OLYMPUS PEN E-P3 / SHOOTING REPORT

PENシリーズの最上位機種である「E-P3」は、世代としては第三世代にあたるボディ。従来より確実に速度を増したAFや、タッチパネルモニターの搭載による使い勝手の向上など、着実なアップデートが図られたボディです。発売からは少し時間が経っていながらも主力機として存在し続けている点は、完成度の高さを示しているとも言えます。マイクロフォーサーズの魅力を体現するシンボルとも言えるPENの魅力は、廃れることはありません。

( Photography : A.Inden & S.Zets & M.Ito / Text : M.Ishizuka )

元々画質のバランスに優れたPENですが、デジタルカメラの世界は日進月歩。やはり確実に新しい機種はグレードが上がります。ナチュラルな色再現と自然なトーンは、オリンパスらしい画づくりと相まって、安心してシャッターを押すことができます。AFの速度と精度向上は明白。旧モデルを使っていた方なら、これだけでも感動してしまうことでしょう。タッチパネルによるフォーカス機能もついて、初心者でも思った場所にピントを置くことができます。

光や色の難しい場面でも、よく粘ってくれる印象です。例えば携帯電話のカメラやコンパクトデジタルカメラをお使いの方が、もう少し上手く撮りたくてこのカメラを手にする。間違いなく満足いく画が手に入るはずです。

今や様々なメーカーのカメラに搭載されたアートフィルターですが、先鞭をつけたのはオリンパス。PENのアートフィルターは「元祖」と言って差し支えないでしょう。とはいえこれらのフィルターは、そもそもフィルム時代に写真家が編み出してきたものを、デジタル処理によって再現しているもの。例えば「ラフモノクローム」は、モノクロフィルムの増感現像による粒子の荒れと、ハイコントラストを再現して力強い画を作り出します。「ジオラマ」は、４ｘ５カメラの逆アオリという方法を用いて、ピントが合っている場所の前後を大きくぼかす効果を再現して、まるでミニチュアの世界を撮ったような画を作り出します。そして「クロスプロセス」は、ポジフィルムをネガの現像液で現像する事によって起こる色と階調の反転を再現して、不思議な色の写真に仕上げます。フィルムでの撮影だと現像が上がってくるまで、どの程度効果が現れるのか解らなかったのですが、撮ったその場でモニターを見れば確認できてしまうのが本機能の面白さ。難しいことは考えず、楽しんでみてください。

筆者は初代E-P1を持っているのですが、PENというシリーズは手にしていて飽きのこないカメラです。PENを欲しい方ならこのルックスや質感がそもそもお好みのはずで、PENらしいカメラはPENしかないのですから。筆者のE-P1も革のボディケースやストラップがこなれてきて、気楽なお散歩スナップを楽しむ際に活躍してくれます。ぜひ長く、大事に使うつもりで、このカメラを選択してください。もちろんデジタルの世界は新しいほどに優れており、初代に比べるとE-P3は目覚ましく進化を遂げました。売り手の立場からは買い替えをおすすめしたいですし、所有者としては初代から買い換えたい気持ちも真実ですが…要するに "廃れるカメラではない" ということです。
初心者の方からベテランの方まで。肩に力を入れず、写真をゆったり楽しむための、最高のパートナーになってくれるはずです。