PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

そんなスカッシュ、始めた頃はボールをラケットに当てるのにさえ難渋しました。打面は卓球より広いのですが、何しろ腕のずっと先にあって感覚がつかめないのです。インドアですからシューズはとても長持ちする代わり、ラケットは次々に20本買い替えました。床や壁をこするのは日常茶飯事、時に引っ叩いて折ってしまう消耗品だし、そもそも素敵な新製品が出てくるのですから、何れにしても買わなくちゃ。テニスラケットの進歩と同じで、カーボンから始まってデカラケ、厚ラケ、さらに聞いたことのない珍妙な新素材が次々に使われました。

まずは面積が広くなってそれはそれは楽になり、初期からの問題は解決。厚ラケのありがたみはさほど体感できませんでしたが、軽量化はほんとうに助かりました。狭いとは言え、横幅6.4m、奥行き9.8mのコート内を、相手をさけながら隅から隅まで走り回る(動かされる)し、息を整える暇なんてないのですから、担いで走る荷物は軽いほど楽なのです。初期は160gを超えていたものが、最も軽い時には105gにもなりました。しかし、軽くなっても強度は同じ、と都合良くはいかず、3か月で折ってしまって泣いたことも。現在は素材がさらに良くなったのでしょう、115gに落ちついて、しかもかなり丈夫です。

PHOTO YODOBASHI

折れたラケット10本。中央の精悍なマットブラック2本はすぐに折れた最軽量の105g。さて総計お幾らでしょう?

PHOTO YODOBASHI

重ねた10本。横から見ると無残さが分かります。

そんな折れて使えなくなったラケット、当然大事にしていました。結構高かったし、一本一本に思い出がありますからね。しかし隠しておいても、なんだかんだで20本もあると家人に見咎められ、「え? 折れてるの? 布団たたきにもならないわね」と大正論…こないだ思い切って捨てました。思い出にひたりながら写真を撮って。考えて見ますと「蒐集や収集」テーマの中での初めて断捨離…結構すっきりしますね…なくても特に困らないし…過去の自分に少し反省。折れていない中の1本は先日知人にプレゼントして大変喜ばれましたが、さて残りの非現役は未だ7本。さぁ…どうしよう。

一方でそろそろ最新モデルが出そうな時期になりました。たぶんゴルフなどもそうでしょうが、体力の低下を確実に補ってくれる道具の進歩は有難いです。年寄りは最大限に利用するべきでしょう。有難いことに特別給付金も入ったので、市場活性化のためにも。

PHOTO YODOBASHI

左から非現役7本、現役2本。

さてVol.4のウラジオストク以降今回まで、「自分史」的なものが続きました。実はもともと「外に出る」企画を主体に総計12回連載するお約束になっていたのですが、外出自粛のためにおいそれとは取材に出かけられません。残る回数をすべて収集や断捨離で使い果たし、当初の計画が未遂で終わってしまっては不本意であり、皆様に申し訳もつきません。

と言うことで、今回の僕らしいテーマを最後として、しばらく休載させて頂くことにしました。「再開したときにはさぞかし面白いんだろうな」と言われそうですが…自信はありません。これから考えますので、決してアテにはせず、ちょっぴりお楽しみに。お互いに新コロナウイルスや熱中症を乗り越え、再会までくれぐれもお元気で。