PHOTO YODOBASHI

セコニックブース概況最新技術の一方で温故知新の懐の深さ

つい最近、PYでも「露出計特集」をやったばかりなので、やはり露出計メーカー、それも「我らが日本の」セコニックは気になる存在。今年はそのセコニックに敬意を表してブースのレポートをしようと思います。

セコニックは(あらためて説明するまでもないと思いますが)、露出計をはじめカラーメーター(測色計)、照度計といった撮影に欠かせない計測機器メーカーです。会場であるケルンメッセのほとんどのホールは2階建になっていて、セコニックブースはライティングアクセサリー関係の出展社が多く集まる1階にありました。毎年、比較的小さなブースが集まる1階ですが、今回のフォトキナでは出展社が減ったこともあって、使われていないスペースがかなりありました。こうした小さなブースを覗いて周り、その中から掘り出しものを見つけるように歩くのがフォトキナの醍醐味だったんですけどね。さて、セコニックブースを覗いてみましょう。

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ブースには、モデルを使ったデモンストレーションのコーナーが設けられていました。プロの写真家やメーカーの担当者が、機材の特徴を実際に使いながら解説するのはCP+でもおなじみの光景ですよね。しかしフォトキナはCP+に比べると、よりBtoBのビジネスショー、つまり「商談の場」という意味合いが強いので、これはファンサービス的なデモンストレーションではありません。とは言え、今や露出計の存在すら知らない来場者もいたりするので、そういう人たちから見ると、かえって新鮮な光景でしょうね。

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セコニックの今回の目玉は、新製品のカラーメーター「スペクトロマスター C-800」。国内では12月発売予定で、価格は未定とのことです。カラーメーターはLEDやタングステン、蛍光灯など、様々な光源の色を測定して数値化するための測定機で、光源の色の特性に基づいて補正することで、本来の正しい色で見ることができるようになります。そのため撮影だけでなく、多くの産業分野でも使われているものです。
「スペクトロマスター C-800」は(少々難しい話になりますが)、スタンダードな演色評価指数CRIだけでなく、テレビ映像の作成を前提としてカメラの特性を演算に入れて測定する演色評価指数TLCI、99色の基準色と人間の目の特性を元に忠実度)と Rg(鮮やかさ)を指数で表示するTM-30-15など、フォトグラファーや照明メーカーからの要望の強い演色評価モードを搭載しています。ここまで聞いても「?????」という感じですが、今回さらに、映画芸術科学アカデミーが開発した演色評価指数SSI(Spectral Similarity Index)が、カラーメーターとしては世界で初めて搭載されました。普段目にしている色を4つの基準で測定でき、それをメモリーしたり比較したりといったことができるようになったということです。

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こちらは従来モデルの「スペクトロマスター C-700」の特徴を紹介するためのデモ装置。右と左で微妙に色味が異なっているのが分かると思いますが、カラーメーターでは、この色の違いを測定して光の成分ごとに数値化することができるのです。

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ブースのもう片方には、Light Meter Museum(露出計博物館)と称して、歴代のセコニック露出計がズラリと勢揃いしていました。こうした展示はファンにはたまらないものがあります。私と同じように、昔のことを懐かしく思い出しながらショーケースを見つめている人も少なくありませんでした。

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手前が、1949年に発売されたセコニックの最初の露出計です。実は会社が創業されたのが1951年ですから、それ以前の製品ということになります。

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そしてもう一つ、来場者に配られていたオリジナルのノベルティはドイツ製のチョコレート。パッケージを開けるとチョコが並んでいて、取り出すと下にセコニックの露出計が現れるという凝りよう。CDケースのようにも見えるパッケージデザインも素敵ですが、お味の方もなかなかで、大変美味しくいただきました。

( 2018.09.30 )