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最後は、自分が車を運転した記録です。

ガソリンの領収書。1992年4月から全てあります。ガソリンスタンドでもらったバインダーにせっせと綴じてトランクにしまってあったものですが、なにしろガソリンを年に4回しか入れない年もありましたので、28年間でもこの程度。エンジンの中で燃焼させる前に、タンクから蒸発してしまった量もかなりある筈。昔も今も車は大好きで常にそばにあったのですが、忙しくて乗る時間がまったく取れない時期が長かったのです。確かに走行距離は少なく、溝もじゅうぶんあるのに「置きっ放しにしているからヒビが入っていて危険」と指摘され、泣く泣くタイヤを買い替えたこともありましたっけ。

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過去28年間のガソリンの領収書。今はスーパーのレシートみたいな細長い領収書ですが、昔はいかにも「伝票」という感じのものでしたね。

総務省統計局で入手したガソリン小売価格(1966~2000年 東京都区部)と照合しましたら、そのグラフのちょうど中央辺りが最古の領収書の日付、1992年に相当します。28年間の領収書によれば1999年の86円/Lが最低価格でしたので、田舎に住んでいるとは言え、お上の統計と大体合っていることが分かりました。

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1966年からのガソリン価格推移(総務省統計局HPより)。政府の皆さん、OPECでの交渉に苦労されていると思います。多分。

ところで、ガソリンを満タンにするたびに習慣で燃費を計算していますが、別に高燃費を記録しようなんてこれっぽっちも思っていません。むしろ(あまり大きな声じゃ言えませんが)燃費を悪くする運転に無常の喜びを感じます。当然、歴代の愛車はすべてマニュアル・トランスミッションです。ここまで来たら、もうA/Tには乗らないでしょうね。

燃費で思い出すのは、走行ライセンスを取得して初めてサーキットを走った時のことです。まずは1周目のヘアピンで曲がりきれずに草むらに突っ込んでしまいましたが、まぁそれはご愛嬌。しかしその後で、今度はいきなりパネル全体の表示が激しく点滅してエンジンが止まってしまいました。コースの真ん中に停車させたら危険、何とか惰性で脇に寄せる判断力はありましたが、原因が思い当たらずしばし茫然。さてはさっきの草むらでどこかを壊してしまったか。困った。どうしよう・・・。ところがしばらくして頭が冷えてくると、そう言えばガソリンの警告灯が点灯し始めていたことを思い出しました。警告灯がつき始める時のガソリン残量とこれから周回する総距離を暗算したらぜんぜん余裕。むしろ車重が減って好都合ぐらいに考えていたのですが、なにしろ初めてのサーキット走行。エンジンをここまでブン回したのも初めてだった訳ですから、燃費が自分の想像以上に悪かった可能性は捨てきれず、ここでようやくガス欠を疑い始めたのです。到着したレッカー車に、おずおずと「とりあえずガソリンを入れてみて頂戴」とお願いしたところ、案の定愛車は何事も無かったように走り始めました。その間ピットにいた友人たちは初サーキットの僕が帰って来ない上、レッカー車が緊急出動するのを見て心配したようですが、理由を白状した時の彼らのズッコケぶりを想像してみてください。後から計算してみますと、その時の燃費は普段の数分の一にまで低下していたことが判明しました。実に初歩的なミスですが、実際に初心者だったのですから仕方がありません。

話は戻って、なぜ未だに領収書を取ってあるのか? これも単に捨てていないだけ。でもこの機会に領収書を眺めて昔を懐かしみ、さらにこうして皆さんにご披露までできました。自分も領収書達も本望を遂げてお役御免、ようやく捨てる時期が・・・と思ったのですが、ま、しばらくすれば否応もなく免許証返納です。その時が来たらクルマと一緒に丁重なお祓いでもして手放そうと思い直し、また静かにトランクにしまったのでありました。

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サーキットにて。ガス欠事件から半年後。ようやく自撮りの余裕が出てきました。えっ? ナンバー? 当然でしょう。