フォトキナ開催に合わせてコンパクトデジタル5機種を発表し、直近では「EOS 6D」や同社初のミラーレス「EOS M」など、結果的にニューモデルラッシュとなったキヤノン。タッチアンドトライのできるコーナーでは二重三重に人の輪が常にできている印象で、注目の高さが伺えました。

( 写真:A.INDEN / 文:K )

ニコンと同じく、新たにフルサイズセンサー搭載モデルの「EOS 6D」が登場しました。有効画素数2020万画素で5D MarkⅢより若干少なく、しかしWiFiやGPSの機能を盛り込んだ、なかなか面白い存在のカメラに仕上がっていますね。1DXを頂点に、先代でデジタル一眼ムービーの世界を創り上げたその後継機5D MarkⅢと、印象的にはクリエイティブなモデルが並び、6Dは今回盛り込まれたWiFiやGPS、リーズナブルなプライスと、少しユーザーフレンドリーなフルサイズセンサー搭載モデルとなりました。いずれにしても選択肢が増えるのはユーザーにとって喜ばしいことですよね。早い段階で実写レビューをお届けできるよう努力いたします。

背面。前面とともに、1DXを除き、EOSの各機種とよく似ている印象です。ファインダー視野率は約97%。

モードダイヤル。5D MarkⅢ同様のロック機構が設けられている模様です。

軍艦部液晶。

 

従来からあった高倍率ズーム機。しかし今回は何と24mm〜1200mm相当という恐ろしいズームレンズを搭載。開放はF3.4〜F6.5だというのだから恐れ入ります。テレ端1200mm相当で開放F6.5とは他のシステム見渡しても十分な明るさで、しかも強力な手ブレ補正機構が搭載され、このコンパクトさ。このカメラでしか撮れない世界があるかもしれませんね。レンズ構成も実に贅沢で、UDレンズ3枚に両面非球面が1枚という。昨今のコンパクトデジタルカメラの画質向上はめざましいものがあり、「コンデジ(の画質)に緩い超望遠がついても・・・」なんて思う方にこそ一度お使いになっていただきたいと思う次第です。きっと驚かれると思いますよ。こちらも準備が整い次第、実写レビューをお届けする予定です。どうぞお楽しみに。

一眼レフライクなルックス。高倍率ズーム機でフレームすると、往々にして被写体がフレームアウトし「あれ??」ということが起きますが、一度フレームアウトした被写体を探すのは結構大変です。そんなときにレンズ鏡銅付け根部分のボタンを押すと、一旦倍率を下げたうえに、当初の倍率まで戻して、被写体を補足しやすくするアシスト機能が働きます。フレーミングアシストと呼ばれる新機能だそうですが、これは重宝しそうです。しかしカメラはどんどん便利になりますね。いかにメーカーが「写らない」要素を消し潰そうとしているか、そんな姿勢が伺える機能実装です。

さすがに1200mmとなると、鏡銅はずーんと伸びます。しかし、1200mmですから。このサイズで収まること自体が驚異的です。こんなことを書くと各方面から叱られそうですが、必要が無くても思わず欲しくなるカメラですね。

液晶は可動式。地面すれすれだとか、ハイアングルだとか、これが結構重宝します。

 

先代モデルも実によくできたカメラでしたが、新たなポイントはWiFi対応とタッチパネル式の液晶モニターの採用でしょう。先代モデルとスペックは同様ですが、センサーもリニューアル。有効画素数1210万画素。高感度特性がかなり向上し、ダイナミックレンジも拡大したそうです。このあたりは如実に画に効いてくるはずで、実写レビューが楽しみです。もうひとつ、このカメラはフル画素で秒間10コマ撮れたりします。ポケットに入るようなサイズで機能てんこ盛りのカメラ。画にも定評がありますし、購入後の満足度は高いのでは。今回は従来からのブラックに加え、シルバー、ホワイトと新色が追加されました。

ホワイト、なかなかよいですね。シンプルなデザインで好感が持てます。

グリップラバーの色もホワイトに相応しいものに。タッチパネル式となるとかなり便利になりそうです。

 

黎明期から長く続く、キヤノンのコンパクトデジタルにおけるフラグシップ、Gシリーズ。G1Xという大きなセンサーを搭載するモデルもありますが、こちらは別格として、古くからのユーザーの皆さんにとってGシリーズといえば、こちらの一般的なサイズのセンサーを搭載するモデルの方でしょう。先代同様、光学ファインダーを搭載しているのが特長であり、今回はワイド端F1.8、テレ端F2.8と大変明るいレンズを搭載してきました。28mm〜140mm相当で、少しテレ端の長い標準ズームを搭載。これに角度/シフトの手ブレ補正を行うハイブリッドISを搭載しています。贅沢なレンズ構成でズーム倍率も抑えめ、特にテレ端も十二分に明るいということもあり、作画に対する妥協の無い構成になっています。高感度特性がさらによくなり、ダイナミックレンジも拡大したとのこと。このカメラは、大きなカメラを持ち歩けないけれど、使うなら妥協の無いものをと望むユーザーに向くカメラでしょう。EOSと共通する操作系がかなり盛り込まれており、ボディサイズはコンパクト過ぎずホールドするに十分なサイズ。このカメラを前にすると、キヤノンというメーカーが如何に真面目に真面目にカメラ作りを行っているかがよくわかります。他のメーカーがいい加減というわけでは毛頭ありませんが、本当に実直なカメラ作りを行うメーカーですよね。

 

さて、キヤノンが初めてリリースしてきたEOS Mにも触れてきました。第一印象は大変コンパクトであるということ。M用のレンズが当初2本しかリリースされないとなると、システムとして見劣りするかもしれませんが、マウントアダプターを介して各種のEFレンズがその機能のままに使用できます。はじめてミラーレスを購入する皆さんにとっては、コンパクトなシステムながら、APS-Cサイズの大型センサーを搭載し、画質的に良好なものが望めることが最大のメリットでしょう。レンズ交換式ということもあり、システムの発展性も望めます。大型センサーを搭載するとなると心配なのがAFの速度。しかし位相差AFとコントラストAFを組み合わせたハイブリッドAFでこれを補完。妥協の無いAFとなっています。これまでのEOSユーザーの皆さんにとっては、EOSエントリーモデルと同等の画質が得られつつ、コンパクトなマウント互換性のあるミラーレス機(マウントアダプター経由)を手に入れることができます。フルサイズセンサーを搭載する一眼レフと一緒に持ち出せば、テレ端が少し足りないときにボディを交換して取り付けたり、撮影地先で食事に出かけたりするときに、一眼レフを担ぐのは億劫。かばんに忍ばせていたEOS M とレンズを持って出る、なんて使い方も。・・・こちらも準備が整い次第、実写レビューをお届けしたいと思います。

一眼レフのEOSを見慣れていると、当たり間の話ですが極端に短いフランジバックです。筆者としては、APS-Cサイズという大きなセンサーを搭載するが故に、メーカーを問わず色々なレンズを取り付けてみたい、なんて考えてしまいます。このマウント口径ですと、かなりトリッキーなことをしない限り、フルサイズセンサーを搭載するのは難しそうですね。搭載できても、このボディサイズが維持できるか怪しいですが・・・。

背面。コンパクトデジタルのようなサイズです。しかし最近はカメラモデルの境界が色々と霞んできました。それだけ選択肢に溢れるということですが。。。

EVFは内蔵されませんが、接続端子すら無いので、外付けEVF自体も今後用意されるなら、モデルの代替わりが必要そうです。AFの精度が高ければファインダーは不要かもしれません。コンパクトさを最重要視したのだと考えられます。いまから実写レビューが楽しみです。