RICOH PENTAXブース概況 / コンパクトから中判まで幅広くカメラをラインナップ
前回はちょうどリコーとペンタックス両ブランドの事業が統合したタイミングでしたから、今回のフォトキナはその両ブランドの歩みや融合、シナジーが見えてくるタイミングだと感じていました。どちらも歴史を持つブランドですから簡単なことではありませんが、改めて見てみるとうまく製品群を整理して、用途に応じて明確な住み分けができていることに気づきます。レンズ交換式としてはコンパクトなQ、APS-CのK、中判の645。コンパクトカメラにおいては高級コンパクトを切り拓いたGRや、タフ系の製品が印象的です。ユーザに長く愛される両ブランドの今を、しっかり感じていただきたいと思います。
まず目につくのは、今やペンタックスの特徴となったカラーバリエーションのディスプレイ。このように並べると圧巻ですね。上からシャワーのように流れる水に照明で文字や模様を浮かび上がらせるという演出で、白を基調としたブースに華やかな印象を添えていました。自分だけのオリジナルを手にすることができるという意味で、大変ユニークなコンセプトだと思います。
さて、こちらが新モデルとなる「K-S1」。全体的なフォルムやグリップ部の仕上げなど、これまでの一眼レフにないアプローチで面白いデザインですね。シャッターボタン部分やグリップのラインが光るというのも、近未来的なガジェットという印象を受けました。実際構えてみるとホールド感もなかなかで、きちんとカメラとしての使いかたが考えられていると思います。リミテッドレンズをマウントすると更に格好良いのではないでしょうか。
デザインやカラーバリエーションを見ると「見た目」に重点を感じるかもしれませんが、カメラはあくまで撮る道具。一眼レフを作ってきたペンタックスの歴史は伊達ではありません。その上でのイノベーションというわけですから、安心して手にしていただけるものと思います。
開発中のレンズも展示されていました。こちらはスペックも発売時期も未定である超望遠ズームレンズ。この他に標準ズームレンズである「HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 ED DC WR」と、大口径望遠ズームレンズが1本。着実に進むレンズ開発は、うれしいニュースですね。
コンパクトカメラでひとつの世界を築いてきたのはリコーです。GRシリーズはデジタルカメラにおいても確実なファンを獲得しているプロダクト。GRDからAPS-C化したGRが生まれたのは、この2年間における重要なポイントと考えてもよいかもしれませんね。ちょっとした写真撮影が携帯電話・スマートフォンに移行していくなかで、画質に優れるプレミアム系カメラと防水耐衝撃のタフ系カメラに焦点を絞っている。未来を見据えた商品展開ではないでしょうか。
こんな面白い製品も出てきました。「WG-M1」はハウジング不要・液晶モニタ搭載という、これ一つで使えるアクションカメラ。タフ系コンパクトカメラ「WGシリーズ」の技術を応用してアクションカメラを作るとこうなった、というような製品で、このままむき出しであらゆるフィールドに連れていけるという頼もしさがあります。アクションカメラの多くは液晶モニタを別にしたりスマートフォンで代用するものですが、本製品はこれだけで済むというのが便利ですね。もちろんスマートフォンなどで操作することもできます。
本体そのものは防水設計で、前面のアタッチメント交換によって水陸使い分けができるとのこと。余計なものに包まれていない分、音声もクリアに録音できるものと思います。マウントなどのオプションも豊富に用意されますから、アクティビティに合わせたものをチョイスすればすぐに動画撮影をスタート。インターネットでのシェアなど、ほんとうに活発な時代になってきましたね。
会場で（特にプロの方々の）感心を集めていたのは、実は「645Z」です。PHOTO YODOBASHIでも実写レビューをお届けしていますが、中判フォーマットのデジタルカメラとして大多数のニーズを満たすクオリティが得られることは疑いなく、そしてハイエンドデジタルバックに比べれば格段にリーズナブル。仕事用機材としても、コストパフォーマンスに優れた魅力的な選択肢になるのだと思います。
新発売された「HD PENTAX-DA645 28-45mmF4.5ED AW SR」は、645D/Zユーザ待望の超広角ズームレンズ。645デジタルのセンサーサイズに最適化された新設計レンズで、手ぶれ補正も備えたハイグレードな1本です。やはりフイルム時代のレンズだけではボディ（センサー）の力を発揮しきれないところがありますから、デジタル専用設計のレンズが発売されるのは嬉しいですね。このあたりのレンズが揃ってくると、ペンタックスが中判デジタルの勢力図を大きく塗り替えていくということも十分にあるのではないでしょうか。
Kマウントのフルサイズ対応も常に検討されている状況の中で、今メーカーとして注力するべきはこの中判デジタルフォーマットということでしょう。他の中判デジタルが完全にプロフェッショナルユースの世界になっているなかで、645D/Zはハイアマチュアにも覗きうる世界。135フォーマットで物足りない方や、風景写真など一層の解像度を必要とする方に、選択肢と捉えていただきたいシステムです。実は35mm判フルサイズを飛び越え、大きなフォーマットで台風の目になりつつある。そんなRICOH PENTAXブースでした。
( 2014.09.21 )
