PHOTO YODOBASHI

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昨年の春から夏、暇に任せて思いつくままに家の中を断捨離したのですが、クローゼットの下からレコードを発見しました。質・量ともに大したコレクションではないので、世に多いコレクターさん達を考えるとちょっと恥ずかしいのですが、不要なのに捨てられないモノの筆頭です。その中で一番大切にしているのは、Venturesのほかに「森の石松」。

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左が「森の石松」。「広沢虎造」って知らないでしょう?

「江戸っ子だってねえ」、「寿司喰いねえ」などの下りは落語より面白く、カセットに落とし、レコードそのもので聞いたのは一回だけ。Ventures同様に大事で高価なレコードの溝を、針などで減らしちゃいかん、と。最近講談人気が復活しているようですので、久しぶりにかつてのホンモノを聞いてみようかな。カセットも未だ捨てずに残っていますから、それでね。

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富田勲の「惑星」と「オ―ディオ・チェック・レコード」。ジャケットがカッコいいので、見た目優先で購入。

さらにもう一枚は富田勲の「惑星」。ジャケットの絵が未来的でとても気に入ったのですが、元々は1913年イギリスのホルストと言う人の作曲、勤めていた会社の創立より古いことに気付きました。のんびり聴くのに最適なのですが、すこし長いのが性格的に我慢できないのか、ついつい飛ばしながら聞いていました。極めつけは「オーディオ・チェック・レコード」。ニコンF2と同様、入社してから20回もの月賦でステレオセットを買いました。その再生性能を確認しようと買ったヤツ。

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意味ありげなこの溝を見て下さい。スピーカーの左右、位相、音量など基本性能をチェックするためのもの。振幅が広く、深そうな溝が分かりますか?

ところが勇んでチェックしたところ、なんと左右のスピーカーが逆、しかも位相を間違えていたと言う体たらく。それまで気に入っていろいろ聞いていたものの、結局僕には聴く耳はなかった(電気屋としても、配線間違いは失格)と、再び音曲に無縁と思い知らされた訳です。正気に戻って、こりゃ適当なので十分だと考え付き、場所を食うセットを捨ててラジカセに移行し、現在に至ります。でも何かの時にこれだけは必要かなと購入した、オーディオ出力端子付きの安いプレイヤーだけは今でも保存してあります。何時でもレコードを聴けるのですが、作動確認のために一度使った切りで、その後出すのも面倒、たぶんベルトはビロンビロンでしょうね。断捨離候補の筆頭かもしれません。

ところで、話はあちこちに散らかりますが、最初に出会ったレコードは「ソノシート」でした。今ではもう見ることもないのですが、当時はあのペラペラが何かと付録に付いていましたね。貴重品だったのは、カルピスの景品で当たった1964年東京オリンピックを記録したカラフルな数枚組の特集。知らない間に捨ててしまったようで、再度のオリンピックが話題の今となってはとても残念です。確かピックアップに10円玉を載せないと、ちゃんと溝をトレースしてくれませんでしたね。

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初めて買ったレコード「未完成」と、おそらく最後に買った「ポルシェ934」。

初めて買ったレコードは「未完成」。名古屋で喫茶店を営んでいる従兄弟がステレオコンポをプレゼントしてくれましたので、慌てて買ったヤツ。第九のように有名だったり、小学校時代に聞いた威勢のよい音楽があっただろうに、なぜこれを選んだのか・・・今でも謎です。ポルシェのはおそらく生涯最後、結構大人になって買ったレコードです。乗り込んでドアを閉じ、キーを捻るとポンプらしいものの作動音、続いてエンジンの轟音が鳴り響き、走り去って行くというもの。スーパーカーブームの影響で、高価な1/12スケールの934RSRのプラモデルを作っていた頃、生涯買えそうもないと思い、ホンモノを耳だけで楽しみました。

他にはシングル盤が何枚も出てきました。枚数から見て「天地真理」がお気に入りだったことがわかるでしょう。衝撃的な白雪姫のデビュー、いやぁ可愛かった。その後? その話はちょっとね・・・。それはともかく、肝心なそのデビューシングル「水色の恋」が見つからない。なぜか「ひとりじゃないの」が2枚、どうしたことか・・・。他には、同時期から増え始めたフォークソング系、流行した「ピンクレディ」、どうして買ったのか今でもわからない「およげたいやきくん」など、飛び飛びに思い出したように買っていました。何かと一目散で若気の至りばかりだった当時の心境に、ぴたりはまった映画音楽やイージーリスニングなども懐かしい。どれを聞いても、その頃自分に何があったのか、何を考えていたのか、何を考えていなかったのかを思い出してしんみり。

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左上は天地真理です。身の周りにはいなかった可愛さでしたね。

そんなLPやシングル盤に隠れて、大きくて重い(10kg)レーザーディスクプレーヤーとディスクが3枚が発見されました。10年以上放置していたためでしょう、どうイジってもトレイが動きません。

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名機Lasermax LDP-525と内部の回路基板(中央右に動かなくなったロック機構の孔)

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レーザーディスク3枚。名作(中央は迷作)。

「BLADE RUNNER」は、酸性雨が降る未来都市シーンに衝撃を受け、芸者さんが宙に浮かぶ宣伝装置に妙な感覚を覚えましたが、名作として最近リメークされましたね。「INDEPENDENCE DAY」は、1996年独立記念日の直後、新作ニコンF5を引っ提げてアトランタ五輪に早乗りした折りに、街の映画館で公開直後のほやほやを観ましたっけ。宇宙人に戦いに挑む直前、大統領が飛ばす檄の中の「We’re going to survive!」が頭に残っています。元は軍人だった大統領自身が、F15イーグルで飛ぶんですよ、カッコイイ。ところで映画に出てきた宇宙人と宇宙船の研究施設が、あの「エリア51」。既にお気付きと思いますが、このコラム名とイラストはそこからヒントをもらいました。さてその映画館では、話にだけは聞いていた、バケツ一杯のポップコーンを抱えながらとんでもなく大きなコーラを飲むと言うホンモノの米国人(しかも子供)を見て、「こりゃ叶わん。勝てる訳ないな」と思いましたね。しかもさらに悔しいことに、こちらがさっぱり分からない冗談らしいところで大笑いするし。

古い音楽にしても映画にしても、そもそもレンタルで何時でも見られ、ダビングもできる時代を通り越し、今やネット経由で何時でも聴けるし、「何とかプライム」など無料で観ることができる時代になりました。今回見つけたレコード類、さあどうしよう・・・とは思うものの、他のコレクション(?)を披露するときにも書いたように、こういう記事に取り上げて写真も出せて、またしても「ああ、捨てないで良かった」と思うのです。だから癖は治りません。厳かにホコリを払い、遠い目をしながらそっと元の場所にしまいました。

そこで一大事、自分自身でももう要らないよなと思うものが他にありました。スーツ、Yシャツ、ネクタイ、靴下、革靴、コート、手袋、バッグなどなど、社員時代に使っていたビジネスがらみのモノがかなりタンスや引き出しを占めているのです。そもそも退社前からGパン姿が許されていたし、退社後にはドレスコードを気にする場など激減、しかも今後は人に会わずに仕事ができる時代になって行きます。捨てる前にちょっと袖を通して置こうとスーツを着て見ましたら、さすがに現在主流の体にぴったりな細身のデザインには程遠いですね。必要になったら買えば良いさ、と言うことで、先ずはジャケット類から始め、膝の折り曲げが楽になったら、最後にズボンの処分を狙おうと思っています。捨てる前には写真を撮っておく癖があるのですが、きっとそんなことを気にすること自体、断捨離を妨げる未練がましさの要因なのでしょうね、少し反省。

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ウオーキングより重要なリハビリの筋トレ。数kgづつのウエイトを巻いて膝を曲げ伸ばしする筋肉強化。

さて最後にリハビリの話です。現在困っているのは、寝ていても感じる不定期な鈍痛と、膝の角度160度前後でピキっと走る痛みです。幸いクラッチを踏んでも大丈夫な角度ですので、我がマニュアル車の運転ができるのは有難いです。思い出しますと(再々)昔からうさぎ跳びやあひる歩きが得意で、太くなった大腿四頭筋が自慢でした。初めてのGパンは、そんな太ももがやっと入る32インチだったため、ウエストはかなりのぶかぶか。流行り始めた(今よりタイトな)Tシャツとの組み合わせ…想像するとかなりカッコ悪いですね。そんな僕の左足、かばい続けた昨年のたった3か月の間にげっそり細くなっていました。担当医が言うには、痛みを抑えるのも今後のためにも、膝周囲の筋肉を太らせて、半月板や軟骨を保護するのが最良の方法なのだそうです。また、筋肉は退化するのは早いが、元に戻すのはその数倍掛かると言いますので、自分の年齢を考えるとのんびりしてはいられません。通院してのリハビリのほか、自宅では午前と午後の二回、手首や足首にウエイトを巻き、Venturesを聴きながらのウオーキングで体を温め、帰宅したら病院で教わった筋トレをそっくりそのまま再現するという、ストイックな510です。志は「目指せ、三浦雄一郎!」ですので、ご近所から徘徊と見られないよう、前を向いてしゃきっと歩かなければ。それでも以前のようにスカッシュができるのは夏辺りだとか・・・先は長い。皆さんも十分にお気を付け下さい。

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ある日の夕方。雑踏を除けば、実はポールが無くてもウオーキングは可能なんです。でもしばらくは文字通りの「転ばぬ先の杖」を持って歩こう。