PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary
[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ
キヤノンRFマウントに最適化されたシグマのレンズがいよいよ登場してきました。その先陣を切ったのが、今回レビューをお届けするAPS-Cフォーマット向けの標準ズームレンズ「SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary」。F2.8通しで、リリース直後から人気のある1本です。明るい標準ズームは使い道が多岐に渡りますし、高い表現力を1本で賄えるなど何かと重宝します。その副作用的なもので重さやサイズは嵩みがちです。結局持ち出さない、使う機会がないといった宝の持ち腐れ状態になってしまうことも。その点、本レンズは長さ74.5mm、最大径69.2mm、重さ300gと圧倒的な小型軽量設計。人気が出るのも頷けます。キヤノンRFマウントでは、フルサイズ換算で28.8mmから80mm相当までの画角をカバーします。使い勝手としては少し望遠側にシフトした標準ズームレンズといったところでしょう。画質と併せて、そのあたりもお伝えできればと思います。
( Photography & Text : TA )
最短撮影距離は広角端で約12cm、望遠端で30cm。軽快なレンズなのでもともと取り回しは良いのですが、最短撮影距離の短さが撮影の自由度をさらに高めます。また撮影倍率は最大で約0.36倍(広角端)。マクロ的な撮影ができるのも嬉しいポイントです。こういうレンズを手にしていると、足元に茂る草など小さな風景にも心が向くようになり季節の移ろいをより身近に感じることがあります。葉には夜露が降りていました。近接でもピント面にはキレがあり、ボケ味も滑らかです。
(画像クリックで拡大表示します)同じ場所から望遠端と広角端で撮影。いずれも絞り開放です。望遠のカットは画面中央より少し下方にピントを置いています。その前後は深度外となりますが隅まで緻密な描き込み。トーンも丁寧に拾いあげ陰影で奥行きを感じさせる洗練された写りです。片や広角端では深度が深くなるので、ご覧のとおり隅々まで端正な写りを見せてくれます。解像感たっぷりで撮影時に漂っていた清々しい空気までもが写り込んでいるようです。
望遠端は80mm相当の画角とあって、賑やかな背景から被写体をすっと浮かび上がらせます。その人の体温が伝わってくるような表現力も感じます。光はかなり拡散された環境下で、シーンとしては少し難しいのですが。レンズの性能の高さに驚かされるばかりです。
レンズの振り方によってはフレアやゴーストが出ます。とはいえ、絞り開放で太陽を直に画面に入れてこの程度。意地悪してもフレアは軽微ですしゴーストは時々チラッと出るくらいです。ピント面をきっちりとシャープに描きながら画全体に柔らかさがプラスされます。シーンに応じて活かしたいですね。
歪曲収差はカメラ内補正を利用します。直線が直線のまま写ってくれるので、建築や構造物にも好適です。
セットしていた画角から少しズームアップして、運ばれてきた食べ物をさっと撮る。近接能力が高く、AFも問題なく使えます。しかも画角を自在に操れるというわけでテーブルフォトも朝飯前です。小型なレンズですし所作もスマートです。
広角端はフルサイズ換算で28.8mm相当の画角。21mmや24mmほど広すぎず、とはいえ限られたスペースも十分な広がりを持って伝えることができます。
もう1枚広角端のカットを。良く解像するし階調再現性に優れたレンズと感じていましたが、シーンを変えてもその印象は強まるばかり。とにかく気持ち良く写ります。周辺までアラがなくコントラストも上々。画面を走る直線と曲線の競演が美しく、広角スナップが楽しい。
清々しい解像感と表現力。手の中に収まる大口径標準ズーム。
F2.8通しの標準ズームでありながら手の中にすっぽりと収まってしまうほどコンパクトな設計ですが、素晴らしい写りのレンズでした。シグマのレンズらしい気持ちの良い解像感と表現力。撮影シーンを選ぶようなこともありません。いつもどこでも常に文句のない写りでこたえてくれるので、頼もしさも格別です。群を抜く軽快さは撮る世界を変えてしまう力があるように思います。もう少し使い込んでみたいと思ったのも、その先の世界を見せてくれるような予感があったからでしょう。RFマウントにネイティブなレンズで「シグマの写り」を体験するのに相応しい1本だと思います。APS-Cサイズセンサーを採用するボディをお使いの方にはもちろんなのですが、今回はフルサイズのボディと組み合わせたこともあって、フルサイズセンサーのボディをお使いの方にもこの良さを知っていただきたいと強く思います。
( 2024.11.08 )
F2.8通しの標準ズームでありながら手の中にすっぽりと収まってしまうほどコンパクトなレンズ。写り良し使い勝手良しの万能選手。お出かけが楽しくなります。
フードを外せばさらに小型化します。フードを外したら、保護フィルターをお忘れなく。