TAMRON SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 Model 272E

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

キレのあるシャープな描写と柔らかいボケ味で定評のあるレンズ。前機種の172Eからコーティングを改善し、フォーカスリング等の変更といったマイナーチェンジを施した上でデジタル用として発売するだけあって、もとより光学系の完成度が高かったことを窺わせます。完全逆光ともなれば、それなりにゴーストやフレアは現れますが破綻することはないでしょう。最短撮影距離は29cmと近く、ワーキングディスタンスも縦横無尽。APS-Cなら135mmという長めの中望遠マクロにもなるのでポートレートなどにも打って付け。とにかくリーズナブルに入手できるので、中望遠マクロに興味があるという人にはぜひ手にとってみて欲しい1本です。

( Photography : S.Zets / Text : KIMURAX )

朝日に照らされる猫じゃらし。この草って小さな花を咲かせるんですよね。もう終わりのころでしょうか。雑然とした被写体ですが、浅い被写界深度で整理され、フォーカスエリアのシャープな像が際立っています。雫への映り込みも表現され細やかな描写です。

最短撮影距離は29cm。開放で寄り切れば、ボケ味はマックスに。これぞ等倍マクロレンズの本領発揮というカットでしょう。

絞りはこのあたりが描写のピークでしょうか。雄しべの細い軸の赤いグラデーションも美しく出ており、差し色として効いていますね。

夏の西日は強烈。今夜はしっかり晴れてくれるかなと想いながら、一晩で役目を終える笹の姿を刻みました。いい塩梅に出てくれたフレアのおかげで、最後の輝きを放ちながらゆっくりと色あせていくような、美しくも哀愁の漂うシーンに仕上がっています。