PHOTO YODOBASHI

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SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | contemporary

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

シグマからソニーフルサイズEマウント向けの大口径標準ズームレンズ「SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary」が登場しました。ご存知の通りシグマには「SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN | Art」というたいへん優秀な光学性能を有するレンズがありますが、今回紹介するレンズは、光学的に同等の性能を持ちながらも、電子補正を活用し小型化と軽量化を進めた意欲作となります。実際にそれぞれのMTFデータを比べてみても同等レベルの光学性能を持っているのは間違いないようです。その上で、全長103.5×最大径72.2mm(122.9×87.8mm)、重量は470g(830g)、フィルター径は67mm(82mm)というサイズ感にまとめられています。なお、カッコ内は先ほど紹介しました「24-70mm F2.8 DG DN | Art」の数値を参考として記しておきましたが、それぞれの差を見てもわかる通り、もう同じカテゴリーのレンズとは思えない程の小型軽量化を実現し、これまでにない軽快感が得られることは数字を見ても明らかでしょう。

外観とサイズ感に続きスペックも見ていきましょう。レンズ構成は12群16枚(15群19枚)、FLDガラスを2枚(6枚)、SLDガラスを2枚(1枚)、非球面レンズを3枚(3枚)採用と贅沢な構成とし、電子補正前提とはいえ光学的にも収差の補正をしっかりと行っているようです 。また絞りは9枚羽根の円形絞りを採用し、ボケ味にも抜かりはありません。AFモーターには応答性がよく、高速な動作と静粛性に優れたステッピングモーターを採用。レンズ最前面には撥水防汚コートが施され、簡易防滴構造も採用されているなど、プロユースのArtラインのレンズと比べても遜色のない仕様となっています。それでは実写レビューにてその実力をご確認ください。

( Photography : Z II / Text : Naz )

SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

スカッと抜ける青空が映える光景です。太陽をフレーム内に入れてみてもフレアやゴーストはほとんど見られず逆光耐性は高いと感じました。

SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

開放F2.8です。ピントを画面右上の木の幹に置いていますが、レンズの端に近いところでも細い枝まで精細に描いてくれているのがわかります。コントラストが高く、細かな枝の輪郭にフリンジが出やすいシチュエーションでも感じることはほとんどありませんでした。北の大地では、冬の終わりが近づいてきました。野生動物の足跡もどこか嬉しそう。雪原に伸びた青い影もそろそろ見納めです。

SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

雪の微かなふくらみをどう再現してくれるのかを探ってみました。表面の細かな凹凸や、溶けた雪が再び凍り、ザラザラの粒になっている様子まで子細に描いてくれています。Contemporaryラインといえども、Artラインに劣る存在というわけではなく、Artラインの光学技術があってこそ活きるContemporaryラインのレンズなんだなと納得させられるものがあります。

SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

ワイド端の28mm。24mmに比べるとワイド感が弱く感じるかもしれませんが、1歩引ければ写せる範囲はそんなに違いません。むしろその1歩を気軽に動いていける軽快感が本レンズには備わっていますから、積極的に動いていくこととしましょう。

SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

雪景色の窓から降り注ぐ朝陽、オーディオから流れるピアノの音色、そしてコーヒーの香り。写真から音や香りまで漂ってきそうなほど、その場の雰囲気をうまく再現してくれました。背景を程よく溶かし、映り込むものの立体感や湯気の質感描写も見事です。


SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

変わって春を迎えた東京です。降り注ぐ光が街路樹の若葉を照らし、輝いているように見えます。何気なく撮ったカットでも、ピント面のシャープさにより、画に奥行きや立体感が出てくれるのは良いレンズの証だと思います。

SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

ワイド端、絞り開放で逆光と意地悪な条件で撮影してみました。自転車に乗る人物まで20mほど離れていますが、ピントに甘さはなく、キレのよい描写が気持ちいいですね。青空が大きく入る条件では周辺減光が目立ちます。個人的には好きな演出ではありますが、気になる場合は周辺減光の補正をOnにするかF5.6ぐらいまで絞ると抑えられます。

SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

こちらも絞りは開放、テレ端に近い約60mmです。人混みの中での撮影では、前後左右に身動きが取れないことも多いですね。そういった時にはフレームを整理しやすいズームレンズが活きてきます。すっきりとしたクリアな描写で壁面の細工まで緻密かつリアルに再現しています。

SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

手前の路側帯の白線やビルのガラスの柱など、フレームの隅にあるものまで直線のものを気持ちよく直線に描いてくれています。各種補正をカメラ側で処理するデジタルの強みを活かしたわけですが、ミラーレスカメラでは補正された状態を見ながら撮影ができますから、使う我々はどのくらい補正されているかなんて実際に気にする必要はありませんね。

SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II

鮮やかな被写体を撮ってみました。黄身の色やぷるっとした質感、立体感も含めいい描写だと思いました。絞り開放、テレ端70mmの最短撮影距離(38cm)付近ではピント面はかなり薄くなり、意図した箇所を浮かび上がらせることができます。

SONY α7 III, SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary, Photo by Z II


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まさに新時代のスタンダードズームレンズ。

いかがでしたでしょうか。作例を見る限り、電子補正によるダウンサイジングのデメリットはまったく感じさせない写りに感じました。特にピントのキレは単焦点レンズにも迫るハイレベルなものであり、解像力の高いレンズでは硬く煩くなりがちなボケ味も本レンズでは良好にまとめられています。欠点らしきものを感じない優れた写りは、日常使いから本格的な作品撮りまでオールラウンドに活躍してくれるでしょう。まさにどんな時でも振り回せる新時代のスタンダードズームレンズですよね。

昨今の標準ズームといえば、24mmスタートが多く、本レンズはズーム域が4mm狭い28mmスタートとなっていますが、ズーム全域でF2.8を実現しながらこのコンパクトさを実現しているなら結果オーライではないでしょうか。むしろ得られた軽快さにより、コンパクトなボディのα7シリーズとのバランスもよく、シーンを選ばずどんな時でも躊躇なく持ち出せるのは好都合です。また“Iシリーズ”のスタイリッシュでコンパクトなワイドレンズ「SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporary」と組み合わせてみるのも良いですね。

たいへんコンパクトにまとめられた本レンズ。高い性能を遺憾なく発揮するためには必要なものだとわかってはいるのですが、唯一気になったのが付属のフードが少々大きく感じること。これはコンパクトな中望遠レンズとして人気を博している「SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art」を手にしたときにも感じたものですが、レンズが小さいため相対的にフードが大きく見えてしまうんですよね。できることなら携行性がよくレンズ先端の保護にもなる小さめのフードをオプションで作ってもらえないかなあ…という淡い希望をここに記しておきたいと思います。

( 2021.04.07 )

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カメラやレンズの大きさ重さは性能に比例するのが世の常でしたが、本レンズはその常識を覆す1本となりました。大ヒット間違いなし、どうぞあなたも。

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保護フィルターにしては高いなと思われるかもしれませんが、シグマはフィルターにも妥協がありません。レンズを買って得たポイントの使い道にもよいですね。

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