PYライティングノート Vol.1  カメラ好きの机

PHOTO YODOBASHI

インターネットの検索で「ライティング」と入れてみると、文章の書き方(writing)の項目がずらっと並びます。確かに文章を書くことは一般的ですが、写真でライティング(lighting)をやってみようと思う人は少ないかもしれません。ライティングというと「そこまで大げさにやらなくても」「機材がない」「やり方がわからない」とほとんどの方は思っているのではないでしょうか。実はそんなことはなく思ったより身近なもので簡単にできるのです。

PYではライティングをもっと身近に感じていただこうと思い、新しいコラム「ライティングノート」を始めます。担当はPY撮影ノートと同じA.Inden。得意技は「周りにあるものは何でも使う」です。梅雨入り宣言と同時に始まるこのコラム、「外に出られないから」なんて言う安易な発想では決してありませんから。

( 写真 / 文 : A.Inden )

ライティングの考え方

ライティングには大きく分けて2つの考え方があります。それは「(1)被写体の形をしっかり見せる」か「(2)被写体の周りも含め雰囲気で見せる」かです。そのどちらかを選択することでライティングの方法も変わってきます。
(1)の場合は以下の手順でライティングを行います(カメラマンによって例外もありますが)

  1. 被写体を置く
  2. カメラを被写体が一番よくわかる場所にセティング
  3. 被写体を動かすことなくメインのライトを決める
  4. 何灯かのサブライトを使いメインライトで表現できなかった部分を補う

結構大変ですね。多分みなさんが一般的に考えられているライティングに近いのではないでしょうか。
では(2)は、

  1. 被写体が似合いそうな雰囲気のある光を作る(自然光でもいいです)
  2. 被写体と小道具を、その光で美しく見えるように置いていく
  3. フレーミングの範囲を決めながらカメラをセティング
  4. 暗いなと思う部分をレフ板で補っていく

あるいはIとIIを逆にして、好きな場面を作ってから、雰囲気のある光(その状況にあう光)を作ってもいいです。
(1)のライティングはかなり本格的な話になるので、PYライティングノートでは(2)を中心に説明していきたいと思います。

雰囲気のある光を作るとは

言葉で書かれてもピンとこないと思うので、(2)の雰囲気のある光の作り方を実際にライトを動かしながらビデオで見てみましょう。今回目指す雰囲気は「1日が終わったほっとする時間」です。

はじめと終わりの光の違いを写真で見てみます。どちらか好みかは分かれるかもしれませんが、後の写真の方が1日の終わりにゆっくり写真を楽しんでいる雰囲気が感じがしませんか。

PHOTO YODOBASHI

PHOTO YODOBASHI(1)スタート:カメラの左前から光が当たっている
左は(1)のセッティング

PHOTO YODOBASHI(2)光の雰囲気の決定
左は(2)のセッティング

光を補う

(2)の写真もシャドーが落ちていていい雰囲気だと思うのですが、もう少しカメラのトップを見せたいと思い軽くレフ板を当ててみました。と言ってもMacBookですが。角度が決められ自立するので銀レフが必要な時に愛用しています。もし白レフにしたければ、白い紙を貼ればOK。すぐに画像も確認できていい相棒です。

(3)少し暗くなっているところを補う
左は(3)のセッティング

光の色を合わせる

(3)の写真を見て「おやっ」と思われた方いらっしゃいますか。左の奥がアンバーに右の前がブルーになっていますね。この作例は自宅の部屋で撮っているのですが、雨戸がないので完全に部屋を真っ暗にできないため、外光の影響を受けているのです(撮影ノートのおさらい:白熱灯は3200Kに太陽光は5500K)。撮影後に修正することも可能ですが、面白い電球を手に入れたのでそれを使ってみました。ビデオをどうぞ。(ビデオは初心者なのですが、このコラムを機会に腕を上げて見たいと思います)

デジタルの良さを活かしライブビューで確認しながら簡単にできますね。下が色を調整した写真です。外光の色は変えられないため、全体が外交色に合わせてブルーになっています。1日が終わり、くつろいでカメラを愛でる雰囲気はやはり白熱灯の色だと思い、ホワイトバランスの設定を変えてコラムトップの写真に仕上げました。

ライティングを簡単に考えよう

ライティングコラム第1回はいかがでしたか。「これなら自宅でできそうだ」と思っていただけましたでしょうか。ライティングには簡単なライティングと大変なライティングがあります。大変の筆頭はカタログの商品撮影でしょうか。カメラの撮影は1カットで1日なんてザラです。車なんかテニスコートのようなスタジオで2日がかりです。

このコラムは商品撮影のようなライティングを目指していません。自宅や身近な場所で、簡単にテーブルフォトが撮れるライティングの方法を、すぐに実践で使えるテクニックを紹介しながら、わかりやく解説していきたいと思っています。余談ですが、グラスのウイスキーを撮影後に飲んだと思われますよね。でも醤油を水で薄めたものなのです。これも裏技ですね。



( 2017.07.05 )

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