Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

PY 愛鳥日記
鳥の名は - Vol.2 ジョウビタキ

第一回の公開から既に地球は何周したのか、にわかに思い出せない今日このごろ。申し訳ございません。野鳥の撮影自体は続けております。あれから見聞きした鳥はまだ80種類ほどですが、今回は「ジョウビタキ」をご紹介します。スズメやハトよりも「レア感」があって、人間に対しても割とフレンドリーな小鳥なのです。望遠レンズを使っても小鳥のような小さな対象物を大きく写すのは簡単ではないのですが、ジョウビタキの場合は思った以上に近づけてしまいます。

望遠レンズをお持ちでも運動会や風景撮影で使ったきりという方。野鳥撮影に興味はあっても苦手意識があって遠のいている方。この冬ジョウビタキの撮影にチャレンジして、野鳥の世界を覗いてみてはいかがでしょうか。

( Photography & Text by TAK )

Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

ジョウビタキ
スズメ目ヒタキ科ジョウビタキ属
英名:Daurian Redstart
全長:約14cm
冬鳥

野鳥撮影は、ターゲットを見つけないことには始まりません。まず、彼らの特徴や鳴き声や行動パターンを知っておくことが肝要です。ジョウビタキの特徴をご紹介しましょう。冒頭写真と2枚目はオスで、お腹は橙色、頭部は灰色、喉まわりは黒くなっています。翼には白斑を持っていますが、これを着物の紋に見立て「紋付鳥」と呼ぶこともあります。ヒタキは「火焚き」で、火打石のような「カッカッ」という鳴き方もすることから来ています。関西地方では10月頃に渡って来て、3〜4月頃には北へと戻っていきます。なお、このように秋冬に北国から日本列島へと渡ってくる鳥のことを「冬鳥」といいます。

Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

こちらがメスです。他の鳥と同様、基本的にはメスのほうが地味ですが、目がクリッと大きく見えます。「ジョビ子」と呼ぶ愛好家も多く、オスは「ジョビ男」として親しまれています。このカットは2年前に撮影したのですが、その前年にも同じ場所に一羽メスがいました。ジョウビタキの縄張り範囲は半径50-100mと「番地」レベルの狭さなのですが、それを考えると「同一人物かも?」とロマンを抱いてしまいますが、可能性はあります。ちなみに昨年も今年も、この場所ではメスにもオスにも出会えておりません。ジョウビタキの寿命は数年と言われていますから、死んでしまったのかもしれません。他の個体が入ってくるのかと思っていましたが、2年ほど「空き物件」となっています。


Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

ジョウビタキの鳴き声と行動パターン

鳥を見つける重要な手がかりは鳴き声です。これを知っていれば、姿を見る前に「あの辺にいる」と予測が出来ます。ジョウビタキは、渡って来た当初は樹上に止まったりして「ヒッヒッ」「カッカッ」と鳴いて縄張りを主張します。縄張りが定着したジョウビタキは、人間の目の高さくらいの枝や人工物に止まることも多く、「意外と目の前にいた!」なんてこともよくあります。この時も縄張り維持のためか、相変わらず「ヒッヒッ」「カッカッ」と鳴いています。公園はもちろん民家の庭でも見かけることも多く、自分の庭にジョウビタキが来た住人が「今年も来てくれた!」と喜ぶ声を耳にしますし、来なかったら寂しい思いをするお宅もあります。

Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

樹上から地表を観察しチョロっと降りて虫や木の実などを食べ、また元の場所に戻ったりします。また、よく尾羽を上下させたり、お辞儀のような動作をしたりするので、これも見つける時の手がかりとなります。四六時中動き回っているウグイスなどに比べると、ジョウビタキは動きも落ち着いているので、これも撮影には好都合です。こういった習性を撮影に出かける前に頭に入れておくと、捕捉率もグンと上がりますよ。


Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

ジョウビタキに関する民話

この独特の動作に関しては、瀬戸内地方にこんな民話があります。

スズメとジョウビタキは姉妹。その母親が重篤になった。お歯黒を塗っていたスズメはすぐにそれをやめて見舞いに行ったので、死に目に会えた。一方、ジョウビタキは紋付を着たり化粧したりで遅くなり、死に目に会えなかった。怒った父親はジョウビタキにもう食べ物をあげないと言った。結果、今でもジョウビタキは頭を下げ続けている。

鳥に限らず動物に関する民話は世界各国にありますが、それぞれの文化が色濃く反映されていて興味深いですよね。

Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

人を恐れずにヒョイヒョイと近づいて来る習性から、古くは「バカドリ」とも呼ばれていたことを後で知りました。「そりゃあんまりだ」と思いましたが、「愛」という概念が輸入される前の時代なら特に悪気もなくそう呼んでいたのでしょうか。

Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK


Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

可愛く見えても、日々がサバイバル。

前方のオスは少し身をかがめて左側へ移動中。メスも伏せながらではありますが、オスをじーっと見続けていますが、これはもう完全に睨みつけています。かなりの緊迫感で、明らかにご機嫌がよろしくないのが伝わってくるのですが、それはなぜでしょうか。越冬時は集団で南下するのですが、到着後はオスメス関係なく一人暮らしになり、生き残るには食料を確保する場所を維持しなくてはなりません。そこに他の個体が入って来ると、オスメス間であっても激しく争うのです。そしてジョウビタキ以外の鳥に対しては、攻撃的になっているのをほとんど見たことがありません。

Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

「も〜冷や汗かいちゃったよ」と言っているようにも見えなくもないですが、目の上の汗のようなものはホコリだと思われます。

Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

メスはまだ睨んでいます。日々、全力で生きているのです。体重にして20gほどですが、これがシベリアやモンゴルから渡ってくるのですが、最近は国内で越冬する個体も見られるとのことで、私も長野県の車山高原で7月に見たことがあります。ある程度の標高であれば夏も越せてしまうのでしょうね。

Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK

こちらの3枚、左から時系列に並んでおります。ほんの2、3秒の出来事ですが、先程のオスが必死で壁に垂直に止まろうとしていて(キツツキにでもなりたいのでしょうか)、スズメがそれを見守っているのですが、やっと成功した瞬間は誰も見ていなかったというオチが。サラリーマン川柳の世界を見た思いがいたしました。

Nikon D5000, AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR, AF-S TELECONVERTER TC-14E III, Photo by TAK


Nikon COOLPIX B700, Photo by TAK

会いに行ける渡り鳥。カメラを持って探してみよう。

冒頭で申し上げた通り、ジョウビタキは小鳥の中でも近づきやすいので、600mmもあればかなりの大きさで捉えることが出来ます。機材のチョイスは撮影スタイル次第。同じポイントでじっと粘るスタイルもあれば、チャンスを求めて歩き回るスタイルもあります。ある程度の機動力も考慮するなら「マイクロフォーサーズ機+300mm」「APS-C機+テレ端400mmの望遠ズーム」「APS-C機+300mm+テレコンバーター」あたりが現実的でしょう。野鳥は止まっているようにも見えても常にブルブルと動いているので、少しでも高速のシャッターが切れることが大切です。それ故にレンズには開放から高い解像力が求められますし、テレコンバーターを併用してもF値が暗くなりすぎないこともポイントです。カメラ側の肝はAF速度(これはレンズも同じ)、連写能力、バッファメモリ、高感度性能でしょうか。画素数は2000万〜2400万画素もあれば十分かなと思います。

設定はこれまた千差万別です。不肖私個人は、AFモードは動きの少ない鳥ならシングル(飛んでいる鳥ならコンティニュアス)、測距点は中央固定、連射速度は秒間5コマ程度(ここぞという時に最大速度)で撮ることが多いですが、まだまだ模索中でもあります。また、600mmクラスの焦点距離は画角も相当狭いので、狙った小鳥を一発でファインダー内に収めるのにも練習が必要です。ズームの場合は、はじめは広角側からズームインしていくと捉えやすくなります。

もちろん、機材や設定が整っても相手は野生ですから、思い通りには撮らせてはくれません。しかし、その中でもジョウビタキはアプローチしやすい「会いに行ける渡り鳥」であり、野鳥撮影の喜びを手軽に味わえる、美しく可愛らしい小鳥なのです。桜が散るころには忽然と北帰してしまいますが、それまでにぜひカメラを持って探してみてください。割と近所で見つかるかもしれませんし、少しづつ近づけばきっと「大サービス」してくれるでしょう。

最後に、入浴中のジョビ子さんと、「ヒッヒッ」と鳴くジョビ男さんを見てやってください。

( 2020.01.27 )

Loading..

Loading..

最大で秒間11コマの連写。3250万画素と高画素なのでトリミング耐性が高いのも大きな魅力です。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

広いズームレンジの頼れる「白レンズ」です。APS-C機では160-640mm相当をカバーしてくれます。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

D5譲りの至高のAF性能に、秒間10コマの連写能力。野鳥撮影のために生まれてきたようなカメラです。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

たった755gの「サンヨン」。「AF-S TELECONVERTER TC-14E III」経由でAPS-C機に装着すると630mm相当になります。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

秒間11コマの連写に、喰らいついたら放さないAF追従性。フラットな形状で携帯性も良いですよ。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

「ソニーEマウントレンズ 完全レビューブック」でコハクチョウを撮影した際、官能的な描写力に痺れました。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

秒間15コマ。7.5段分の手ブレ補正。逃した瞬間に戻れるプロキャプチャーモード。これぞ「ザ・鳥撮カメラ」です。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

600mm相当、6段分の手ブレ補正で、向かう所敵なし。「1.4x Teleconverter MC-14」併用で怒涛の840mm F5.6相当が手に入ります。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

AF追従で秒間20コマ。6.5段分ものボディ内手ブレ補正。撮影領域を大いに広げてくれる一台です。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

単体でも驚愕の200-800mm相当。この守備範囲は何物にも代えがたい魅力ですよね。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..