PHOTO YODOBASHI

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じぶん史上最高の写真集
#8 umep / 梅佳代

Text by KIMURAX

正直に言ってしまいますと、写真集って滅多に買ったことがないのです。実のところ片手で数える程しかありません。本棚にどうやって収めようかと考えてしまう特殊なサイズや大柄なものだったり、お値段もそれなりに張るものが多いわけでして。思いのほか躊躇しちゃうんですよね。そんな私が表参道の書店で思わず手に取ってしまったのが、梅佳代さんの「umep」です。平置きされたその表紙には、ビンゴカードのような紙を手にべそかく少女ら。片や後方の暗がりには、笑顔で何かを渡しているおば様の表情を覗かせているではありませんか。B5サイズほどのコンパクトな写真集ながら、その存在感たるや。バーンとストロボを焚かれても、我関せずでエンエン泣いてたんだろうなと想わせる事件のニオイ。なんじゃこりゃ?と引き込まれ…ハイ、お買い上げとなったわけです。ほとんどジャケ買いのノリでした(笑)。

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梅佳代さんの名を一気に世に広めたのが、2006年の木村伊兵衛写真賞に輝いたデビュー作「うめめ」です。ご覧になったことがある方もきっと多いことと思います。オモシロおかしく、ちょっとオマヌケで可愛らしいカットが散りばめられた、まるで日常のハッピーなハプニング集といった印象でした。そして「umep」(2010年発売)もその楽しいハプニング集的な流れを引き継ぎつつも、ちょっとダークな感じがプラスされた仕上がり。ここぞという瞬間優先で、ライブ感たっぷりに切り取られたシーンはどれも、これでも食らえ!と言わんばかりの潔さが痛快です。その印象的なカットの合間に、あどけない表情のポートレートやワンコやニャンコが挟まれる。はたまた、息絶えている小鳥が小学生の両手にそっと包まれるところが写されていたり。女の子たちが泣いているけど、その理由がさっぱりわからない…。オモシロおかしくて、ちょっとシリアス。全体としてはポップなスナップ写真集としてさっと駆け足で見ることもできますが、そんなちょっと気になるシーンがふと足を止めてくれるのです。

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写真集の帯に「梅佳代の眼は磁石のように路上の奇跡を呼び集め、まばたきの瞬間に“ウメップ”が生まれる。」と書かれています。日頃、PYでのレビュー用作例カットで、梅佳代さんみたいなオモシロおかしい写真を撮れないものか?とまぁ、ロケに出る度にそんなヨコシマな考えがふと過ぎる時があるのですが、なかなかそう簡単には出会えないものです(磁力がないのでしょう)。そんなことよりも、機材の性能確認が主目的ですからね(笑)。ところで「umep」の後半ページにGパン姿のお父さんの股下から、幼児がちょっぴり顔を覗かせているカットがあるのですが、そのオマージュとして「SIGMA 56mm F1.4 DC DN | Contemporary」のレビューで、お父さんの股の下に子供が頭を突っ込んでいるシーンを掲載したとことがあります。やっぱり難しいですね。

( 2020.06.17 )

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掲載カットに関する文字情報は一切なし。見たままに感じる、そして想像させる。説明不要の梅佳代ワールドをどうぞご堪能ください。

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文字情報とのコラボレーションも見てみたいという方には。こういう手もあります。

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カラダもよろこぶ梅、どうぞご賞味ください。

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