Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

御朱印をめぐる旅 Vol.7
京都市北区紫野
今宮神社

久しぶりに訪れる京都は新緑の季節。人々の動きも活発になり、にぎやかな日常が戻りつつあります。御朱印をきっかけとして社寺を巡るなら京都は外せない場所。とはいえちょっと歩けば古社古刹に行き当たるという数の多さに、却ってどこへ行くべきかわからなくなりますね。ここは旅人らしく京都の街を歩きまわって、気の向くままに社寺を巡っていくとしましょう。どうぞ京都トリップのつもりで、気軽にお楽しみください。(写真・文:Serow)

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

京都旅行の定番といえば清水寺。二年坂など近辺の街並みも楽しく、観光地としての賑わいも含めて旅行気分を高めてくれるエリアです。いつも同じ構図になってしまいますが、ここは素直に絵葉書的な一枚を狙うべきでしょう。昨今はレンタル着物で街歩きをしている若者も多く、コスプレ気分でも着物文化が親しまれているのは良いですね。

● 唯識という思想
元々は奈良にある興福寺の末寺として、法相宗を宗旨としていた清水寺。これからの時代に必要とされる仏教を模索し、1965年に『北』法相宗として独立したそうです。法相宗といえば「唯識ゆいしき」。「私たちが経験している世界は五感と意識(と無意識)による認識でしかない」という、人生観がひっくり返ってしまうような思想です。映画「マトリックス」のベースとも言われますが、仏教にこうした哲学が含まれていることは意外に知られていないと思います。

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

エネルギーに溢れたみずみずしい色合いに心が洗われます。紅葉の季節もまた素晴らしい光景となるでしょう。

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

千手観音像と千体千手観音立像が有名な三十三間堂。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でもお馴染みの後白河上皇が平清盛の協力によって創建したものがはじまりで、鎌倉期に再建されたものが現存のものだとか。歳を重ねてから見ると、仏像には人の祈りと思いがしみじみと表現されているように感じ、言葉なく圧倒されてしまいました。

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

町中に美しい水の流れがあり、遠くに山並みが見える。普段東京で過ごしていると、こうした景色に憧れを抱いてしまいます。心地よい風に吹かれながら鴨川をバックにお食事。自然は立派なコンテンツになります。

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

旅先で一杯やる方なら、路地を巡らないわけには行きますまい。夕暮れ時から先斗町ぽんとちょうを歩いて京都の夜を満喫。海外からの旅行者が集まっていたときには歩けないほどだそうで、今はチャンスかもしれません。

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

一夜明けて翌日。お散歩の果てに紫野むらさきのにある今宮神社に辿り着きました。京都盆地としては北端、応仁の乱で西軍が陣地とした船岡山の北に位置し、いわゆる西陣エリアの一角。平安京遷都以前よりこの地には社があったということで、深い歴史があるようです。

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

西陣の八百屋に生まれた「お玉さん」。
三代将軍徳川家光に見初められて側室となり、男の子を生むとやがてその子は五代将軍綱吉となりました。いわゆる「玉の輿」のストーリーです。

出家して桂昌院となり、将軍の生母として隆盛を極めた彼女は信心深く、護国寺の開山や神社仏閣の再建に尽力したと言います。故郷西陣の今宮神社が今日のような姿にあるのも桂昌院あってのこと。「生類憐れみの令」など綱吉の治世は評価が分かれるものではありますが、庶民として生まれた母の存在は大きな影響を与えたことでしょう。

 

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

明治時代に再建された本社。境内にはこの他にも社が並び、さまざまな神々が祀られています。どんな神様がどこに祀られているかを見ると、その神社の歴史がおぼろげながら見えてきて、面白みが増すと思います。

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

たとえばこちら、屋根を同じくして全国の神が八社集まっています。石灯籠の風合いを見れば相応の月日が流れたものでしょう。お玉さんが復興したものであれば元禄時代のこと。およそ300年前のものであるはずです。

● 祇園信仰
この地にはもともと疫病や災厄を鎮める社があったとされ、疫社には素盞鳴スサノオ尊が祀られています。隣にある本社に祀られているのは大己貴オオナムチ命、奇稲田姫クシナダヒメ命、事代主コトシロヌシ命。前回訪れた氷川神社と同じような組み合わせに、おや?と思ってしまいました。調べてみるともともと京都には「祇園信仰」と呼ばれる信仰があり、祇園精舎の守護神である牛頭ごず天王を祀っていたのだとか。明治時代の神仏分離令によってスサノオが主祭神となり、仏教由来の「祇園」という言葉が廃され、祇園神社は八坂神社と改称されます。こうした流れであるならば、同じスサノオでも氷川神社とは意味合いが異なるのでしょうね。

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

 

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

 

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

さて東門を出たところに、2軒のお店が向かい合うように並んでいます。いずれも古くから参拝客を楽しませてきた、名物「あぶり餅」のお店。一方は創業1637年、一方は 創業1000年(!)と、日本最古の和菓子屋さんと言われています。実のところ、このお餅を食べてみたくて今宮神社にやってきたのでした。

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

これがそのあぶり餅です。小さく切られたお餅は13本でワンセット。炭火で香ばしく炙り、甘い味噌だれを絡めて仕上げられます。お茶と一緒にいただくと、一人前はペロリと食べられてしまいますね。二軒をはしごして、それぞれの味を確かめてみるのも楽しいでしょう。お玉さんも、池波正太郎も食べていた味です。

 

Leica M9-P, Elmarit-M 28mm F2.8, Photo by Serow

京都は歩くだけでも見どころたっぷりで、一日や二日ではどうにもならない歴史の深さに圧倒されてしまいました。今宮神社は北の端にあるせいか比較的観光客も穏やかで、ゆっくりと京都らしい空気を味わうことができます。少し歩いて船岡山に登れば京都の町を一望でき、応仁の乱の時代に思いを馳せてみるのも一興。そこにある神社に寄ってみれば、祀られているのは誰もが知る戦国の雄・・・おっとこの辺で筆をおきましょう。語り尽くせぬ逸話が残る、さすが千年の都というところで。

 

今回の機材

LEICA M9-P
LEICA ELMARIT-M 28mm F2.8

10年も使えば安い買い物だったと思います。お散歩にぴったりのライカは、先斗町のバーでも話の種になりました。

( 2022.05.31 )




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痺れるプライスに正直おののきます。とはいえ「ライカ一台、家一軒」の時代を思えば、10年使うと思えば・・・どうでしょう?

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広い視野とコンパクトなサイズが魅力。ライカレンズとしてはお求めやすい部類でもあります。

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三蔵法師玄奘がインドより持ち帰った唯識の思想。気軽に触ると火傷します。心してお臨みください。

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旅に出られないときは、写真で旅するのもいい。写真の力をまざまざと見せられる、見事な作品の数々です。

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