ライカ・インタビュー

今回のフォトキナにおいて、最も元気の良さを感じたメーカーがライカ。背面液晶を取り除いたライカM Edition 60、この時代に新しいフィルムのM型を投入、ライカSのアップデートなど、ブースでいろいろと確認するだけで精一杯でした。本当に作りたい物をのびのびと作っている印象ですが、このあたりについてお話を伺ってきました。

( 聞き手:K )

では早速、始めさせていただきます。2年ぶりにお会い出来て嬉しく思います。

こちらこそ再びお会い出来て嬉しいです。

2年前もかなりの盛況ぶりだったですけど、今年もまたどこのメーカーよりも盛り上がっているように思えました。

お褒めいただきありがとうございます。少なくとも、私どもは出来るだけ高いクオリティーの写真を展示したいと考えております。もちろん、技術面も大切ですが、あくまで写真のクオリティを中心に考えております。ご覧の通り、ブース後方に有名な写真家たちの素晴らしい写真を展示していますが、技術とはその写真のクオリティを追求するためのものだと信じております。

ライカさんは、世界中のカメラメーカーの中では、企業規模で言うと日本のメーカーよりも小さい訳ですけど、ブースも一番大きいし、そのブースの半分を写真の展示に割いて、大変素晴らしいと思います。このアイデアというのは誰が出しているんですか。

実際、写真の展示には半分以上の3分の2の面積を使っています。ライカカメラ社はギャラリーも全世界で運営しています。その一部が今回のここフォトキナでの5日間のギャラリーですが、その素晴らしい写真をお客様の意識の中にお届けしたいと言う趣旨で、展示しています。前々回までのフォトキナでは、ケルンメッセ(フォトキナ会場)による「visual gallery」というものがありましたが、そういったことをライカでやらないかという話がありました。我々もちょうど展示写真のクオリティを上げたいと考えておりましたので、それならば我々独自のギャラリーを、面積をふんだんに使ってやってみようことになりました。そして会場の方からも、それに見合ったスペースを提供していただけることで、我々としても好い機会だった訳です。

2012年にライカ S2からライカ Sに変わり、今回ライカ S-Eというものが出ましたが、ライカSの中判フォーマットカメラの今の販売状況と、その状況を見てお考えになっていることをお聞かせください。

一歩一歩ですが、確実に我々が計画した通りの方向に向かっています。やはり、センサーとレンズとのコンビネーションが最高であるからだと思います。お客様からは他の焦点距離のレンズが欲しいとのご要望を頂いていたので、先日リリースした24mmと今回の100mmが加わったことで、素晴らしいレンズラインナップが完成したと思います。とはいえ、お客様からは、あれが足りないこれが足りないというご意見もいただいていることも事実です。そして、30-90mmのズームレンズですが、これがSシステムの売り上げに大きな影響力を持っています。今や多くのお客様が好んでズームを使われますが、このズームがもたらす単焦点並みの画質は他の社のレンズでは得られないもので、更に高い解像力を持ったセンサーにも対応出来るのです。また、ボディは中判カメラでありながらも、35mm判の一眼レフのように扱えます。この独自性も効いているのだと思います。

ライカ Mシステム、ライカ Tシステム、ライカ Xシリーズと、数限りないほどのバリエーションのカメラと交換レンズを展開されていますが、この精力的な動きに我々は驚いています。

なるほど。しかし、これはライカカメラ社が長年大切にしている価値観の一つなのです。ご存知の通り、今年、Mシステムは60周年を迎えましたが、60年前のレンズが最新ボディでも使えます。また、最新のレンズを昔のカメラにつけて撮影することも出来ます。そういったことを、我々は常に追求しています。フォトキナに私が初めて参加した時、お客様から「いつになったらRレンズが使えるカメラが出るんだ」と聞かれたんです。ですので、2013年にリリースされたライカMに関しては、Rレンズ用のアダプターも用意しました。同様に、ライカTに関しても、Mレンズ用のアダプターを用意しています。ズミクロンやズマリットを付けても、クロップ係数が完璧なので、素晴らしい画質を得ることが出来ますし、35mmや50mmレンズの大きさも絶妙ですので、ライカ Tのボディにもぴったり合います。また、高精細の背面液晶を使って、EVF無しでもピントを合わせることが出来ます。ですので、定番のライカレンズが、手軽に楽しめる訳です。

これだけの短期間で、色んなバリエーションを出していることに、私は一人のファンとして敬意を表します。その上でお伺いしたいのですが、この数年の間にこれだけの驚異的なバリエーションを出すための生産は、ちゃんと回っているのでしょうか。

こういう風に考えてみましょう。私たちは中判、35mmフルサイズ、そしてAPS-Cと3つのサイズのセンサーを扱っています。そして、例えば同じAPS-Cサイズでもライカ Xバリオ、ライカ X-E、ライカ X、そしてライカ Tを生産し、お客様のご要望にあった商品展開をしています。また、これはライカ Mについても同様です。生産が間に合っているかについては、もちろん、市場に出るまでの時間が最も大切です。その意味では、理想を言えば、私は決して満足したことはありませんし、もっと早く出来ないかなとも思います。とはいえ、現状にはある程度満足しています。

2年前に伺った時には今の新社屋を建設されていた訳ですが、その2年後に完成したことで、生産供給能力は上がりましたか?

はい、向上しました。そして昨年、ポルトガルの新工場でもレンズエレメントのサブシステムを扱っていますが、そこも前の工場の2倍の面積があります。

なるほど。もう1つ、モデルに関してですが、ライカ M(Typ240)に対してライカ M-E(Typ102)ライカ X(Typ113)に対してX-E、Sに対してライカ S-E(Typ006)と、ベーシックなモデルが出ていますが、期待通りに新しいユーザを取り込めそうですか?

はい。現在のところ、例えばライカ M-Eに関しては、新しいユーザにアプローチすることが出来ています。ライカ X-Eとライカ S-Eに関しては、出たばかりなのでまだ何とも言えませんが、ライカ M-Eは我々が期待していた以上に売れました。

これはちょっと失礼な質問かもしれませんが、ライカ M Edition 60について。おそらくカウフマンさんのいたずらだと思うんですけど(笑)

いえいえ、決してそんなことはありません(苦笑)これは真剣なモデルで、600台限定のモデルです。背面液晶無しの、これまでの中で最もアナログなデジタルカメラです。昔フィルムで撮っていた時はもっと集中して撮っていましたが、このことが最近、デジタル撮影を行う中で忘れ去られていると思うのです。「chimping」という英語がある。ですが、それはデジタルカメラで撮影するたびに背面液晶で撮ったものを確認するという意味です。 とにかく私たちはこの「chimping」に対して、何かしなければならないと思いました。私たちは、ユーザーに対して「chimpingのようなことはやめて、基本に立ち返り、撮る前に被写体をよく見て、撮ることに集中して欲しい」という思いなのです。もちろん、データは後でいくらでもコンピューターで見ることが出来る訳ですしね。とにかく、これは今の業界で、最もラディカルなアプローチだと思っています。その意味では、2、3年前に多くの人に「なんでモノクロームだけなんだ」と言われたモノクロ専用のライカ Mモノクロームも同じですね。

なるほど。では、限定モデルではなく、通常のラインアップに加えるというのはいかがでしょうか。

お客様の反応を見て、通常ラインアップに加えることがあるかもしれません。

本当ですか?それは凄い!(笑)

60周年記念モデルではありますが、さすがに60台だけの限定生産という訳にはいきません。お客様からなんと言われるか(笑)ということで600台にしました。そしてライカ M Edition 60は、春にリリースしたライカ100周年記念モデル(アナログとモノクロームボディにレンズ3本のセット)ともよく合います。液晶が無い鋼鉄製のデジタルカメラであることに加え、付属のレンズも100周年記念モデルの3本とは違う焦点距離なのです。

なるほど。ちょっと話は前後して、ライカ T(Typ701)に関してお伺いしたいのですが、目論んでおられた生産とターゲットとしていたユーザーについてお話しいただけますか。

ライカ Tは、APS-Cサイズのセンサーですが、フルサイズのライカ Mシステムに匹敵する高画質のレンズ交換式カメラシステムという位置づけで展開しています。フルサイズは高価ですからね。しかしながら、既に多くの会社がライカのようなクラシカルなデザイン言語での商品を展開していた中、我々としては全く違うものを出したいという思いがありました。ユニボディのコンセプトもその一例ですね。ご覧のように、このカメラには2本のネジしか使っていませんし、背面のタッチスクリーンなどとも合わせて、とにかく普通とは全く違うデザイン言語で生み出されたものだということですね。その一方で、我々のこれまでのお客様にもお使いいただけるように、Mマウントアダプターを用意しています。また、昔っぽいデザインではなくもっとコンテンポラリーなものを、といったお客様にも興味を持っていただきたいと思います。供給は順調で、現在のところ予測よりも50%程多く生産出来ています。これは成功と言っていいと思います。

なるほど。最後に、次の2016年のフォトキナに向けての目標をお聞かせください。

我々は未来の予定については語りません。我々の製品が語ってくれるでしょう。

なるほど。(笑)分かりました。どうもありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。




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( 2014.11.26 )




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