PHOTO YODOBASHI

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海外出張時には飛行機内でサービスされるミニボトルの小さなラベルも大事な思い出になります。機内でひと仕事済ませ(というか済ませなくても)、一杯飲みながらラベルキットを使ってシコシコと剥がします。片付けに来たCAはだいたいそんな空きボトルを「おや?」と怪訝な目で見ますね。ラベルキットが無い時は空き瓶をホテルへ持ち帰り、お湯に一晩浸けておけば、翌朝にはラベルが自然に剥がれています。でも海外の場合、ホテルのバスタブはかなりの割合で「栓」の締まりが悪いことが多く、朝になってみると空っぽのバスタブにお酒の瓶が転がっているだけ、というシュールな光景を目にすることもしばしば。

Photo by 510

左上から飛行機内のミニボトル、中国の紹興酒、飲んだ中でおそらく一番高価なシャトーマルゴー、行き慣れたお店の蕎麦焼酎。左下から、高いと言われる日本酒、マグナムのシャンパンから引っぺがしたヤツ、退社祝いに頂いたビールの顔写真付きシール。右下は最新版で、vol.4取材時のウラジオストクで飲んだウオッカ(2本!)。

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中には剥がれないラベルもあるので、そういうのは写真に撮っておきます。これはvol.4のウラジオストクで入手したウオッカ。激しいデザインで格好良いのですが、ボトルに直接プリントしてありました。アルコール度数は標準的な40度、なぁに大したことはありません。

お酒で思い出すのは、出張でよく行った中国です。お仕事で中国へ行かれたことがある方はご存知(そして苦労された)でしょうが、中華系の宴席で出されるのは白酒(バイチュウ)というアルコール度数の高いお酒で、しかも自分勝手に飲むのはご法度。相手(ひとりとは限りません)と目を合わせ、「カンペー!」の掛け声とともに杯をイッキに空け、互いにグラスの底を見せ合うしきたりです。ですから自分が飲みたい時は、誰か相手を見つけてカンペーを仕掛けるというやり方。逆に飲みたくなくても相手から仕掛けられたら受けて立たねばなりません。なので、できるだけ見つからないように目を伏せているのですが、そういうのは逆に目立つんでしょうね、「ヘイ、ホウトン!」(僕の名の中国語読み)と声を掛けられたり、あるいは背後に回られて背中をポンポン、と。「そんな消極的なことではいかん。攻撃は最大の防御なり。こちらから積極的に飲ませに行くのじゃ」と先輩に教わり、勇んで仕掛けてみるものの、結局返り討ちに遭って自沈するわけです。僕は淡々となら何時間でも飲んでいられますが、度数の高いのを短時間に次から次へというのは、やはり無理、何度も辛い撃沈を経験しました。当然ですが、そんな中国でもお酒を飲めない人はいて、そういう人はたいていココナッツジュースをがぶがぶ飲んでいます。ある時の、とてもエラい方がホストの宴会。その人は、制服を着た屈強な男性を伴ってやってきました。「残念ながら私は飲めませんが、代わりにこの者が・・・」と。要するに自分の「影武者」です。そんな役を任されるぐらいですから、男性の酒の強さと言ったらありませんでした。宴会の終わりを待たずして死屍累々。彼の本業が何かは分かりませんが、飲むのが仕事とは羨ましい限りです。

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白酒(バイチュウ)。赤いラベルのものは一般的(!)な53度。黄緑色のラベルのものは67度で、10年ほど前に経験した最高記録です。しかし酔っぱらいに手ぶれ防止は必須機能ですね。