PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

PHOTO YODOBASHI

作例撮影と工場見学記   かくしてこの「画」は作られる
第2回

Starring: 

Nikon D500
&
AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR
AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G

硬派に憧れる。
昔からニコンは男っぽいとか、本格派だとかボディの見た目も角張っていて硬派なイメージを持っていました。というのは私、初めて買ったカメラは他メーカーだったのですが、隣の芝はなんとやらで、なんとなくニコン=男らしくてカッコイイという淡い憧れをずっと抱き続けてきました。憧れはするものの、他メーカーのレンズも次第に増えていったので、そう簡単に鞍替えするわけにもいかずそのまま時は流れ、気がついたらPY編集部の一員になりニコンだけでなくありとあらゆるカメラに触れる日々。そんなある日、私に渡されたのはNikon D500にAF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VRと、AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G。どちらもキットレンズでは物足りなくなった人に一歩踏み込んだ撮影を可能にしてくれるレンズです。しかも今回はDX機最上位機のD500との組み合わせで俄然、力が入ります。仕事でさんざんニコンを使ってすでに分かりきっていることですが、ニコンに憧れていたあの頃の自分に戻って、あらためて隣の芝が本当に青いのか、じっくりと実力を確かめたいと思います。

( Photography & Text : Z II )

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Nikon D500 & AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR

東京都内にも意外とたくさんの庭園や植物園があります。カワセミやメジロなども時々見かけたりもしますが35mm換算で450mmという望遠端の焦点距離は野鳥撮影にはちょっと短いところでしょう。それでもチャンスは突然やってきます。撮影によく使う文京区の植物園で撮り歩いていると、すぐそばの沼で餌をついばんでいる小鷺に遭遇しました。どうやら私は敵ではなくお客と見なされたようでおよそ10メートルのところまで近づいています。いろいろな仕草を撮らせてくれましたが、作例に選んだのは、水中にくちばしを突き入れる寸前のシーン。光るくちばしと鋭い目、緊迫感のある表情を捉えました。暗い背景と白い被写体で高コントラストな条件は普通なら色収差が出てもおかしくないところですが見事にくっきりと描ききっています。色収差というのは光を構成している色ごとの波長の違いから起きる滲みの現象ですが、本レンズではニコンが開発したED(特殊低分散)レンズを3枚使用していることでかなり低減しているのがわかります。

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小春日和の穏やかな朝、見ているとほっこりする瞬間だったので少し離れていましたが超高倍率ズームレンズで瞬時にズーミングしてぐっと引き寄せて撮ることができました、写りを見ていただくと上着のツルツルした質感や分厚く温かそうな手の感じも克明に写し取っているのがわかります。望遠端での撮影ですがピント面は驚くほどシャープでボケも自然な感じで、色のりもしっかりと乗っていて色収差も全く感じませんね。いやはやすごいレンズです。

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東京湾に浮かぶ海ほたるSAに来てみました。海ほたるSAはオープンしてから今年でちょうど20年だそうです。日没前の航空機の発着ラッシュの時間帯でしたので良い位置に飛行機を配置して、焦点距離は35mm換算で約75mm。超高倍率ズームレンズだからこそできる自由なフレーミングが楽しくて時間を忘れて撮ってしまいました。水平線が若干歪んでいますがそんなに気にならないので敢えてそのままにしています。AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VRはEDレンズの他に非球面レンズを3枚使用していることでかなり歪みを補正していますが広角側の焦点域では若干の歪みがあります。気になるようでしたらニコン純正現像ソフトNikon Caputure NX-Dで簡単に補正できます。天気が良いと富士山もよく見えるのでいつか富士山の頂上に沈む太陽を狙えないかな?と思って調べてみるとあるものですね、便利なアプリが。そのアプリによると海ほたるから見た時、次に富士山に太陽が沈むのは2018年3月4日だそうです。きっと写真愛好家たちでごった返すでしょうがチャンスがあったら肉眼で見てみたいですね。その時連れて行くレンズは是非ともこのAF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VRにしたいです。

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Nikon D500 & AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G

一方、こちらはAF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G。マイクロレンズといえば昆虫や花の撮影がお好きな方なら所有しているかと思われますが、未体験の方も多いと思われます。このレンズは被写体にギリギリまで寄れて等倍で撮れるのが特徴です。もちろん作例のような料理の撮影なども最も得意とするところです。作り立てのパストラミサンドのジューシーな肉汁とボリューム感を伝えたくて真横から撮ってみたり最短距離で撮ったり開放F2.8にしたり少し絞ってみたりといろいろやって見てこのアングルになりました。ピント面のキレや断面の質感描写は文句の付けようがない写りです。店員さんもいい加減はよ食えよ!と言いそうになっていました。(笑)

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さて最後にAF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8Gをスナップとして使ってみました。光源はろうそくの炎のみという環境で高感度に抜群の強さを持つD500といえどもなるべく感度はあげたくないシーンです。ISO感度は400に設定、絞りは開放のF2.8、この暗さの中で歯のエナメルの質感まで描写しているのはボディ側の高感度耐性の良さもさることながらレンズの素性の良さがうかがえます。人は喜びの瞬間に口が半開きになるのですね。気をつけましょう。

やっぱり青々としていた。

結果から言うと、やっぱりいいレンズでした。AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VRは、これほどの焦点域をカバーすると普通なら画に滲みが出たりボケが汚くなりそうなところですが、どの焦点域も納得の写りでした。キットレンズの次に買うレンズとしては申し分ないというか、もし持っていたら一番登板回数が増えるレンズになるのではと感じました。AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8Gも期待通りのキレと柔らかいボケはズームレンズではなかなか出せない描写で、しかもこの価格で実現しているのには驚きです。初めて買う単焦点レンズとしてすごくいい選択だと感じました。

相変わらず、プライベートや自分の撮影仕事では他メーカーを使っていますが、先日、ニコンの後藤フェローにお会いする機会があってから、ニコンに惹かれ始めています。やっぱり作った人の生の声や裏話を聞くと、そこにかける情熱を垣間見たり、あぁなるほどな〜と思うことがたくさんありますね。プロダクツを飛び越えて、メーカーに恋するってこういうことを言うのだなと、今さらながら感じている日々です。

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( 2017.12.28 )