Leica M9-P, Summaron 35mm F3.5, Photo by Serow

御朱印をめぐる旅 Vol.9
茨城県鹿嶋市
鹿島神宮

関東エリアで歴史ある神社を数える時にまず挙がるのは鹿島と香取。今回は常陸国の一之宮、鹿島神宮を訪れました。創建は神武天皇の時代ということですから日本書紀を鵜呑みにすれば紀元前のこと。さすがにそれは眉唾だとしても、ヤマト王権の成立した3世紀頃にはルーツがあったのでしょう。夏の暑い日差しの中、コーティングのない古いレンズをつけて、東国随一の歴史を辿ってみようと思います。(写真・文:Serow)

 

Leica M9-P, Summaron 35mm F3.5, Photo by Serow

都心から車で1時間半。千葉の山林を抜けて利根川を越えると、霞ヶ浦北浦のそばに鹿島神宮があります。そもそも昔は霞ヶ浦や印旛沼、手賀沼までもを含んだ大きな湾があり、湾の入り口の北側に鹿島神宮、南側に香取神宮が位置していたようです。東日本大震災の際に倒壊してしまった大鳥居は樹齢500年を超える境内の杉によって再建されました。丸太を笠木とし、貫が柱から突き出た鹿島鳥居と呼ばれる形です。

 

Leica M9-P, Summaron 35mm F3.5, Photo by Serow

境内は森。所々に巨木が立ち並び、添え木を当てられているものもあります。東京ドーム15個分という広さを残した鹿島神宮の樹叢は茨城県指定の天然記念物であり、600種を超える植物が自生しているのだとか。

 

Leica M9-P, Summaron 35mm F3.5, Photo by Serow

社殿の入り口に建つ楼門は、徳川家康の子、初代水戸藩主の頼房によって1634年に奉納されたもの。現在の社殿は二代将軍秀忠、奥宮は徳川家康によって奉納されたもので、中世から近世にかけて武士の尊崇を集めてきたことが伺えます。

 

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● 国譲り
鹿島神宮の御祭神は武甕槌タケミカヅチ大神(建御雷タケミカヅチ之男神)。地震を起こすナマズを押さえつけている姿からも、腕っぷしの良い神様であることが伝わります。記紀神話においては「国譲り」を成功させた使者として登場。オオクニヌシの治める国(葦原中国)にアマテラスが(高天原から)送った使者は、ある者は取り込まれ、ある者は結婚してしまい、なかなか戻ってきません。そんな中で派遣されたタケミカヅチは、力を見せつけ、交渉を成立させたのでした。

神話をどう理解するかには色々な立場がありますが、何らかの史実が含まれるものとして合理的に解釈しようとしたのが江戸時代の新井白石。その著書『古史通』では高天原を常陸国とする説が示されています。果たして鹿島の地とも関連があるのでしょうか・・・。

 

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本殿は令和の大改修中でした。400年経っているとすれば、メンテナンスも必要でしょう。本殿前の鳥居は少し形が違って明神鳥居ですね。

 

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Leica M9-P, Summaron 35mm F3.5, Photo by Serow

奥参道を歩いて行くと鹿園が現れます。アマテラスの命をタケミカヅチに伝えたのが鹿の神だったことから、鹿は神の使いとして今も大切にされているということです。春日大社を創建する際には、御祭神の分霊を鹿の背に乗せて鹿島から奈良までお遷ししたとのこと。

 

Leica M9-P, Summaron 35mm F3.5, Photo by Serow

奥参道は木々に包まれ、夏でも涼しい散歩道となります。鹿島神宮を参拝するなら、この森を歩かないなんて勿体ない。奥宮、御手洗池、要石へと続きます。

 

Leica M9-P, Summaron 35mm F3.5, Photo by Serow

木々の中に佇む奥宮は、徳川家康が関ヶ原戦勝の御礼に1605年に奉納したもの。元々は本殿の位置にあり、その後現在の場所に移されました。家康の戦勝祈願のエピソードは全国各地で聞きますが、どの神に手を合わせても願いは一緒だったのでしょう。現代、絵馬に書かれた人々の願いを読むと、これでも随分と平和な時代になったのだと気が付きます。

 

Leica M9-P, Summaron 35mm F3.5, Photo by Serow

1日40万リットルもの水が湧き出るという御手洗池。昨今はこうした場所がパワースポットと称され人を集めていますが、このカジュアルな感じ、個人的には大好きです。よくわからないけど「ありがたい」と手を合わせる気質は、祖先から伝わる遺伝なのでしょうか。

 

Leica M9-P, Summaron 35mm F3.5, Photo by Serow

神社がなぜそこにあるのか、考えてみたことはありますか? 古くから存在するなら、かつてそこは重要な場所であったはず。そんな視点を持って調べ物をしていくと、神社仏閣巡りもまた一味違った面白さが出てくるものです。1000年前なら道も海岸線も現在と異なっていて当然。鹿島神宮は当時の交通の要衝だったのでしょうし、ヤマト王権にとっては東国支配の最前線だったかもしれません。実際、茨城や千葉にはアイヌ由来と言われる地名が残っています。はたして神話は史実を反映しているのでしょうか。そろそろ、ヤマトタケルの旅にも迫ってみたいところです。

( 2022.08.25 )




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現代に蘇る28mmのズマロン。記事内のレンズとは全く別物ですが、名前だけでも。

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高くなってきたとはいえ、家一軒という値段ではありません。

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改めて読んでみると、現代人の予想を超えていく展開に驚かされます。最初は古事記が読みやすいかと。

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記紀だけが歴史と思うなかれ。各地に貝塚は残り、人は暮らしていたのです。たまには有史以前に思いを馳せて。

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