ソニー・インタビュー

最近のソニーが繰り出すカメラを見ていると、めっぽう元気の良さを感じます。実はあらためてお話を伺うのは今回が初めてで、コニカミノルタからのカメラ事業移管あたりまで話は遡り・・・ともかく、ワクワクさせられる製品を矢継ぎ早に投入されているわけですが、その内面について伺ってきました。

( 聞き手:K )

デジタル一眼カメラ事業のスタートからこれまでを振り返って

今回このような形でお話を伺うのは初めてのことなのですが、伺いたいことがたくさんありまして。随分古い話も出てくると思いますが、本日はどうぞ宜しくお願いいたします。まずコニカミノルタからのカメラ事業が移り、当初はソニーというブランドのパブリックイメージからすると随分大人しい印象でしたが・・・。

どうぞ宜しくお願いいたします。2007、2008年あたりでしょうか?

そうですね。私の印象だとソニーさんのカメラ業界に対するリスペクトが凄かったような印象があります。もう少し元気がよくてもいいのではと思っていたぐらいです。ここ数年あたりから、実にソニーさんらしい製品がたくさん出てきました。カメラ部門が移管してそこから新しい商品を生もうと思っていても1年、2年のスパンとなるでしょうから、当初のうちはそのあたりの影響も大きかったのかなと感じています。

最初の何年かはコニカミノルタさんの統括プラットフォームにのっていますので、そこから弊社の流れとなっていくのに、1年、2年では難しい感じがしました。

やはりそう簡単な話ではないですよね。少し話が脱線気味になりますが、わたくしたち編集部のメンバーは生粋のカメラ好きで、全員がカメラの泥沼にはまっているのです(笑)当時、ソニーさんがカメラを始めるというのは大変ワクワクしたのです。やはりこれまでとは違う流れが生まれるんじゃないかと。

そんな風におっしゃっていただけると嬉しいですね。・・・泥沼という話ですが、我々もよい意味でそれを目指しています(笑)Eマウントという選択肢を増やせたことについては、ご期待に添えたかなと感じる部分はあります。Eマウントは新しいフォーマットであり、その時の技術をいろいろと盛り込むことができました。フルフレーム(35mmフルサイズ)を含めてのフランジバックの短さから、他のレンズとの汎用性が格段に高まったり、ボディおよびレンズの駆動系を速くすることでフォーカスの速度を上げたり。またプラットホームが新しいと、それを土台に新たな試みを載せていけるわけです。弊社がよい意味で革新的なものをユーザの皆様にお届けできる土壌を作れたのではないかなと思っています。

α99 実写レビュー

「泥沼を目指している」とするとあれなので、「楽しみのルツボ」としておきましょう(笑)ところで、さらっと割り切ってEVFが載ったデジタル一眼カメラを登場させたのもなかなかのインパクトでした。

EVF/OVFという論争がある中でそれぞれの一長一短は当然ありますが、できる限り解像度を上げながら、EVFのメリットであるアディショナルに情報を如何に載せ込んでいくか。これを突き詰めていかないとOVFには太刀打ちできないと思っています。A マウントはやはりトランスルーセントミラーテクノロジーにこだわっているところがありまして、OVF/EVFがどうというより、できる限りマイナスを無くしプラスを最大にしていく形で、EVFをどうしていくのかを考えています。

なるほど。α99を所有していますが、EVFもここまで来たかと実感しました。さて、もっと早くにお話を伺いたかったので、古い話で恐縮なのですが、NEXシリーズの登場も革新的でした。

そうですね。あの形からしても当時はそうでしたよね。

α6000 実写レビュー

Eマウントが結局α7にまでモデルが拡張して、もうNEXというブランド云々というよりは、αというブランドに全て統一されてしまいましたね。

「NEX」というのは元々ブランドネームではなかったのです。

インパクトがあったので、ある種ブランドになってしまいましたよね。

New E-mount eXperienceという意味が込められて「NEX」だったのですが・・・Aマウント、Eマウントの区別をあまりしたくないと考えていたのですが、あまりにもNEXという名前が独り歩きしているところがありまして、むしろNEXではなくαと呼んで頂くためにはどうすればよいのかという議論が社内でありました。やはりNEXという名前を使い続けると、よい意味で皆様にご愛用いただいていますので、この流れは止められないなと考えていました。そこで思い切って、αという名前に統一しようということになったのです。

SONY RX1 実写レビュー SONY RX100 III 実写レビュー

伺いたいことがたくさんありますが、時間もございませんので駆け足な質問で申し訳ございません。次にRX1/RX1Rについて伺いたいと思います。RX1は、確か前回のフォトキナの際に、まだクリアケースに入っている状態で展示されていたと思います。あの機種のインパクトもかなりのものでした。あのコンパクトなボディーの中に、フルフレームのセンサーが入っているという・・・正直なところ、当時は「正気か?」と感じました(笑)。周辺なんかはきちんと結像するのだろうかと。使って見ると、そんな心配は杞憂も杞憂で、ともかくレンズ描写が図抜けて素晴らしかったのです。製品企画はいつ頃スタートしたものだったのですか?

RX1はもの凄く短期間で作られました。したがって(前回2012年の)フォトキナでお手にとって頂ける状態のものはできていませんでした (笑)ご来場の皆様にぜひ試していただきたかったのですが。それぐらいタイトなスケジュールでリリースされたカメラなのです。「Time to market」と申しますか、開発し市場にリリースするまでを如何に短くするか、このことで競争力のある商品が生まれると考えています。

なるほど(笑)早いもので、RX100も初代から数えてもう3代目に。3代目はいろいろと新たに盛り込まれましたが、かなりレンズの描写能力が上がった印象です。

私のカバンの中にも入っています(RX100 III)。レンズは明るくもしました。

RX10などの提案もなかなか面白いなと感じていました。この辺のラインナップも一通り完成した感があります。この先はいかがでしょう?

RX100、RX100 II、RX100 IIIは、これまである意味で独壇場だったと思うのですが、やはり今回のフォトキナで各社さんが出されてきています。ただ、RX100 IIIについては、このサイズでEVFを入れているので、まだ一日の長があるかなあと思っていますが。。

ここにEVFを突っ込むというか、入っているのが、ソニーさんらしいですよね。EVFの引き出し方で苦労が伺えます(笑)

確かにわかりづらいところはありますよね・・・いろいろ(パッケージ)中に説明の紙を入れたりもしたのですが(苦笑)

いや、素晴らしいカメラだと思います。

ありがとうございます。


αマウントシステムを膨張させていく - αマウントシステムの世界観 -

先ほど、ブースで笑ってしまったのですが、α ILCE-QX1にAマウントの200mmのズームをマウントされていましたが、バズーカ砲のようで(笑)

少しやりすぎかもしれませんけど(笑)我々もおっしゃったとおり「バズーカ展示」と呼んでまして、タブレットと大きな画面でILCE-QX1の動作のプレゼンテーションとして皆様にご覧いただいています。ILCE-QX1は少し前のIFAで商品発表を行い、今回のフォトキナで展示させていただいています。少し話が脱線しますが、我々は3大ショー(IFA、IBC、photokina)に出展しています。それぞれのショーの特性に合わせて様々な商品を展示しているのですが、IFAはやはりスマホ繋がりということで、QXシリーズやアクションカムのミニを。IBCではビデオカメラやEマウントの動画用レンズを。そしてフォトキナではレンズ類ということで、一見何の脈絡もないように感じますが、我々の意図としては、すべて「αマウントシステムの世界観」を注意深くデモグラフィックしているのです。そしてこの世界観をどんどん拡げていきたいと考えているのですね。たとえば、ILCE-QX1はマウントシステムをできる限りスマホのユーザに拡げていく役割を担っているのです。逆にプロフェッショナルの方面には、たとえば動画撮影のためのより動画を意識したレンズであったり、αマウントシステムを膨張させていくイメージです。

なるほど。確かにαマウントシステムとして一括りに見ると大変カラフルですよね。乱暴な表現になりますが、ILCE-QX1は、スマホのユーザーの皆さんに対してマウントの座金を提供し、交換レンズを使って楽しんでもらう入口のようなものですか?

はい、そのように考えています。

ああ、そうなのですね(笑)最初にあのシリーズが出てきた時「なんだこれは!?」と。当然見たことが無いような商品で、面白くて、ついカートボタンをクリックして買っちゃったのですね。正直なところ使いこなせていないのですが。なるほど、そんなコンセプトの商品だったのですね。

そうなのです。裾野の端から端までと申しましょうか、αマウントシステムを静止画から動画へ。もしくはコンシューマーのものからプロフェッショナルのものへ。そんな広げ方の中で、どのような商品を、どの順番で提示していくのかを考えながら進めているのです。

QX1に関しては、APS-Cサイズのセンサーを今回は仕込まれてきました。よくあの小さなボディの中に入るものですね。

そうですね。ベースはご存知のようにα5000になっていまして、結構「やりすぎだ」という方や、QXはもうやらないのかと思いましたなんて言われます(笑)
若しくは、あれだけやるリソースがあるなら他のものを、もう2台ぐらい作った方がいいんじゃないかと(笑)しかし、実は反響が凄くて、しばらく品物が足りなかったのです。作っても作っても足りない状態で。今でも考えていた以上の需要があります。そして、QXシリーズを独自に開発しているわけではなく、必ずマザーとなる機種があって、QXシリーズが展開できているわけですね。

つまりこれもαマウントシステム世界観の"膨張"という1つですね。ソニーさんを見ていて面白いなあと感じるのが、つい魔が差してカートボタンを押させるのが凄く上手いなあと(笑)うちの編集長も面白がって使っていました。

ありがとうございます。

たとえば、子供を本当に考えられないアングルから写真を撮れたりだとか、あの辺がいろいろ面白いですよね。

そうなのです。実は我々もリリースした時には、もっともっとスマホに近づけて使うというイメージをしていました。リリースしてみると、皆さん結構離してお使いなのですね。

私も転がしながら撮ってみたりしました(笑)

離して使われるのであれば、Eマウントを搭載するのもあるのかなと。逆にスマホに付けて使うのであれば、交換レンズを付けても大きすぎるような気がしますが、離してお使いになるのであれば、交換レンズが取り付けられるのもよいのではないのかと考えたわけです。

考えてみればそうですね。スマートフォンの画面も大きくなってきました。こうなると、なかなか面白くなってくる機種ですよね。



レンズシステムの拡充について

少しレンズのお話をお聞かせください。FE PZ 28-135mm F4 G OSSですが、本格的にムービー用に振ったレンズですね。

ソニー独自のSSMや、スムーズモーションオプティクスなどが盛り込まれています。

先ほど少し触らせて頂いたのですが、かなり練り込まれて作られてるレンズだなという印象です。カメラでムービーを撮ることができるようになってしばらく経ちますが、本格的なレンズまでリリースしてくる事例は少ないと思うのです。

4月のNABで開発発表いたしまして、それでやっと今回IBCで発表となりました。

個人的な話で恐縮ですが、私はムービーについては殆どわからないのですが、意味もなく欲しくなります。ちょっとやってみようかなあなんて気にさせられますよね。Eマウントのレンズは、Aマウントに比べるとまだ少し少ないですよね。

現在、(Eマウントのレンズは)2015年までに発売する予定の物を含めてフルフレーム用が13本、APS-C用で17本のトータル30本となります。対してAマウントの方が34本となります。

結構充実してきた印象ですが、α7などの小さなカメラにおいて現状不満点があるとすれば、レンズの選択肢の少ないことです。カメラシステムがコンパクトになるとプロでもメイン機に据えてくる人は多々出てくると思うのです。そうすると一般の方にもかなり影響を与えてくるでしょうね。

そうですね。プロの方がインフルエンサーとなっていただけると思っています。

今回フォトキナでプレスの人々も、前回に比べ、目に見えてミラーレスを手にしている人が増えました。他社さんを見ていても思いますが、ソニーさんもレンズの拡充についてはかなり意欲的に考えられているのでは無いかと想像しています。

その通りですね。レンズは本当に力を入れてやっていきたいと考えています。数もかなり頑張っているとは思うのですが。

確かに結構なペースですよね。レンズのブランドについて少しお聞かせください。ラインナップしているレンズは、ツァイスとGレンズの2つのブランドがありますが、このあたりはどのようなお考えでラインナップが決まっているのでしょうか。さらにややこしいことに、ツァイス本体がEマウント向けのレンズをリリースしています。

(笑)まず、ソニー製のレンズに限って申し上げますと、ソニーのGレンズは、たとえば味わい深いボケ味などにフォーカスしているところがあります。ツァイスの方は解像度の方ですね。実は社内でも厳密な定義は無いのですが、そういったざっくりした棲み分けはあります。

なるほど。Gレンズはもとより、α99にツァイス銘の16-35mmや24-70mmのレンズを使ってみて、本当にその写りに感心しました。なんて素晴らしいレンズだろうと。

今回Eマウントで、いわゆる「小三元」が完成しました。α7、α7R、α7Sの3兄弟と、小三元で、3×3のコンパクトな組み合わせで、色々と提案をしていきたいとは思っているのですが、あとはいつ大三元やるの?とよくお話を頂きます。

もうそこは必ず皆さん思うことでしょうね。(レンズは)大きくなるのでしょうけれど・・・。

そうですね。コンパクトなボディが一つのアイデンティティですから、まずはサイズ優先でF4から始めようということです。おっしゃった通り、小三元に比べればやはり大きくなります。

難しいところですよね。開放の明るいレンズは明るいレンズの世界というものが明確にあって、個人的には魅力を感じるのですが、デイリーユースというか一般的な使用用途でそんなに開放で撮影するかといえば、常にというわけでは無いですから。

市場のご要望を見極めつつ、できる限り早めにロードマップのようなものをコミットしながら、将来どういうものが出るのかをアップデートしつつ取り組んでいきたいと思っています。

しかし、あれだけアクションカムやQX1のようなものだとか、各方面にリソースを注いでいくと開発も大変ですよね。

そうですね。ですから、Time to market という観点からも、あまり長くじっくりやるよりも、できる限り早く濃密に進めていく感じで取り組んでいます。一頃は事業部が細部で分かれていまして、ビデオカメラ、サイバーショット、αとそれぞれ細部で検討開発しているようなところがありましたが、今はプラットフォームで汎用的に応用が利くような感じになっていまして、そこも一つ道にはなっています。

なるほど。α7ひとつにしても3モデルのリリースですから、そんな体制が無いと難しいですよね。振り返ればNEXというかEマウント機に、フルフレームが搭載されるんじゃないかと、皆さん結構想像されていたと思うのです。α7も、本当に振り返って見てみれば、まさにTime to marketといった印象です。少し話が脱線しますが、私の知り合いが最近α7を購入したのですね。もうずっとフィルムで撮ってきて、その理由を聞いても「好きだから」という回答しかないのです。自分でフィルムをパトローネに巻き、撮影が終わったら自家現像、そして自家プリントです。そのプロセスも大好きなのだろうし、フィルムの作る画が大好きなのだろうと思います。彼がデジタルカメラを買う時に何を買うんだろう?っとずっと思っていたのですが、α7でした。彼はレジェンダリかつコンパクトなレンジファインダーカメラを愛用していて、APS-Cやフルフレーム論争(?)に全く巻き込まれて来ていないのですね。なにせデジタルを使ってきていないのです(笑)ただ慣れ親しんだ画角もあり、α7のあのコンパクトなサイズにフルフレームのセンサーが入っているというのも大きかったんだろうと思います。

いやあ、それは嬉しい話ですね。

先ほどのQX1のようなお話ですが、最近のソニーさんを見ていて、カメラの世界でも少し見せ方や使い方の提案を変える事によって、マーケットが滲み出るかのように広がっていくんだなあと感心させられています。ユーザーはそこにずっと期待していると思いますので。ぜひ今後も面白い商品をお願いします。

ありがとうございます。少し余談なのですけど・・・昨日デュッセルドルフの老舗のカメラ店をメンバーと回ったのです。こんな機会の時には、色々とお店の人に話を伺うことにしているのです。ミラーレスの比率を質問して回ったのですが、ヨーロッパはこれまでで一番火が付くのが遅かったのです。今回ものすごくよい手応えがありました。6割からややもすると7割という売場がありまして。ミラーレスはヨーロッパでさえ「来た!」といった印象でした。

そうですか!ぜひバーンと売り上げていただいて、さらなるモデルの成長原資にしていただきたいところです(笑)

手強い先輩方がたくさんいらっしゃいますので。お手柔らかにと思いながら(笑)

インタビューで各社さんお目にかかれれば伝えておきます(笑)時間も無くなりました・・・今日は本当にありがとうございました。ぜひ今後もワクワクさせてください。

こちらこそ、ありがとうございました。




ホーム インタビュー ソニー カメラ レンズ

( 2014.11.26 )




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