SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/1000, F5.6, ISO 100, Photo by Naz

Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III | SHOOTING REPORT

お待たせいたしました。今春のCP+2015で発表、その後発売となりましたSuper Wide-Heliar 15mm F4.5の実写レビューをお届けします。コシナがリリースするVoigtländerブランドの35mm版フィルムカメラ「BESSA」用として1999年に登場したLマウント版の登場から16年、そのI型をMマウント化・距離計連動としたII型の登場から6年を経てのフルモデルチェンジ。今回、完全デジタル対応となりました。Voigtländerブランドのライカ互換マウントレンズの中でも、発売当初から銘玉と言われていた人気の高いレンズですから、全くの新設計となったIII型の写りが気になる方も多いと思います。早速作例を見ていきましょう。

( 写真 / 文:Naz )

SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/2000, F4.5, ISO 100, Photo by Naz

先代のキャラクターを簡単にまとめると、(1) 目が痛いほどのシャープネス (2) メリハリのある高いコントラスト (3) ダイナミックな周辺減光 (4) 極めて少ない歪曲…といったあたり。超広角レンズとしてはたいへん優秀なレンズという印象です。今回作例の撮影を行い、III型でもこれらの性格や特徴は踏襲されていることに大きく感心しました。加えて、センサー面への入射角などフィルム時代より厳しくなった要件をクリアし、デジタル時代に合わせて再設計したのが本レンズの最大のトピックといえるでしょう。

SONY α7, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/125, F8, ISO 100, Photo by Naz

対角画角110度。両目を開いてぱっと認識できる範囲がほぼ全部写る、というのが15mmレンズに対するイメージでしょうか。画角90度の21mmレンズと比べても明らかに広く、考えると使いこなせるのか心配にもなってきますが、使ってみれば意外にも楽しく遊べるレンズではないかと思います。このカットでは、山や森に囲まれた初夏の棚田を撮ってみました。一般的な焦点距離のレンズでは部分的にしか捉えることができない風景ですが、この画角だからこそ、外側にある川や山をも含め棚田を囲む風景全体を捉えることができるのです。

SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/60, F4.5, ISO 200, Photo by Naz

超広角レンズは眼前の風景を広く捉えるほか、限られた狭い空間をギュッと圧縮して収めることにも重宝します。わずかでも傾けば激しいほどのパースがつきますが、水平垂直に気をつけながら撮影することで実に自然な描写が得られます。ガラス窓で隔てられた屋内と屋外それぞれの描き分けが見事ですね。

SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/2000, F4.5, ISO 100, Photo by Naz

SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/350, F11, ISO 100, Photo by Naz

SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical II, 1/2000, F4.5, ISO 100, Photo by Naz

SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical II, 1/350, F11, ISO 100, Photo by Naz

これまでII型を愛用されてきた多くの方が、III型の登場を気にされているのではないでしょうか。もちろん私もそのひとり。ではII型とIII型を比べてみましょう。上段がIII型、下段がII型です。左は開放のF4.5、右はF11。サムネイルを見てもわかるとおり、周辺減光は軽くなり、周辺の色被りはほぼ解消しています。周辺光量についてはどちらのレンズも絞りによる変化はほとんどありません。中心部のシャープネスは開放からどちらも非常に高いレベルですが、フィルム時代の設計となるII型では周辺部へ行くに従い像が甘くなり、F11まで絞ると画面全体が安定してくるといった感じでしょうか。驚くのはIII型で、開放から周辺まで高いレベルで描写が安定し、II型のF11よりもIII型の開放の描写は鮮烈です。また画質は、絞り値による変化がほとんどなく一定しています。

SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/80, F4.5, ISO 100, Photo by Naz

Mマウントレンズを使用できるSONY αシリーズ用マウントアダプター「VM-E Close Focus Adapter」を一杯まで繰り出して撮影してみました。元々レンズ単体でも距離計連動外となる0.5mまで近接の撮影ができましたが、これにマウントアダプターを繰り出すことで約12cmまで被写体へ迫ることができます。この12cmというのは、センサー面からの距離ですから、実際には内蔵フードの先端と被写体の距離はわずか3cmほど。この写真はカメラを紫陽花の生け垣の中に突っ込んで撮影しています。レンズの最短撮影距離を越える使い方ですから、周辺の像は多少崩れますが、被写体へぐっと迫った迫力のある1枚を生み出せます。アウトフォーカスとなった背景の建物も描写もなかなかですね。

Canon EOS M2, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/80, F5.6, ISO 400, Photo by Naz

キヤノンのミラーレスカメラ、EOS Mシリーズにマウントアダプターを介して使ってみました。APS-Cサイズにクロップしても、II型では周辺に若干の色被りが残っていましたが、III型ではもちろん完全といえるレベルで解消しています。35mmフルサイズ換算で1.6倍となるEOS Mでは24mm相当、SONYやFUJIFILMのAPS-C機では1.5倍の22.5mm相当と扱いやすい画角の広角レンズとして、実に楽しく撮影できました。元々は15mmレンズですから、深い被写界深度を活かしての目測でのスナップ撮影も難しくありません。F4.5の開放でも2mに指標を合わせれば、約1m〜無限遠を深度に入れることができます。

SONY α7, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/200, F11, ISO 100, Photo by Naz

歪みをまったく感じない描写が大変素晴らしく、直線が入り交じった都市の光景も大胆に写し撮ることができます。

SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/400, F4.5, ISO 100, Photo by Naz

SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/640, F5.6, ISO 100, Photo by Naz

Leica M Monochrom (Typ246), Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/180, F11, ISO 320, Photo by Naz

Leica M Monochrom (Typ246)でのカットです。ご存知の通り、M Monochromはベイヤー配列のカラーフィルターを持たないモノクロ専用機のため、高い解像力が得られるカメラです。Super Wide-Heliarの優れた描写性能は、M Monochromが持つ曖昧さのない描写をより一層引き立ててくれるいい相棒になります。締まり気味のシャドウの中にも潰れること無くディテールが残されており、写真のリアリティを一段も二段も高めてくれています。

Leica M Monochrom (Typ246), Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/500, F11, ISO 320, Photo by Naz

SONY α7R, Voigtländer Super Wide-Heliar 15mm F4.5 Aspherical III, 1/50, F4.5, ISO 1600, Photo by Naz

先日、国の重要文化財となった愛媛県内子町の内子座。来年で築100年を迎え、今も現役の芝居小屋として使われている貴重な木造建築です。高感度に強いカメラとこのレンズによって、舞台上から見える景色を余すことなく写し取ることができました。

16年の進化を使い込むほどに感じる、極めて優秀な超広角レンズ

II型に比べると全長・径ともに大柄になった印象のIII型ですが、元々コンパクトなレンズでしたから、これまで同様に存分に振り回してお使いいただけます。6群8枚から9群11枚へと構成もより複雑になり、描写力が大幅に改善されたにもかかわらず、よくこれだけの性能をこの大きさに詰め込んだものだと関心しました。性能アップによりII型の持っていた強烈なキャラクターはいくぶんマイルドになったようにも感じますが、一方でそれは様々なシーンへ活躍の場を広げてくれた証左でもあります。Voigtländerブランドのレンズに共通した高い質感と工作精度を誇る金属鏡胴は、信頼性や撮影意欲を高め、所有欲も大きく満たしてくれることでしょう。ピントリングの大型化に伴い、ピントレバーは廃されましたが、幅広のローレットがより繊細にピント合わせを行えるようになりました(EVFでピントを追い込む場合は絞り開放が確実です)。スナップ撮影のほか、精密な建築写真や風景写真など幅広くご活用ください。新しいSuper Wide-Heliarは、カメラバッグに常に入れておきたい一本となってくれることでしょう。

( 2015.07.16 )




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あらゆる性能が数段上がったコシナの自信作です。超広角レンズを末永く楽しんでいただける信頼のおける一本に仕上がっています。

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周辺の色被りもモノクロなら気になりません。コンパクトかつリーズナブル、そして強烈な個性。手に入れるなら今のうちです。

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目測を使いこなすと、スナップシューティングは俄然楽しくなります。そうなるとファインダーはフレーム以外不必要に。潔くなりたい方はぜひ。

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SONY αシリーズで遊びたい方の必須アイテム。レンズ同様、総金属製の高い工作精度により、近接時の性能低下を極限まで抑えられます。

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