シグマが今後レンズラインナップを3つに再編していくという。本レンズ「SIGMA 35mm F1.4 DG HSM」は、その「Art」ラインに属する新しい1本です。シグマの山木社長曰く「心血を注いだ、想いが詰まった1本」とのこと。いったいどんな写りをしてくれるのかワクワクしつつ、二人がかりでテスト撮影を行いました。シグマといえば、驚愕の描写を誇るFoveonセンサーを搭載のSD/DPシリーズで、コアなファンの心を鷲づかみにしていますが、この度そのFoveonセンサー(Merrill)を搭載したMTF測定器を新たに開発したそうです。Foveonセンサー自体が、1画素・縦方向のみでフルカラーを再現するという特性上、レンズの”粗”がそのままストレートに写ってしまいます。特に色収差などは如実に写り込んでしまうため、驚愕の写りとともに痛し痒しなところ。通常のMTF測定器はベイヤー型のセンサーを採用していますが、Foveonセンサーとレンズをマッチングするのに少々役不足であり、またカメラの高画素化を見据えた上で、オリジナルのMTF測定器を開発するに至ったそうです。結果、これまで詰め切れなかったところまで写りを追い込んで行けることに。そんな中、Artラインからの最初のこの1本が生まれたわけですが、テスト撮影を行った印象は一言。テスター二人揃って「欲しい」。確かに次元の違う写りです。絞り開放からともかくシャープ。抜けるようなクリアさと、大口径開放独特の艶っぽい描写が相まって、開放の写りはまさに「美しい」の一言。絞り込めば、更にシャープさは増し、文句のつけようのない描写に到達。しかし、このレンズはあえて開放で使いたい、そう思わされるレンズです。絞る余裕を持ちながら、開放で使う。次元が違うと記しましたが、そこからもたらされる余裕を感じる1本です。長辺960pxに縮小した画像でも、その片鱗を感じることができると思います。作例をご覧いただければ幸いです。

( 写真:A,Inden / K  文:K )

大口径開放といえば、少し甘い描写に周辺減光。使いこなすのは難しいですが、うまくハマれば独特の画を作ってくれます。本レンズは、それとは全く別のベクトル上にあります。開放から非常にクリアで、球面収差などは正直なところ全く感じられません。しかも甘さを一切感じさせない見事なシャープさ。確かに色収差等も重箱の隅をつつくように見れば存在しますが、ほぼ無いと言ってよいでしょう。日本酒も最後は水みたいになると言われますが、ここまで清廉極まりない描写だと味も何もかも無くなってしまいそう。しかし、違う味わいがあるんですよね。それは光画といわれる「写真」の原点、そう、純粋に光を見るとよいと思うのです。そんな風にアプローチすると、素晴らしい画が撮れます。大口径開放に存在する描写の「クセ」に頼って画を作ることはできませんが、逆にここまでクオリティの画を紡いでくれるなら、「普通」に撮ればよいのです。逆光で物を見れば美しい、斜光で物を捉えれば存在感が増す、そう、そんな感じですね。褒め言葉のオンパレードのような話で恐縮ですが、レンズの世界の奥深さをひとつ勉強させていただいた気になりました。

被写体の可憐さを、透き通るようで潤いのある画で再現してくれました。いや、美しいです。ボケ味はなめらか。しかし、ペタンと量感を失ったものでは無く、かといって嫌な輪郭も出ない、望ましいものだと感じます。

筆者は35mmが大の苦手です。引けば自分が写りすぎるように思いますし、寄れば自分の何も見えて無さが写り込むような。そんな自分を映す鏡のような画角を持つレンズだと思うのです。それ故に、手持ちの機材では35mmレンズが一番少ないのですが、ちょっと撮ってみようかなあと思わされます。

開放でこれだけのシャープさ。ピント位置まで距離にして1m半か2mぐらいでしょうか。前後が緩やかにボケるこの感じは、35mm F1.4といった世界ですね。

ハレ・ゴーストの少なさも特筆もので、ともかくかなり意地悪な条件で色々試してみましたが、「もうちょっと出てくれてもいいんじゃない??」といった調子。※多少出たほうが好みです。

カメラボディが2000万画素を越えて、色数もそれなりにあるので、そもそも階調も豊かなのですが、このレンズは、階調とコントラストのバランスが抜群で、色再現も実にニュートラルです。女性の足下を見ると、少々ボケ味にクセを感じますが、これはどんな広角系のレンズでも嫌なシチュエーションです。もう少し固いとちょっと目につきますが、よい塩梅ではないでしょうか。

ほぼ最短、電球にピンを置いてます。
ボケ味はなめらかで、かつウェット。気品のある写りですよね。

 

ステンの質感、そして立体感。前も後も奥行きを感じさせるボケ量。ピンを置いたあたりの切れ味が無ければ途端に平面的になる焦点距離です。観念的な表現で申し訳ないのですが、絞り開放で佳いレンズは大抵絞っても佳いですよね。それでは絞った画を幾つか。

いやはや文句の無い描写です。キレもクリア感も素晴らしい。絞って線が太ることもありません。

まもなく日が落ちる、穏やかな光。子供達が一斉に家路につく時間帯です。線が固く太いと難しい被写体ですが、いいですよね。

 

絞った画もいいのですが、このレンズはやはり開放で積極的に使いたいですね。大口径にしては緩やかで少ない周辺減光と、クリアさとシャープさが重なることで、いつまでも眺めていたいこの光景をそのまま写し込んでくれました。

 

必要最小限のレタリング、マウント付近の磨き加工の入った環(金属です)、面と線を端正に連ねた静かなルックスと、これまでのカメラ・レンズにおけるデザインとは雰囲気が大きく異なります。フード下端部分はゴム状の素材が被せられて手触りの良さが感じられたりと、細部まで実に気の利いたフィニッシュです。レンズは写りが命でしょうけれど、やはり道具というものは愛でたいもの。デザインに力を注がれるとユーザとしては嬉しいものです。写真で見るよりは、店頭に並んだ際に実際にお手にとっていただいたほうが、物の良さが伝わると思います。機会があればぜひ。

いやいや、実に発売が楽しみなレンズです。これまでズームレンズを中心にお使いの方で、少し画に変化を求めているような方や、そもそも35mm大口径を求めているような方には手放しでおすすめできるレンズです。なるほど「Art」かと実感できる1本で、手に入れると自分の世界を一つ広げてくれそうなレンズですね。また機会があれば、レポートしたいと思います。

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まずはSAマウントから発売。SD1との組み合わせは一体どんな世界をもたらしてくれるのでしょうか。作例準備も進めておりますので、どうぞご期待ください。

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ちょっとキレが違います。ちょっとヌケが違います。ちょっと出で立ちも違います。これだけのクオリティでプライスはシグマ的、素晴らしい!EOS用です。

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ニコンのボディでも早く使いたいですね。ニコンF用です。

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α99との組み合わせがワクワクしますよね。ソニーAマウントはこちらです。

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ペンタックスKマウントはこちら。ご予約はお早めにどうぞ。

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