカットがあると視点の変化を作りやすいように思います。

Hasselblad X2D 100C, XCD 4/28P, Photo by Naz

開放絞りはF4ですから溶けるような大きなボケは期待できませんが、フルサイズでF2.8相当のボケ量は得られますから、全然ボケないというわけではありません。特に前ボケは画面に奥行きを加えてくれますから、積極的に活用したいところです。


Hasselblad X2D 100C, XCD 4/28P, Photo by Naz

柔らかい雰囲気にしようと明るめの露出にしました。最短撮影距離は0.22m、A4サイズより少し小さい26×20cmの範囲を写し取ることができます。実際に使っていても想像以上に寄れる印象ですが、画角の広さから自身の影はもちろんのこと、様々なものが写り込んでくるため、近接ではその処理がなかなか難しく感じました。

Hasselblad X2D 100C, XCD 4/28P, Photo by Naz

敢えて情報過多な1枚にしてみました。カラフルなアフリカの民族的な柄のシャツですが、こうして強い陽射しの下ではとても映えるんですね。子細に見ていくと凝った柄の間から生地の質感までしっかり描かれていることがわかります。100MPが活きる被写体です。


Hasselblad X2D 100C, XCD 4/28P, Photo by Naz

開放絞りでも描写に甘さは感じませんが、2段絞ると隅々まで安定した描写になります。石の質感描写が見事です。また深い被写界深度により、パンフォーカス的に撮影することもできそうです。

Hasselblad X2D 100C, XCD 4/28P, Photo by Naz

X2Dの強力な手ブレ補正と良好な高感度性能により、ある程度光がある条件であれば夜間においても十分に手持ち撮影が可能です。8枚羽根による光芒が美しいですね。RAWデータを見ると歪曲収差と周辺減光は絞り値問わず強く認められるものの、Phocusに読み込めばどちらも自動補正されます。また、Lightroomでもレンズプロファイルを適用することでご覧の通りビシッと真っ直ぐに修正されましたのでご安心ください。

Hasselblad X2D 100C, XCD 4/28P, Photo by Naz

キビキビと動作する35mm版のカメラに比べれば、中判カメラはゆったりとした撮影になりがちですが、本レンズでしたらサクサクとテンポよく撮影が行え、シャッターチャンスにも強い組み合わせだと感じました(画像のクリックで原寸画像を表示します:約42MB)。


PHOTO YODOBASHI

X2Dや907Xを身近にしてくれる1本。
もちろん最初に買うレンズとしてもおすすめの1本です。

とにかく軽快で楽しく撮影が行えるレンズでした。どんな時でも躊躇することなく中判カメラを持ち出せることに価値を見いだせる方なら、本レンズは使いでのある1本となるでしょう。また本レンズは高価なXCDレンズの中でも手頃な価格ということもあり、ボディと一緒に入手する「最初の1本」としてもおすすめです。小さく軽いということは、サブのレンズとしてバッグに忍ばせておくのにもいいですよね。一方で、XCD Vシリーズのように絞り値等を割り当て可能なコントロールリングや前後移動でAF/MFの切り替えが可能なフォーカスリングは、本レンズでは不採用となっています。短い鏡胴にはシンプルなフォーカスリングのみとなっていますが、絞り値はボディ側のダイヤルで設定できますし、X2DではMFに設定していても親指AFによるAFが可能ですから、むしろシンプルなインタフェースの方が潔くも感じました。付属の円筒形のフードはアルミ製となっており、レンズ本体と合わせてビルドクオリティは他のXCDレンズと同様に高く、所有欲も満たしてくれるのが嬉しいです。元々コンパクトなハッセルブラッドの中判デジタルボディを思い切り振り回して遊べる本レンズは、超広角レンズと広角レンズの境界あたりという絶妙な画角により、画面隅々までのびのびとした線を描くフレームを構成することができます。センサーは33×44mmありますが、アスペクト比を切り替え24×36mmへクロップすれば35mmフルサイズの28mmレンズとなり、それでも61MPという十分な解像度を確保できます。中判デジタルならではの贅沢な使い方ですよね。どうぞ存分にお楽しみください!

( 2025.04.15 )

Loading..

Loading..

品薄が続いていたXCDレンズも供給が安定し手に入れやすくなりました。ボディとの見た目のバランスもよく、シンプルながらも格好いいデザインが嬉しい1本です。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

高品位な純正フィルターもご用意しています。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

往年のVシステム同様のスタイルで撮影が行えます。デジタルバックとしてVシステムのカメラボディでもお使いいただけます。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

IBISを搭載し、Xシステムをフルに活用したい方へ。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..