PHOTO YODOBASHI
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SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
シグマLマウントにフルサイズ対応の望遠ズームが加わりました。ミラーレス用に最適化された新設計のSIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporaryは、100mmから超望遠域400mmまでカバーする広いズーム域のレンズですが、全長は197.2mmと大変コンパクトです。約4段分に相当する強力な手ブレ補正（OS）機構をレンズ内部に搭載。AFは動いている被写体をスムーズに追うステッピングモーター採用と、超望遠撮影を快適にする機能が充実しています。面白い機構としては“デュアルアクションズーム”が挙げられます。これは一般的なズームリングによる操作の他に直進ズームに対応し、焦点距離の切り替えが素速く、直感的に行えるものです。今回のレビューでは、フルサイズミラーレス機SIGMA fpと組み合わせたコンパクトなシステムで、都会から自然までシチュエーションを変えて撮影してみました。さてその実力はいかほどか。さっそく作例をご覧ください。
( Photography & Text : A.Inden )
画面構成をシンプルにすることを意識してシーンを切り取っています。直進ズームで大まかにフレーミングしズームリングで細かく詰めていくことで素速く構図を決めることができました。“デュアルアクションズーム”は、スナップの頼れる武器になり得ます。
建ち並ぶマンション群を背景に街灯を撮影してみました。ピントピークはエッジの立ったシャープさではなく、豊かな階調で滑らかに素材を描いている印象です。背景のマンションは建物のディテールを残しながら自然にボケています。
焦点距離200mm、撮影距離約6mで車の一部を切り取るように撮影。望遠効果がもたらす自然なパース感は車のフォルムを美しく見せてくれます。そして車の塗装の雰囲気をうまく残しつつ、なめらかにボケているのも良いですね。
テレ端400mmで撮影。PCで拡大していくと望遠鏡でのぞいているかのように、月面の細部までしっかりと写っていることが確認できます。恐るべし解像力ですね。天体撮影では、三脚を使ってじっくりと撮るものだというイメージがありましたが、光学的にも機能的にもレンズ性能が飛躍的に向上したことで、手持ちでもここまで撮ることができます。
ワイド端100mm、開放値F5で撮影。最新の光学設計とミラーレスシステムへの最適化で様々な収差が抑えられ、周辺まで詳細に描写しています。
焦点距離300mmの開放値F6.3より半段絞って撮影。犬の毛を鉛筆で書いたように一本一本描写する繊細な写りが素晴らしいですね。いいレンズで綺麗に撮ってくれてありがとうと犬も笑っていますね。
ステッピングモーターはパルス信号を用いてモーターの回転位置を細かく制御できるため、動く被写体を追っていくことに長けています。蝶を追いかけているところをAF-Cモード（コンティニュアスAF）で撮影。ピントは狙ったところを追従し続けていました。
柵越しにバラ園を撮影し前後のボケ味を確認しました。開放値はF6.3のためいわゆる大口径のとろけるようなボケ味はありませんが、300mmの焦点距離で撮影すると、ピントを合わせた画面右下のバラが画面の中から浮き上がるように表現されます。
ほぼテレ端で自転車のギヤを画面いっぱいに撮影しています。しっとりとした金属描写も美しく、センターキャップの文字の解像感も素晴らしいです。ただ一番の驚きは1/15秒というシャッタースピードを手持ちで撮影できてしまうこと。慎重にシャッターを切りましたが、約4段分の手ブレ補正は本当に強力です。ちなみにミラーレスカメラで超望遠レンズを使う時は、カメラのストラップを少し短めにして首を支点にピンと貼った状態でカメラを構えることで、カメラがグッと安定します。
焦点距離を400mmにし最短撮影距離約1.6mで撮影すると、撮影倍率は最大の1:4.1になり、約2cmのセミの抜け殻をここまで大きく写すことができます。虫が苦手な人はじっくり見たくないかもしれませんが、セミの抜け殻に生えている毛までしっかり描写しています。開放、テレ端でここまでシャープ。さすがミラーレス専用の新設計です。
ミラーレス専用に新規開発されたテレコンバーターSIGMA TELE CONVERTER TC-2011を使用して前カットと同じ位置から撮影。テレコンバーターをつけると撮影倍率が上がり、ここまで大きく写すことができます。離れたところから虫眼鏡で観察しているような感じですね。触覚の形を見るとミンミンゼミの抜け殻らしいです。テレコンバーターは1.4倍のTC-1411もあります。
超望遠ズームをライトに使う新しいスタイル
人混みで大きな超望遠レンズを構えるのは気合がいるものです。バズーカのように大きくて重い、構えると周りの人の目線が痛い。大変なのはわかっているのですが、シーンをズバッと切り取る快感、超望遠でしか味わえない独特の表現を知ってしまうとクセになります。遠くのものを引き寄せ、見慣れた風景を違った世界に変えてくれる、そんな楽しみから逃れることはできなくなってしまうのです。ただ、ネックは大きさと重さでした。
全長242.5mm、質量1557gの超望遠ズームシステム。SIGMA fpとSIGMA 100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporaryの組み合わせは、手に持った瞬間、身も心も軽くなる、そんなシステムでした。ショルダーバックからスッと出してサッと撮る、そんなライトな感覚で超望遠の撮影を楽しむことができてしまうのです。気軽に使えることがコンセプトの本レンズですが、100mmから400mmまでの広いズーム域は、被写体の引き寄せ方を変えるだけでなく、焦点距離の違いによるボケ方、望遠効果の違いを意図的に作り出すことができ、使い込んでいくうちに自身の写真表現の幅が広がっていくことが感じられるはずです。価格もライトな本レンズは一度手にしたら、いつの間にかどっぷりその世界に浸ってしまう。そんな一本です。
( 2020.11.06 )
ライトに楽しめるフルサイズミラーレス専用設計で実現できたコンパクトで高性能な超望遠ズーム。
シグマ渾身のハイエンド純正フィルターでレンズ前面を保護しましょう。
コンパクトなフルサイズ対応レンズには、コンパクトなフルサイズボディを。
ガッツリとカメラを構えたい方は純正のグリップを。
ミラーレス専用に設計されたLマウント用テレコンバータで高い光学性能のまま焦点距離を2倍の800mmに。
少しでも小さなテレコンバータが欲しい方は、厚みが半分で焦点距離は1.4倍のこちらを。