PHOTO YODOBASHI

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SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/500, F2.8, ISO 100, Photo by NB

SONY α99 II / SHOOTING REPORT

今年のフォトキナで電撃的に発表されたα99 II。いやー、びっくりしましたわ。Aマウントボディの新製品については、「期待はしつつも、予想はしていなかった」というのがみなさん正直ところじゃないでしょうか。しかも半ば、というか殆ど諦めかけていた(なにしろ4年経っても噂の一つも出ないんですから)フラッグシップの「α99」がリニューアルされるなんて、完璧に想定外でした。よく漏れなかったもんです。製品発表の報を受けて「なにそれ。憎いことやるなあソニー」と思いましたね。ソニーに関しては「中判が出るらしいよ」という噂があって、あくまでも噂の範疇を出ない話とは言え、そうなったら面白いなあ、ぐらいには確かに思っていましたが、ある意味それより大事件ですよこれは。

( Photography & Text : NB )

SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/1000, F3.5, ISO 100, Photo by NB

SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/6400, F5.6, ISO 100, Photo by NB

SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/3200, F2.8, ISO 100, Photo by NB

実機を手にして、というか見た途端にまず思ったのは「ちっさ!」ということ。α99はもっと大きくて重くて、良く言えばフラッグシップとしての貫禄がありましたが、今回のIIは実にスリム。でもパワフル。稀勢の里みたいな感じ。仕様を比較してみると、α99のサイズが約147 × 111.2 × 78.4 mm(幅x高さx奥行き)なのに対して、α99 IIは約142.6 x 104.2 x 76.1 mmとなっています。メーカーサイトによれば体積比で8%の小型化とのこと。8%と言えば結構大きいですが、実物を見ると数字以上にそれを強く感じます。ちなみに重さはα99が約849g(メモリーカード、バッテリー含む使用状態)なのに対し、α99 IIは約812g。参考までにα77 IIは約142.6 × 104.2 × 80.9 mmの約726gですから、ボディの厚みに関してはα77 IIより約5mmも薄くなっているわけです。これだけ小型軽量化を実現させつつ、5軸の手ブレ補正機構を組み込んじゃってるんですから、ソニーすごいな。


SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/800, F2.8, ISO 1600, Photo by NB

SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/125, F2.8, ISO 1600, Photo by NB

「II」になって最大の進化点はAF性能のアップです。技術的な話をしますが、まずソニーのサイトを見ると「Aマウント史上最速のAFと連写性能を実現、新開発ハイブリッド位相差検出AFシステム」とあります。この「ハイブリッド位相差検出AF」とは何か?詳しくない人にも分かるように説明しますね。
このα99 IIには、1)79点の測距点を持つセンサーと、2)399点の測距点をもつセンサーの2つのAFセンサーが内蔵されています。「だったら2)だけでいいんじゃね?399点もあるんだから」と思われるかもしれませんが、まぁもうちょっと話を聞きなさいよ。この2つのセンサーはボディ内の別々の場所に配置されています。1)はマウント部から覗いた上のところ。マウント開口部を人間の口に例えると上あごの裏、熱々のピザをガブッとやった時にやけどするところですね。それに対して2)は撮像センサー部(マウント部から覗いた真正面、のどちんこ部分)にあります。で、撮像センサーの前に配置されたトランスルーセント(要するに半透明)ミラーによってレンズを通って来た光を2つに振り分け、2つのAFセンサーに同時に当てています。つまりどういうことかと言うと、これらのセンサーは常に同時に動いているわけです。で、さっきの疑問に対する答えに入りますが、AFセンサーには得手・不得手があるんですね。1)のセンサーは縦線はよく見えないけど、横線はよく見える。それに対して2)のセンサーは縦線はよく見える代わりに横線がよく見えない。なのでこれら2つのセンサーを協力させて、重なる79点の測距点については、縦でも横でも大丈夫。つまりAF性能が凄い!ということになるわけです。これが「ハイブリッド」の所以。

と、細かく説明した割に、このAF性能を活かした作例がないことは素直に謝ります。すいません。


SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/1000, F2.8, ISO 100, Photo by NB

SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/60, F8, ISO 100, Photo by NB

SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/20, F5.6, ISO 100, Photo by NB

AFの速さはソニーの説明通りです。超速です。まったくストレスなく、ビシッと決まります。もちろん状況によって多少迷うことはありますが、むしろそれが珍しくて、「お、迷ってる!」と、何故か嬉しくなりました私は。一方で399点の測距点はじっくりフレーミングする時にも威力を発揮します。「だいたいこのへん」じゃなくて、「このもみじの葉っぱの、この指の先っちょ」というピント合わせがAFで出来ることの有り難さは、実際に使ってみれば分かります。で、肝心の画ですが、再びソニーのサイトから引用すると「有効約4240万画素 裏面照射型CMOSセンサーと新開発フロントエンドLSIによる圧倒的な高解像」とあります。これがどういうことか。えーとですね、これはもう見てもらった方が早い。このすぐ上にある大木を下から撮ったカットはクリックすると原寸が表示されますので、そちらで確認してくださいませ。


SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/60, F2.8, ISO 400, Photo by NB

SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/8000, F2.8, ISO 100, Photo by NB

SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/20, F2.8, ISO 100, Photo by NB

画素数が多くなると階調が豊かになる、というのは理論上の話であって、センサーそのものの性能に加え、それを処理するエンジンの性能が十分でないと、逆の結果が起ります。もちろん使うレンズの性能も大きく影響してきます。で、ここからがカメラという製品の面白いところで、これは感性に訴えかける道具です。数値的、理論的な性能だってもちろん大事で、メーカーもそれをひとまずの目標として追い込んで行くわけですが、それだけではいい写真なんて生まれないんですね。写真をぱっと見た時に「きもちいい」と感じるポイントがあって、それはもう数値では表現できないものだったりします。その最たる例が階調です。これはフィルムの時代から写真の出来を評価する時に取り沙汰されるポイントなのはみなさんもご承知の通り。真っ黒と真っ白を隣り合わせてしまうのも写真表現の中ではアリですが、それは敢えてやること。黒から白が、あるいは色から色がどれだけ滑らかに、気持ちよく移行していくか。そこまで行くとカメラを開発する人たちがどれだけ分かっているか、どういう感性をもっているか、という問題です。さて、ソニーはどうでしょう。って書きながらもうニヤニヤしている私です。


SONY α99 II, SAL50F14Z Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM, 1/640, F2.2, ISO 100, Photo by NB

SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/1250, F2.8, ISO 400, Photo by NB

SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/125, F2.8, ISO 400, Photo by NB

最後に一つだけ気になったことを。レリーズボタンの感触は再考の余地ありと感じました。半押しとレリーズの間の節度が今ひとつ乏しい上に、押し込みも異常に軽い。半押しのつもりなのにシャッターが切れてしまったり、半押し状態(つまり力は微妙に入れている)のままちょっとアングルを直そうとしたらその拍子に切れてしまうということが頻発しました。「感触」という意味ではカメラで一番大事な部分。これだけ良く出来たカメラなのにこれはもったいない、と思いました。


SONY α99 II, SAL2470Z2 Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM II, 1/320, F2.8, ISO 100, Photo by NB

ソニーはAマウントを忘れていなかった

前作から4年が経っての登場ですが、ソニーによればこれは最初から計画していたインターバルとのこと。新製品が次から次へと出るこの流れに慣れてしまうと、なんだか長いような気がついしちゃうんですが、まぁそこはフラッグシップですから、どんどん代替わりするようようじゃあ旗艦の名がすたるってもんです。調べてみたらα900からα99も4年だったんですね。逆に言えば、4年ぐらいは堂々とその地位に君臨していられるような自信作だけをフラッグシップに位置づけていただきたい。どんどん新しくするだけが能ではなく、本当にいいものを長く提供する。しっかり時間をかけて、その商品の良さを世の中に浸透させる。その意味で「4年計画」は実にまっとうなモノづくりだと思うし、メーカーとしての姿勢というか、フィロソフィーがそこに見え隠れするのです。消費者って、そういうところにすごく敏感ですからね。

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( 2016.11.27 )

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お待たせいたしました。α99の登場から4年、フルサイズAマウントのフラッグシップが「α99 II」へモデルチェンジしました。ソニーが持つ技術の粋を集め、最速にして最高の画質を誇る1台です。

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大口径レンズなど大きくて重いレンズをお使いの方には、カメラのバランスが安定する縦位置グリップもおすすめです。こちらの商品はα77 II用と同じものになります。

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バッテリー残量を気にしていては撮影に集中できません。スペアのバッテリーは複数個ポケットに忍ばせておきましょう。

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一般的な保護シートと異なり、ハードタイプとなりますので、より安心してお使いいただけます。「SONY」のロゴも入った純正品です。

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今回の撮影で大活躍の標準ズームレンズ。一番使い込むレンズですから、妥協のない写りこそありがたいものです。

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こちらは50mm F1.4。AマウントならZEISS Planarがお使いいただけます。

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