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祝 PENTAX 100周年! - Chapter 4
カメラボディに迫る「K-1をじっくり探究」

赤く光る液晶。ペンタキシアンの方は「常識でしょ」と思われるかも知れませんが、ペンタックス100周年の企画を始めるまでその存在も、まして、必要性など全くわかりませんでした。ペンタックスOBの方からこの赤い液晶が生まれた理由を伺った時、ペンタックスがユーザーに寄り添ったカメラ作りをなぜ100年も続けてこれたかが、少し分かったような気がしました。それは、開発者自らが写真を撮る1ユーザーであること。写真を撮るとき困ったこと、もう少し改善したいことをユーザー目線からカメラに反映し続けてきたからではないでしょうか。

Casapter 4ではK-1 IIを解剖することで、使いやすさから考えられた機能を「確かにそれは凄いね」から「えっそんなことまでこだわっているの」まで紹介したいと思います。


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ボディ内手ぶれ補正機構「SR(K-1 IIにはSR IIが搭載されています)」(シェイクリダクション)

上の作例は「リアル・レゾリューション・システム」(以下RRS)で撮影。RRS とは「イメージセンサーを1画素ピッチずつ動かしながら4枚を連続撮影し、1画素ごとにRGB各色の情報を得て合成処理を行うことで、より忠実な色再現性と偽色のない超高精細画像を生成する技術である」(メーカーホームページより)。要するにセンサーを動かすことによりマルチショットを合成して高解像度画像を作成するということです。実際撮影してみると驚くような緻密な画が撮れ、更にK-1 IIからは手持ち撮影にまで対応し凄い技術だとわかります。そして、この技術がボディ内手ぶれ補正機構「SR」の応用から考え出されたことがペンタックらしいなと思うのです。「SR」は他社の手ブレ機能がXY軸方向にガイドがありその方向にしか動かないのに対して、ガイドがない方式のためセンサーを回転させることができる唯一の技術です。この回転機能があるから様々な応用が可能になります。あくまで想像ですが、凄いものができそうだと感じた開発者の方が、部署の垣根を超えて新しいアイデアを出し、その技術をそれぞれに活かし形にしてしまう。実際SRの応用で、「自動水平補正」「構図微調整」「ローパスセレクター」など 撮影時便利な機能を実現させています。そして天体マニアの間では使いやすさで評価が高い「アストロトレーサー」も。

「アストロトレーサー」はセンサーを動かすことで星を追尾し長時間露出でも星をブレる事なく写す機能(露光時間は最大5分)。天体撮影は専門ではないので詳しくは説明できませんが、星を追尾するにはセンサーを回転させることが必要になるらしいです。「アストロトレーサー」が生まれた背景には、ペンタックスが過去に赤道儀や天体望遠鏡を販売していたことがあるため天文好きの人が社内に多く、マーケットを考えると導入に踏み込めないであろう機能を情熱を持って作り上げたことです。まさに1%のためにですね。

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PHOTO YODOBASHI上のアシストライトの機能は実際星空撮影をした際に困ったことを解決させた機能でしょうか。真っ暗な中でレンズ交換やSDカード交換ができるようにと小さなライトを仕込み、更にこのライトは照明設定でそれぞれ個別にONOFFの指示ができます。暗闇で不必要な灯を極力排除したい配慮が感じられますね。そして驚きの赤い液晶も星空撮影のために。有名な撮影スポットでは多くの方が撮影されているため、わずかな明かりも気になります。特に液晶の明かりはご法度。そんな状況でも周りの方に迷惑かけずにメニューが確認できるように赤い液晶(暗室のセーフティライトも赤です)を考え出したそうです。周りの撮影者のことまで考えるなんて写真を撮ることを愛するペンタックスらしいですね。

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PHOTO YODOBASHI液晶つながりでもう一つ。液晶が動くなんて当たり前です。しかしダンパーを入れて角度を自由自在に決めれる液晶なんて見たことないですね。更に裏にライトが仕込んであり引き出して照明ボタンを押すと後ろについているスイッチ類を照らしてくれます。まるでスターウォーズの世界ですね。果たしてここまでする必要性があるのか…いや、ここまでやってくれるのがペンタックスのスゴサですね。

スマートファンクション機能

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K-1 IIのトップです。カメラを首からぶら下げていると一番目に入るところです。このトップの作り込み方にカメラをどう使って欲しいかが表れているような気がします。例えば、オートで使って欲しいカメラはシャッターボタンとON/OFFのスイッチだけ、マニュアルで使いやすくするためにシャッターダイヤルと絞り、撮影者の意思を大事にしたい場合は撮影モードと露出補正ボタンなど、カメラの特徴はトップから理解することができるのではないでしょうか。K-1 IIは左にモードダイヤル、右に機能ダイヤル(スマートファンクションの機能を設定)と設定ダイヤル(機能ダイヤルで選択した機能の設定)がついています。このスマートファンクションの機能がペンタックスらしいなと。

初め見たとき「こんなダイヤルいるの?」と思ったのですが、よくよく見てみると必要な機能がうまく選ばれてるなと感心しきり。筆者がこれは便利と思ったのがGrid、BKT、SR。滅多にないのですが必要な時、瞬時に切り替えたくなります。ただメニューからでも用は足せるとは思うのですが、なんか気配り愛情たっぷりのお母さんのようで人間臭いカメラを作るペンタックスらしいなと思ってしまいました。

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モードスイッチは真ん中のボタンを押すとロックが外れるのですが、これが結構面倒ですね。ロックなんかいらないと思いながらも勝手に動いたら困るなといつも思っていたのですが、その解決策がこのモードスイッチのLOCKを解除するスイッチ。なんか、もう世話焼きの近所のおばさんレベルですね。


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自分好みに育てる

ペンタックス100周年おめでとうございます。その歴史を紹介するため、にわかペンタクスファンになって様々な資料を読みあさってみました。その中でChapter 2で紹介したように凄いなと思うことことが多々あった反面「何これ、こんなことしたら儲からへんやん」「ほんまに世話焼きやなー」などとツッコミを入れたくなることも数えきれず。でも、そんな人間臭いところにペンタックスの魅力があるように思えてきました。そしてそのルーツは「ユーザーのために少しでもカメラを使いやすくしたい」という一点に尽きるのではと。

少し前までカメラは一生ものと思われていました。ただデジタルになり技術が著しく進歩し新しいカメラの性能がアップすることで、カメラの消費期限のようなものを感じる時代になってきました。もう手になじむという言葉は忘れ去られてしまったかもしれませんね。

ペンタックスの特長の一つは機材を自分好みにカスタマイズできるところにあります。ペンタキシアンが自由にカスタマイズする様子はChapter 1で紹介しました。カメラ好きなら自分好みの一台を見つけ、そして自分の友として長く使い続けていきたいと思うのではないでしょうか。K-1 IIが発売されたとき、K-1の基板を交換するサービスがおこなわれました。そのサービスは基板を変えるだけでなくマークまでも変えるきめ細やかなもの。大事にしてきた機材を末長く使って欲しいというペンタックスの願いが感じられるものでした。1人1人のユーザーに応えていく、そしてニーズがたとえ1%でもそれに応えていきたい。そんなペンタックスブランドの101年目がスタートしました。

( 2019.12.25 )

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