PHOTO YODOBASHI
ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン
Panasonic LUMIX DMC-GH4 / SHOOTING REPORT
ミラーレス一眼では初めて4K動画に対応したPanasonicのLUMIX GH4。新しいモノ好きの方や高画質ムービーにアンテナが向いている方にはドンピシャなカメラと言えます。その一方で「4K動画」と言われてもまだまだ先の話に聞こえ、むしろスチルカメラとしての性能が気になる方も多いことでしょう。パナソニックの新しいフラッグシップ、LUMIX GH4はムービーにもスチルにも、高い次元で応えてくれるカメラです。4K動画撮影に対応するために高速化されたセンサーや、高画質・高速演算を実現した新ヴィーナスエンジンにより、解像度や色再現、ノイズ処理など様々な面で進化を遂げています。最新技術が数多く投入された本カメラ、実力は皆さんのご想像の通り、いえ、それ以上かもしれません。実写ムービーはメーカーサイトなどにお任せして、こちらでは写真の作例をしっかりとご確認ください。
( Photography : Z II / Text : 4beats )
まずは太陽をフレームの外ギリギリに隠した、ハイコントラストなシーンからご覧ください。葉脈が透けるように露出を明るめに設定していますが、太陽付近からなだらかなグラデーションを伴って徐々に色が乗っており、霞んだ春の空がそのまま画面に現れた印象です。陰となった幹も潰れることなく表面の凹凸をしっかりと再現、ハイライトもシャドウもまだまだ階調にゆとりがありそうです。葉の向こう側には、蜘蛛がちゃっかりシルエットでゲスト出演。縮小前の画像では、8本の足も葉脈とともにきちんと解像していることが確認できました。
アンダー目に振って、門扉の黒を表現してみました。表面の細かな凹凸や鋭利なエッジなどを重厚感たっぷりに描写。新ヴィーナスエンジンのガンマ処理と新LiveMOSセンサーのマッチングにより、ダイナミックレンジは25%も拡大したとのこと。今まで以上に豊かなトーンが得られます。
ミモザアカシアの花のふわふわとした柔らかな表情や、細かく分かれた葉の細部まで、とてもよく表現されています。解像度が向上したことの好影響もあっての画像でしょう。お散歩の途中で発見した小さな風景も、高い解像感でしっかりと捉えてくれそうです。
解像感が上がることで、立体感の表現力も増してきます。肩車された少女のマフラーやカーディガンの柔らかな感触、そして暖かさまで伝わってきそうな描写です。夕暮れ時の淡い光の中にも拘わらず本当によく捉えています。この少女はさぞかし眺めの良い花見となり、大切な思い出になったことでしょう。
高感度特性とノイズ処理も向上したとのこと。先ほどのカットと同じ上野公園で、日が暮れてから感度を上げて撮ってみました。少ない照明の下でも1/30秒というシャッターが切れるのはISO3200まで感度を上げられるからこそ。少々のノイズ感はありますが、手持ちで撮れるというだけでも有り難いですよね。そして正解が見付けにくいホワイトバランスはあえてオートで。桜の色は淡くなっていますが、それでもしっかりと彩度を感じさせてくれます。この悪条件の中でも色再現力のも高さを確認できました。
こちらはISO1600です。これだけ豊かなトーンとたっぷりの色乗り、そして少ないノイズ、もう言うことありませんね。最高感度はISO25600、さすがになかなか使う機会も少ないでしょうが、それだけ高感度への耐性があるからこそISO1600や3200での画質にゆとりが生じるのです。
ミラーレス一眼では苦手とされてきたAFの高速化も着々と進化しております。新開発 の「空間認識AF」の搭載、高速メカシャッター、エンジンの高速化など、様々な技術の結晶が秒間7コマものAF追従を可能にしました。撮りたい瞬間というのはあっという間に過ぎ去ってしまいます。瞬時に反応してくれるカメラは本当に心強いですね。
前機種GH3から大きな変化のない安定したルックス。しっかりとしたグリップは相変わらずで、安心してホールドすることができます。フォルムだけでなくボタンやダイヤル類の配置もほとんど変わっていないので、以前からのユーザーであれば、何の違和感もなく手に馴染むことでしょう。それでいて背面やファインダーの有機ELはどちらも大幅に解像度が上がっており、視認性が大変良くなっています。
そして画素数こそ1605万画素と変わっていないのですが、今回のモデルチェンジではそれ以外のほとんどが変わったと言ってもいいくらいにGH4は新しくなっています。前述の通り、高速化した新しいLiveMOSセンサーと新ヴィーナスエンジンの組み合わせが様々なアップグレードを本機にもたらしてくれたのです。高感度撮影時のノイズの低減、解像度や階調、色再現力の向上。CMOSセンサーの弱点「ローリングシャッター歪み現象」を大幅に低減(動画撮影や電子シャッター使用時)などなど。さらにAF追従を初めとする数々のフォーカシング性能の向上なども見逃せません。
GH3の登場から約1年半でのモデルチェンジは、それだけで捉えればフラッグシップ機としては少々早いと感じないわけではありません。しかしその間にパナソニックはGF6、G6、GX7、GM1Kとラインナップを総入れ替えする勢いで続々と新機種をリリースしていたのです。技術的にも画質的にも新たなステージに突入していた印象がある中で、4K動画への対応というタイミングと併せて考えればむしろ満を持しての登場と言えるでしょう。その実力は画質や撮影時の追従性能などに大きく現れています。裏を返せば誰が扱っても撮りたいシーンをしっかりと捉えてくれる実力を備えているとも言えるでしょう。ヘビーユーザーの買い換えはもちろん、下位機種からのステップアップにも確かな応えを返してくれる懐の深いカメラ、それがGH4です。
( 2014.04.18 )
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