わかりました(笑)で、もう1点なのですが。オリンパスさん、Panasonicさんが火をつけて、他の各社さんもミラーレス機を投入してきました。このあたりの流れについて伺えますか?

「少しフォーサーズとマイクロフォーサーズのこれまでについてお話ししますが、フォーサーズのときに、オープンマウントといいながら、なかなか入って頂けなくて。このあたりを考えますと、まずは、とにかく1社でなにかをするっていうのは、限界があると思うんですよね。今回、ボディはまだ2社ですが、レンズでは多く参入いただきました。ムービーカメラができた、業務用ムービーカメラができたとか。いろんな取り組みをされています。そんな流れの中で、もし我々だけでこれをやっていたら、なんとなくコンパクト以上一眼レフ以下みたいな見受けられ方で終わってしまうかもしれないと思うのです。ところが、各社さんが参入してこられたということは、その存在を認めて頂いたといったところが一つでしょうか。もう一つは、OM-Dみたいなカテゴリーの枠を越えたカメラが出てくると、ミラーレスそのものが、カメラの既存のカテゴリーの中でオリジナルなポジションを確立してきたと思うのです。・・・ミラーレスの世界を作り上げてきて、各社さんが参入してくるものに育ってよかったと思っています。もうちょっとゆっくりしていただいてもよいですけどね(笑)」

(笑)なるほど。

「それから、やっぱり業界全体としては、スマートフォンなどの影響がすごく大きい中で、ミラーレスという新しいカメラの形の提案が受け入れられたという実績が、じゃあ今までのカメラはこうゆうもんだということに、こだわらなくてもいいよね、という感じに、よい意味で我々はもとよりカメラメーカー全体からの色々な提案につながっている気がするんですよね。やっぱりカメラは日本のメーカーが中心ですから、新しい提案をどんどんファンの皆さんにしていくべきだと思うんですよね。それはいいことだと思うんですよね」



いつも「喋りすぎだ、あとのフォローが大変なんですよとスタッフから怒られる」と苦笑いされていた小川社長。インタビューでは、終始「バランス」というフレーズがお話の中にちりばめられているのが印象的でした。昨今のデジタルカメラは、ややもすると超ハイエンドと呼ばれるようなスペックのものや、フイルムのトイカメラのようなもののデジタル版など、ともかくバリエーションの豊かさに目を見張ります。そんな中で、フォーサーズ/マイクロフォーサーズのカメラは、まさに「丁度良い」と感じることが多いですよね。作品作りに没頭できるクオリティの画を提供するカメラそしてレンズ群、しかしデイリーユースで使える人なつっこさ。写真の世界に足を踏み入れる際に、その入口で楽しさを教えてくれるカメラだと感じます。そうそう、バランスにちなんで面白いお話が一つ。OM-Dの企画開発時に、アダプター経由でOMシリーズの超望遠をつけたりする際、あまりボディを小さくしすぎるとバランスが悪いと。そんなお話をしていたときに、小川社長が「1000本ノック」と言うのです。何のノックだ??と聞いてみると、なにやら開発者の皆さんに、最低月に1000枚は写真を撮れと言っているとのこと。カメラはあくまでも写真を撮る道具なのだから、撮り手をサポートしてくれるものでなければならない。このあたりは実際に開発者が本気で撮っていないと、ちょっとしちゃうと、すぐに数字の競争なんかに走っていくことに繋がっていくと。そんなお話をしてくれました。「そんな風であって欲しいな」とユーザーであれば願うものですが、まさにそれを地でいくお話で、嬉しくなるインタビューでした。


※OLYMPUS PEN E-PL5のレビューを追加いたしました。あわせてご覧ください。

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