PHOTO YODOBASHI

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LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

LEICA VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm

ライカLマウント用の望遠ズームレンズとしては待望の2本目となる「VARIO-ELMAR-SL 100-400mm f5-6.3」が登場しました。SLレンズのラインアップの中で焦点距離400mmは最長となり、しかもズームレンズですから狙える被写体はスポーツから動物、風景など大きく広がりライカSLユーザーにとっては気になる一本のはず。さらに本レンズと同時発売の専用テレコンバーター「LEICA EXTENDER L 1.4x」を装着すれば、140-560mm相当の超望遠域まで伸ばすことができ、野鳥撮影やマリンスポーツなど撮影範囲はもっと広がります。外装は、鏡胴からレンズフードまで全てマグネシウムと黒アルマイト処理されたアルミニウムで統一され、高級感溢れる外観はライカの風格を感じさせます。サイズはレンズフードなしの状態で198mm、最大径は88mmとスリムな印象。重量は1482g(三脚座なし)とさすが高級ズームレンズらしく堂々たるものです。とはいえ同マウントの望遠ズーム「APO-VARIO-ELMARIT-SL 90-280mm f/2.8-4」の238mm/1850gと比べれば、ズーム域が広いのにもかかわらずコンパクトで軽量です。ボディと一体化した洗練のデザインは手にするだけで気持ちも高まります。今回は身近な街撮りスナップから郊外の自然風景等々で試してまいりましたので、その写りや使い勝手など、じっくりとご覧ください。

( Photography & Text : Z II )

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

満開の巨木はそれだけで圧倒的な存在感があります。それをどう写真で表現するかはさまざま。まずは広角端100mmにて遠くから背景の木々や周辺を写し込むことで、この巨木の雄大さを表現しました。主役の巨木はもちろん、引き立て役の森の木々のディテールまで素晴らしい、まさに圧巻の描写です。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

次に上の作例と同じ位置から望遠端400mmにズームインすると、木の生命力に迫る撮り方もできます。画面全体に曖昧なところがなく、背景とのコントラストも相まって花が輝いているようですね。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

絞りはF8。重厚な岩の色や質感、表面の凹凸を高精細に再現しています。目に止まった何気ないものにレンズを向け、ズーミングにより程よい画角でシャッターを切る。一連の動作がもたつくことなくスムーズにこなせます。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

望遠端の最短撮影距離の1.59mでも十分にシャープな描写。背景にも無数のリンゴの花が咲き誇っていますが綺麗に溶かし、見せたいところだけを際立たせてくれました。


LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

100-400mmほどのズーム域なら自由に寄れて動物の特徴的な部分や表情を切り取ることができます。また、画面内の余計なものを排除し、シンプルな構図や配色にすることで被写体の存在感が際立ってきます。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

専用のテレコンバーター「LEICA EXTENDER L 1.4x」を使用し450mm相当までズーム。丸まって眠っていたかと思えば突然動きだすなど、予測が難しい中でもAFは素早く正確に合焦し、ベニフラミンゴの生き生きとした表情を捉えることができました。レンズのすぐ先にあるゲージ網は完全に溶け、まるですぐそばで見ているかのような臨場感。赤系の発色も見たままに再現され、コントラストも高くクリアな描写です。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

こちらも1.4倍のテレコンバーターを使用し望遠端の560mm相当にて。この鳥は動きまわったり鳴いたりしませんが、見た目の強烈なインパクトが面白く可能な限り引き寄せてみました。くちばしの質感や特徴的なヘアスタイルなど高精細に描写しています。


LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

街はすっかり初夏の装い。背景のざわめく街路樹は美しくブレンドされ、初夏を物語る一つだけの要素にフォーカスできるのがこのレンズの面白さでしょう

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

約250mmで撮影。道路や線路など撮りたい位置に制限があり、寄ることも引くこともできない時こそズームレンズは重宝します。かつての路面電車の面影を残す車両が走る街は車両スピードのせいか、なんだか時間がゆったりとしているように感じます。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II離れた位置から程よいサイズに調節できるのが望遠ズームの利点。引き寄せるだけでなく「配置」する楽しさがあります。上から見ても可愛らしい2両編成ですね。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

およそ8km離れたところから望遠端にて。ちょうど雨あがりで空気が澄んでいたおかげもありますが、この距離からでも実にシャープで立体感も申し分ありません。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II

本レンズには手ぶれ補正の切り替えスイッチは無く、レンズ内の光学手ぶれ補正をカメラ内で制御。これほどのスローシャッターでも驚くほどしっかりと止まっています。

LEICA SL2-S, VARIO-ELMAR-SL f5-6.3/100-400mm,  Photo by Z II


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ライカSLシステムの望遠側を拡張する決定版

これまでライカSLレンズの望遠ズームは選択肢が限られていました。おそらくですがライカの厳しい性能基準をクリアするためには、大きく重く価格が高くなってしまうのも一因だったのではないでしょうか。本レンズが登場する以前の唯一のSL望遠ズームが、そうであったように。さて、ライカSLシステムのボディは3代目のSL2 Sになり、ボディ内光学手ぶれ補正が可能になりました。さらにAFの精度とスピード、連写性能など、ボディの性能が上がり望遠ズームを支える土台ができたのだと想像します。そこへLマウントアライアンスのパナソニックやシグマと連携することで高い描写性能を維持しながらコンパクト化や使い勝手、ボディとの電子的な連携が実現しました。つまり望遠撮影を取り巻くあらゆる問題を解決したことでライカの基準を満たす望遠ズームレンズを生み出すことが可能になったのです。「VARIO-ELMAR-SL 100-400mm f5-6.3」は息を呑むほどの描写が得られ、使い勝手はデジタルミラーレス世代の撮影機材としてなんら不足なく、そしてSLレンズの中では断然お求めやすい価格なことも魅力的です。ライカSLユーザーの方で、まだ望遠ズームをお持ちでないなら、本レンズをお勧めいたします。他をお使いの方もこのボディとマッチしたエレガントな外観を見たら、、、。やっぱり見た目も大事ですよね。

( 2023.05.09 )

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ライカSLシステムをお使いで望遠側の画角が必要なら持っておくべき一本。迷う理由がないほどの出来栄えと価格ではないでしょうか。

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ボディ内光学手ぶれ補正機構は望遠レンズにとっては必需品です。ボディはこちらがお勧め。

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本レンズを購入ならテレコンバーターも揃えておきたいですね。こちらは現時点では本レンズのみに装着可能です。

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