SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

50mmと言えばかつてはボディと一緒に購入し、最初に慣れ親しむレンズという基本的なレンズでしたが、今は標準ズームなどがセット販売される時代。そこにシグマがデジタル向けに設計し、かつてのスタンダードを投入しました。硝材をたっぷりと用いた大口径とあって少々値は張るものの、開放からシャープな像を結び、色乗りもしっかり。柔らかく溶けて行くような美しいボケに惹かれて、ついつい開放付近でばかり撮ってしまいそうです。「純正至上主義」の呪縛がある人にもぜひ試して欲しい1本。敢えて単焦点の標準レンズを探してこのサイトに辿り着いたというタイミングだったら、なおさらです。

( Photography : K / Text : KIMURAX )

ふと気になる後姿に出くわし、向こう側にまわり込んでみたい気持ちを抑えつつレリーズ。50mmという焦点距離は、その姿を見つめていた視界そのもの。なだらかなボケ味が、主要被写体をこれまた印象的に引き立ててくれます。

高コントラストなシチュエーションですが、日光をしっかりと浴び、水の中で鮮やかに広がる藻の様子までしっかりと捉えています。

開放から徐々に絞っていくと、ボケきっていた1輪の花の姿があらわになってきました。まるでフィルムで多重露出撮影をしたかのような透け具合が、いい味付けになっています。ピントがきている手前の花弁とは対照的なたたずまいに惹かれます。

醤油だしがたっぷりとしみ込んだ艶やかな飴色のグラデーションを見ているだけで、口の中がじわっとしてきます。丁寧な仕事をする板前さんの指先を、繊細に描き切るシャープさです。