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LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz

Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM

フォクトレンダーの Vintage Line として新たにラインナップされた Leica Mマウント用レンズ「 Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical 」のレビューをお届けします。2019年1月末に発売となった本レンズは、クラシックレンズを彷彿とさせる外装を持ち、往年のズミクロンやズミルックスにも通じるレンジファインダー向けレンズらしいコンパクトさが魅力。また、開放絞り値を実用的なレベルに抑えることで、コンパクトネスと光学性能の高さを両立させている実力派でもあります。機動性の高さからも様々なシーンで活躍するレンズであることは想像に難しくありません。使い勝手を含め、じっくりとその写りを見ていきましょう。

( Photography : Naz / Text : TA )

LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz

LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz

LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz

M型ボディに合うコンパクトなレンズ、しかも写りは一級品。

デジタル時代のレンズの高性能化に伴いレンズの物理的なサイズも大きくなってきていますが、その中で本レンズは、往年のM型ライカ向けの35mm F2という同スペックのレンズに肩を並べる、全長28.1mm、重量170gのコンパクトなサイズ・重量を維持しています。それに加えて鏡胴の凝ったデザイン、金属鏡胴や縮緬塗装が施されたフードの質感も高く、所有欲をも満たしてくれる一本に仕上がっています。写りについてもご覧の通り。開放から画面隅々まで安定感があり、解像感の高さが作例からもおわかりいただけるでしょう。また本レンズは、高い解像力を有しながらも画が画一的になることがなく、自然な奥行き感や立体感を描くことですっと画に引き込ませる魅力があります。ピントを面で捉えるとなおさらその素性の良さを感じることがあるのですが、そのあたりのバランスのさせ方が非常に巧いと感じました。


LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz

LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz

コントラストが高く、光や影を捉えるのが楽しくなるレンズです。ボディーとのマッチングもよく階調表現も大変豊か。カメラ任せに撮っても出てくる画がすこぶる良く、何処か気品を漂わせています。また、しっとりとした空気を表現するのがとても上手いレンズのように思います。


LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz

周辺減光はやや大きめですが、このレンズが醸し出す世界観において、もはやデメリットにすらなりません。演出としてうまく活かしてしまうのが使いこなしのポイントです。

LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz

立体感が素晴らしいですね。非球面レンズを使った解像度重視のシャープなレンズですから、ボケ味にやや硬さは感じるものの、全体的にはよくまとめられている印象です。また、フォクトレンダー製レンズのM型ボディとの距離計連動の精度の高さについても触れておきたいところです。(※画面のクリックで原寸画像を表示します)

LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz

中景〜遠景のシーンを敢えて開放で捉えてみましたが、F2からこの解像度。1段絞ったF2.8だとより安定するものの、開放でも躊躇なく攻めて行けそうです。


LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz

LEICA M10, Voigtlander Ultron 35mm F2 Aspherical VM, Photo by Naz


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M型ライカ向け35mmF2 のベストバイレンズ

筆者もフォクトレンダーのレンズは何本も所有しております。理由は多岐に渡るのですが、フォクトレンダーのバランス感覚や描写が何よりも好きなのです。そんな力作ぞろいの中でも、本レンズはフォクトレンダーの「いいとこ取り」をしたような洗練された一本だなと感じ入ってしまいました。十分な解像力を持ち合わせながらも自然な奥行き感や立体感を描き、開放F値を抑えたことで高い光学性能とコンパクトネスを実現させています。その描写や佇まいには気品すら漂っています。外装の全てのパーツは金属製で「物」としての完成度も高く、M型ライカに良く似合います。明確なクリック感がある絞りリングは気持ちの良い操作感で、指一本で操作できるピントレバーによるピント操作が撮影する喜びを増幅させます。機動性という面でも、このスマートな操作性がアドバンテージになり、またピントの位置を指先で把握しやすいので(真下が約1m)素早いフォーカシングが可能です。このように至れり尽くせりなレンズなので、ポンと買えるような代物ではないと想像するのですが、実は買えるかもしれないというコストパフォーマンスの高さがまた非常にニクイところ。日々のスナップや旅のお供として、この一本があって良かった。そう思えるシチュエーションは少なくないはずです。現代のM型ライカ向け35mm F2としての決定版レンズでしょう。まだお持ちではないですか?

( 2020.02.27 )

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十分な解像力を持ち合わせながらも自然な奥行き感や立体感を描き、開放F値を抑えたことで高い光学性能とコンパクトネスを実現させたM型ライカ向け35mm F2の決定版。ライカにはこうした小さなレンズが似合いますね。

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縮緬塗装が施された金属製のラッパ型フード。本レンズと合わせていただくことで、非常にスタイリッシュな外観となります。

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フードはLH-12のほか、こちらのスリットフードもお使いいただけます。

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大切なレンズ、フィルターで前玉をしっかり保護しておきましょう。

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