DIGITAL KING TFX-02 FISHEYE LENS for X-mount | SHOOTING REPORT
画像処理ソフトやカメラ内のデジタルエフェクトで、魚眼風な効果を手軽に加えることもできるようになってきてはいますが、そこはやっぱり"風"なんですよね。近くにあるものはドーンと大きく、遠くにあるものはずーっと遠くにあるかのごとく写るという魚眼レンズ特有のパースペクティブ効果は、被写体との距離や角度で目まぐるしく変化します。「TFX-02 FISHEYE LENS」は、焦点距離12mmの対角魚眼レンズ。今のところ富士フイルムXマウントに対応する純正レンズは用意されておらず、大変ありがたい存在。魚眼レンズと聞くと、さあ何を撮ろう???と身構えてしまう人もいるかも知れませんが、ファインダーを覗きながら自ら動いてみるだけでかなり楽しめます。このレンズが飲み込んだ世界を、感じるままに切り取っていくといいでしょう。言ってしまえば、習うより慣れろというのがぴったりなジャンルだと思うので、ぜひ挑戦してみてください。いわゆる魚眼レンズとしては、かなりリーズナブルなプライスですしね。
( 写真:Z II / 文:KIMURAX )
気持ちよさそうに鳥が舞う、抜けるような青空をバックにたなびく旗。風任せの変幻自在な被写体では、ぐっと近づいてはみたものの思ったほどデフォルメ効果を感じないんだなぁと思いつつ、右へと視線を移動させると、支柱はかなりの強風ではないか!といわんばかりの曲がり具合。このミスマッチな不思議さが面白いですよね。ガッツリ太陽が入り込んでしまいましたが、そんなのお構いなしという感じの頼もしい描写。化繊の生地の質感から、折り皺や縁取りのステッチまできちんと捉えており好感がもてます。
動物ではお約束の鼻デカ写真を。元々端正なすっとした顔立ちのためか、笑える感じとまではいきませんでしたね(笑)。超広角レンズに比べて周辺画質が犠牲になりやすい魚眼レンズですが、このぐらいの距離ですとしっかりしていますね。
絞り値はF7.4の固定ですから、シャッタースピードやISO感度などで画像の明るさに工夫を凝らしてみるのもいいでしょう。少々感度あげすぎましたかね?
オブジェが飾られているとあって、周辺のビルの歪曲も違和感なく受け入れられてしまいます。
ギミックフルなレンズですが、レンズ中央はしっかりシャープな像を結んでいます。デフォルメ効果も手伝い、ものすごい立体感です。波が立っています!!!冒頭でも触れたとおり、対角魚眼レンズとしてはかなりリーズナブルです。だからといって、写りがグダグダなんてことは決して無く、コストパフォーマンス的にはかなり高いレンズだと思いました。逆光対策も講じられており、肝心な中央の画質もこれだけしっかりしていれば御の字です。お手軽な「魚眼風」もいいけど、やっぱり「本物の魚眼レンズ」で撮ってみたい!と思っていた方にはお勧めです。さぁスパイシーなレンズで、マンネリ気味の写真生活にゴツンと一発。いや、ぐにゅっと一発、刺激を与えてみてください。意外とはまっちゃいますよ。
( 2015.09.15 )