HD PENTAX-D FA645 35mmF3.5AL[IF]

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

ペンタックス中判フォーマット用の単焦点35mmという本レンズは、フイルムカメラ全盛の時代から愛用されていた方も多かったのではないでしょうか。そういう筆者も中判カメラをメインにしていた頃はこのレンズを多用しておりました。0.3mまで寄れる特徴を生かして被写体にグッと近づき、広角マクロ的な使い方をすれば非常に面白い表現を楽しめますし、広角レンズらしく大きな光景をストレートに表現するにも最適なレンズです。単焦点レンズならではの、コンパクトな大きさと切れ味鋭い描写は、中判フォーマットのカメラでこそ深い味わいが出てくるレンズではないでしょうか。

( Photography : T.Nakanishi & M.Ito / Text : T.Nakanishi )

とある駅のホームにある待合所にて。ハイライトからシャドーのトーン再現をご覧ください。どちらもしっかり粘ってくれる印象で、思い切った露出が選択できそうです。

中判用レンズならではの緻密な描写です。木の材質の違いによる、木目の細かい部分の違いまでリアルに表現しています。

太陽を思い切り入れ込んだ厳しい条件でもお見事ですね。単焦点ならではでしょう。非常に立体感のある描写です。

金属的な被写体では一段とシャープさが感じられますね。歪曲などもさほど気にならずに使える印象です。

ガラス越しでの撮影です。空気感が写っていると書けば抽象的かもしれませんが、現場の空気を感じる奥行きのある描写です。

時を重ねたからこその錆や汚れを、リアルに描いています。少し絞っての撮影ですが、対象物が浮かび上がるかのような立体感があります。

こうした広角マクロ的な使い方が出来るのがこのレンズの面白いところです。ボケもなかなかの美しさではありませんか。

石造りの倉庫に冬の夕日をライティング。カメラの性能を差し引いたとしても、見事なトーン再現だといえます。