会場で気になった商品・サービス (2) / オンライン写真集製作・「極」光沢プリント

前回に続いて第2回目は、プリント関連のサービスについてお届けします。一つ目はドイツのオンライン写真集製作サービスです。パソコンやタブレットにアプリケーションをインストール、画面上でデザインレイアウト・サイズ・装丁方法などを豊富なメニューの中から選び、オーダーできるというもの。写真集はもとより、作品のポートフォリオや、まさに写真集のような家族アルバムを作ったりと、アイデア次第で様々な使い道が考えられそうです。しかも手軽で高品質。しかし凄い時代です。パソコンのプリンター普及が、個人にまず「印刷」を可能にしました。次は「製本」です。それも本格的なモノができてしまうのです。表現のハードルはぐっと下がり、楽しい時代になってきましたね。ざっとサービスについてお届けしましょう。

印刷のクオリティは世界中で日本が最も優れていると各国の印刷物を見る度に感じるのですが、オンラインでデータを送信して製本する手軽さからすれば、信じがたいクオリティの高さです。もちろん、一般的な写真集印刷のプロセスを経て、色や階調の追い込みを専門職の方が緻密に行い、高線数で印刷するものと比較すれば見劣りする部分はあると思います。それでも十二分なクオリティだと感じました。

階調再現がものを言うモノクロはどうだろうと、出力サンプルを探すとちゃんとありました。少しカラーのものに比べるとぱっと見た時の驚きはありませんでしたが、それでも十分でしょう。写真の並び(ページ台割り)から、ページ内の写真の配置まで、アプリケーションで全てコントロール可能です。

デモを見せていただいたので、その模様を。見開きでページを表示、そこにどのように写真を載せるかを決める画面ですが、豊富なテンプレートから選ぶことができます。また、それぞれのカットを細かく調整可能。レイアウトを考えるだけでも楽しそうですね。

こちらはタブレット版(iOS向け)のアプリケーション画面。PC版に比べれば編集の自由度が落ちるそうですが、一通りのことは操作可能だそうです。目的がなんであったとしても写真集を作るという行為は、つまり「人に見せる」ということにフォーカスする必要があります。写真一枚一枚の意味を考え、並びを考え、伝えるためのレイアウトを考えますよね。一連の行為で、明日から撮る写真も何らかの影響を及ぼしそうです。

 

ピアノブラックのような光沢 〜「極」光沢プリント〜

ブースの前を通りかかった時に目を疑うようなプリントが飛び込んできました。圧倒的な光沢感。サンプルがかなり硬い光のカットなので、余計にインパクトがありました。ちょっと見たことの無い雰囲気のプリントです。写真を趣味にしていますから、単にプリントを飾ることはもとより、「これで写真展をやったら凄く面白いだろうな!」なんて思うわけです。いったいどうしたらこんな光沢のプリントが作れるのかと、しばし睨めっこをしてしまいました。答えはプリントの素材に起因するものでした。これはアルミ板にプリントしているのですね。

ブースにいたスタッフの方に素材を聞いても、俄に信じがたいのです。なにせ圧倒的に高精細。「アルミの板に写真を転写しました」なんて看板作るような話を聞かされても、紛う事なき見事な「写真プリント」なのです。どうですかこのインパクト!

もう斜めからしか写真が撮れません。自分が映り込んで仕方が無いのです。黒い鏡の中から像が浮き上がるといった印象です。とにかく凄い!若しくはモデルの方には申し訳ないですが、気持ち悪いほどにリアルなのです(笑)。

冷静になって、ようやくプリントがどうなっているのかを見ます。なんだかアルミ板に写真を転写したというよりは、もの凄く高精細で圧倒的な薄さのLCDパネルを載せたといった印象です。

それでは、種明かしに入りましょう。スタッフさんが持っているのは確かにアルミの板。

なにやらネガ反転したプリントです。特殊な用紙だそうで、この用紙にプリントした内容が素材に熱転写されるという仕組み。Tシャツ作るような話なのですか?それであの光沢感、あの高精細さ? 説明を受けていても「嘘いうたらあかん」なんて脳内ツッコミが止まりません。

確かに素材のアルミ板とプリントを重ねています。その下に見えるのが熱転写の機械です。

(ちがうサンプルですが)ぎゅっとアイロンのように押しつけてプリントを素材から剥がすと・・・どうやら本当らしいです(苦笑)冒頭のプリントもまったく同じ方法で制作されるそうです。もちろんサイズがサイズなので、熱転写機器もかなりの大きさのものになるそうですが。熱転写の機械は、要するに圧することができて熱が入ればよいそうです。つまり特殊なプリント用紙が肝なのですね。

素材はあまり問わないようで、右側に見える女性のプリントは左側の素材、そう「木」にプリントしています。いやはや、恐れ入りました。単純に転写し「写真らしく」見せる程度なら何も驚きはしないのですが、圧倒的なクオリティなのです。いまのところ平米300ユーロ程度の出力コストがかかるそうですが、本当に一度この出力でプリントして、できることならば写真展をやってみたいなと感じました。写真展の用途よりも、建物やイベント等のインスタレーション等には間違いなく効きそうです。また、お気に入りの一枚だけをドン!と大判で出力して家に飾るなど。・・・とにかく魅せられました。




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( 2014.09.24 )