Hasselblad XCD 3,2-4,5/20-35E
「XCD 3,2-4,5/20-35E」は、XCD Eシリーズ初の超広角ズームレンズです。システム中最も広い画角となる16-27mm相当の画角(35mmフルサイズ換算)をカバーし、風景や建築物などを広くダイナミックに捉えることができます。ズーム比こそ2倍にも満たないのですが広角での1mmの差は大きく、広角端と望遠端とでは写し出される世界も全く異なり表現の幅もグンと広がります。ハッセルブラッドのカメラが織りなす卓越した画質についてはご存知の通りですが、この利便性に優れたズームレンズがどのような写りを見せてくれるのか。早速ご覧ください。
( Photography & Text : TAK )
早速広角端16mm相当からご覧ください。モロッコの街、ではなく京都駅です。切り取り次第で別世界に見せることができるのも写真の楽しみですよね。開放から逆光にもめっぽう強いようです。空の微妙なグラデーション再現も素晴らしい。Xシステムのセンサーの比率は4:3と縦方向への広がりがあるので、2:3比率よりもさらに広く感じますね。
こちらも広角端です。ストリートをワイドに切り取るスナップ写真の醍醐味を存分に味わっていただけます。直線の歪みも認められません。露出は自信を持ってハイキーに振っています。907x & CFV100C、X2D 100Cはハイライトが美しいのですよね。光芒の出方も然り。
望遠端です。絞っていることもありますが、壁のディテールを克明に捉えています。27mm相当にもなると少しくらい見上げて撮っても、広角臭さが前面に出過ぎることがありません。
最短撮影距離0.4m付近です。引くことなく室内全体を捉えることができるのは便利この上ありません。ボケも当然の如く美しいのですが、それ自体に透明感すら感じさせてくれるところがハッセル節。
画角が広くなるほど、明暗どちらも画面内に入ってくるチャンスが増えます。つまり、907X & CFV 100Cの卓越したダイナミックレンジがさらに生きてくるわけです。
少々風があったのでそれほど絞っていませんが、どうだ!と言わんばかりの仕上がり。ズームだから、、、といった議論が全く無意味に思えるほど、素晴らしい切れ味です。
画像クリックで等倍表示します。岩の細かな苔といいシルキーな水面といい、完全にとどめを食らった気分です。
水鳥の視点を想像しながら撮影。カメラも良いですが、レンズが良くなければこのトーン、水面の質感は出せないでしょう。前ボケも美しいですね。
どうぞご贔屓に。
ハッセルブラッドの名に相応しい、ライブ感伝わる表現力
これは、雰囲気のある建築物や広大な風景に出会った時、最も欲しくなるレンズです。システムで最も広い画角が呑み込む膨大な情報量を、907X & CFV 100C、X2D 100Cの超高画素大型センサーに余すことなく伝えてくれる、卓越した光学性能を持っています。ヌケや解像性能など単焦点も真っ青の出来栄えで、16枚ものガラスを通過したとは思えぬ瑞々しさです。カメラの広いダイナミックレンジとレンズのダイナミックな画角とのコンビネーションにより、とにかく描写にライブ感を感じるのですね。携帯電話でも写真が撮れる世の中ですが、「ありのまま」を活写する重要な要素がセンサーサイズや画素ピッチであり、その両方において大きなアドバンテージを持つハッセルブラッドXシステム、Vシステムなのです。至高のセンサー周りに広大な世界を余すことなく伝える。XCD 3,2-4,5/20-35Eは、これ以上何を望めば良いのかと思うほどに贅沢な贅沢なレンズです。目を見開くような価格ではありますが、むしろ最高を求める方には「これ一択」と言っても過言ではないでしょう。
( 2025.01.09 )