PHOTO YODOBASHI

ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/2000, F4, ISO 200, Photo by A.Inden

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / SHOOTING REPORT

OM-D E-M1 Mark IIのEVFファインダーを覗いたとき、見やすくなったなと感じました。EVFの解像度が上がったのかと思いスペックを確認してみると、約236万ドットは従来機(E-M1)と同じ。ではなぜ見やすくなったと感じたのか? スペックを読み込むと「120fps(フレームパーセカンド・従来機は60fps)でライブビューを表示」、また「EVFの最短表示タイムラグは6ms(ミリセカンド)から5msに」とのこと。つまりEVFファインダーで1秒間に120フレームの動画を実現し、タイムラグもさらに短くなったということです。カクカク動いていた8mm映画が16fps、テレビが30fps、高性能ゲーム機が60fpsと比べれば、その滑らかさがわかりやすいかもしれませんね。実際に実機のEVFを覗いて頂くと、そのクリアさに驚かれると思います。
有効画素数約2037万画素、世界最強5.5段の手ぶれ補正(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO使用時)との組み合わせでは、最大6.5段(半押し中手ぶれ補正:OFF CIPA規格準拠、2軸加振時)、動くターゲット撮影のための細やかなセッティング、静音モード等、とても短いテストでは試しきれない機能が満載です。オリンパス・マイクロフォーサーズ機のフラッグシップ「OM-D E-M1 Mark II」。その魅力をできる限りお伝えしたいと思います。

( Photography & Text : A.Inden )

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/1000, F4, ISO 200, Photo by A.Inden

液晶をあえて封印してEVFを堪能する

撮影時にファインダーの見やすさはいちばん重要です。他の動作に関しては使い込んでいけば、なんとか経験でカバーすることができますが、見え方だけはなんともできません。フラッグシップ機と呼ばれるカメラを一度でも手にすると、なかなか手放せなくなるのは「ファインダーの良さ」といっても過言ではないと思います。さて素晴らしくなったEVFファインダーに敬意を表して、液晶を封印して撮影に臨みます。キラキラとした水面も滑らかな見え方のため、ストレスなく眺め続けることができます。波の周期を待ちながら水面のきらめきの動きを狙ってみました。EVFはファインダーの中で上がってくる画のまま見ることができるので、オーバーな露出でも不安なく撮影ができます。

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/80, F4, ISO 200, Photo by A.Inden

開放で太陽を入れての撮影。緑と紅葉のバランスをとるには露出が難しいシーンですが、ファインダーを覗きながら右手で露出補正ダイヤルを回して露出を決定。結果、+2.3補正でした。逆光でフレアーゴーストが出やすい條件ですが、カメラに初めて採用された反射防止膜(ARコート)のおかげで、ゴーストやフレアは発生していません。ただ、絞り、フレーミングの変化でフレアが発生することがありました。ファインダーで確認することが可能なので、フレアを確認しながら撮影すれば避けることができます。

ポイント1:反射防止膜(ARコート)

フレア、ゴースト対策としてレンズに施してあった反射防止膜を、カメラのイメージセンサー上にあるシールガラス両面に施すことで、ガラス面の反射を抑え、よりクリアーで抜けの良い描写を目指したそうです。レンズ設計部門との共同作業で成し得たという話がいいですね。


OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1.3s, F4, ISO 800, Photo by A.Inden

1秒でもブレない

OM-D E-M1 Mark IIは手ぶれ補正の方式をブラッシュアップすることで最大で6.5段の5軸シンクロ手ぶれ補正(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO装着時、ボディー単体では5.5段)を実現しています。数字を見てもほとんどの方は凄さがピンとこないですね。ファインダーがあるタイプのカメラを正しく構えた上で、ブレにくいシャッタ−スピードは「焦点距離分の1」と言われています。100mmで1/100までブレにくいということです。6.5段分の補正とは、計算上100mmで約1秒までブレないということです。本当でしょうか!?
マイクロフォーサーズ焦点距離44mm(35mm換算で88mm)で撮影。計算上で1.3秒までブレにくいということなので、立ったまま両脇を占めて、呼吸を止めそっとシャッターを切りました。ブレることなく描写された背景と、揺れる波のコントラストが幻想的です。10枚撮影してみましたが、7枚成功していました。さすがに2秒、3秒はブレていましたが、気合いで止めることができるツワモノが現れるかもしれませんね。

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1s, F4, ISO 800, Photo by A.Inden

狭い橋の中に乱立された三脚を横目に見ながら撮影。17mmと広角側になってくると、1秒は余裕です。気をつける点は…見た目はほとんど真っ暗なので、ピント位置をファインダーでしっかり確認して撮影してください。

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/13, F4, ISO 200, Photo by A.Inden

雪の中傘をさしながら片手で撮影。100mmの撮影なので計算上はブレないはずなのですが、やはり過信は禁物ですね。確率5割でした。余談ですが、観測史上始まって以来の11月の大雪で、花と雪のコントラストを上手くカメラに収められた方も大勢いらっしゃったのではないでしょうか。

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/5, F4, ISO 200, Photo by A.Inden

54mm、1/5秒、確率100%。人ごみの中でじっくり構えることができなかったのですが、しっかり止まっていました。金属の描写もクリアで美しいですね。1秒で止まることが凄いと評価されがちですが、実際は1/15〜1/2秒あたりのシャッタースピードで確実に撮影できることの方が、実用的でポイントは高いと思います。

ポイント2:グリップ形状の変化

手ぶれを押さえるにはしっかりとカメラをホールドすることがポイント。グリップの高さを伸ばし小指がかかるように、グリップの凹凸を深くし中指が深くかかるようにと、片手でしっかりホールドできるようにグリップが改良されています。小さなカメラですが、持った時にしっくりきたのはこういう理由なのですね。


OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/4000, F5, ISO 200, Photo by A.Inden

動くターゲットを追う

100mmで絞りも開放から半段絞っただけというセッティングで、ファインダーの外から突然フレームに飛び込んでくるカモメを狙ってみました。18コマ/秒の連写で撮影されたカモメは、まるで鳥類図鑑のようにさまざまなフォルムを見せてくれました。バッファ容量が増えることで途切れることなく撮影を続けられ、また連写時の像表示率が従来の12%(6.5コマ/秒時)から48%(10コマ/秒時)まで向上したため連写中にカモメを見失うこともありませんでした。ただ、撮影後に画像を確認するには、SDへの書き込みが終了するまで待つ必要があります。

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/200, F6.3, ISO 200, Photo by A.Inden

パイロンを右に旋回してカメラの前を走り去るジムカーナーの俊敏な動きを「グループ5点のターゲットモード、縦揺れを抑える手ぶれ補正モード、追従感度をマイナス」に設定して撮影。1/200で流し撮りになってるところに走り去るスピードを感じていただけると思います。動きを追う撮影モードは、被写体の条件によって細かくセッティングすることができ、確率良くイメージ通りの画を撮影することができます。ただセッティングの引き出しが多すぎて、最初は戸惑ってしまうかもしれません。被写体の動き、周りの条件を考えることで、ベストなセッティングを選ぶことができるようになると思います。

ポイント3:SDカードダブルスロット

過去に一度だけ撮影データが飛んだことがある筆者が、安心して撮影をするため一番望んでいること。いつものセット方法は、スロット2に大容量のSDカードをバックアップ用に入れ、データをPCに移す用に容量の小さなSDをスロット1に。OM-D E-M1 Mark IIには同時書き込みを選んだ場合でも、どちらかのSDがいっぱいになった時自動的に容量のあるSDへ単独に記録する機能が付いていて、連写を多用する撮影でもSDの容量を気にすることなく撮影が続けられました。


OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/500, F9, ISO 200, Photo by A.Inden

厚みのある描写

画像センサーも画像処理エンジンも一新されています。画像を見た印象は「色乗りのいい厚みのある描写」。ただ、無理して作り上げた感じは受けず、あくまで自然な写りにこだわっている印象を受けました。肉眼でも眩しいと感じられるほどコントラストの高い被写体ですが、ビルの陰の部分も、日の当たっている部分もディテールがしっかり残っています。ダイナミックレンジの広さを感じます。オリンパスで撮影するといつも感じることですが、青空の色が自然で気持ちいいです。

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/640, F4, ISO 200, Photo by A.Inden

少し彩度が高いかなとも感じますが、赤、黄、緑、青すべての色が飽和することなく写し出されています。少しアンダーな露出ですが、手前のシャドーになっている紅葉にも色とディテールが残っています。

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/15, F5.6, ISO 200, Photo by A.Inden

床に貼ってある天然木の目が正確に数えられるほど精密に描写されています。フラッグシップ機で高画質は当たり前とは思いますが、手で触った感じがわかるかのような描写から、写真データが持っている余裕のようなものが感じられます。


OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1s, F4.5, ISO800, Photo by A.Inden

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/3200, F6.3, ISO 200, Photo by A.Inden

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/1000, F4, ISO 200,Photo by A.Inden

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/3200, F5.6, ISO 200, Photo by A.Inden

OLYMPUS E-M1 Mark II, M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO, 1/1250, F4, ISO 200, Photo by A.Inden


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引き出しの多さを使いこなす

試写を終え「最近のカメラは良くなったな」 とあらためて感じました。いい写真を撮るには機材を経験でカバーしていくというのが当たり前のことでした。それが、ピントを合わせる→AF、露出を測る→AE、露出補正をする→ライブビューで確認等と技術の進歩によって、経験のなさを機材でカバーできるようになってきました。特にEVFファインダーの進歩で露出を確認しながら撮影が可能となり、クリエイディブな写真が身近になったと感じています。
OM-D E-M1 Mark IIは「動くターゲットを撮る」ことに重きを置き、技術を一から見直し進化させています。スポーツ、動物写真等動く被写体を撮影することは、経験だけでなく、運動神経、反射神経が必要なため、チャレンジすることさえも躊躇しがちですが、オリンパスは動くターゲットを分析し、ターゲットの大きさ、動くスピード、動く方向、置かれている状況に合わせて細かくカメラのセッティングを変える事で、多くの被写体に対応でき得るカメラを出してきました。動く被写体が苦手な筆者もいくつかのセッティングを試してみましたが、ハマった時は写真が上手くなったと錯覚するほど確率良く撮れていました。
幸いにもこのカメラを手に入れられた方は、その引き出しの多さに戸惑うかもしれません。ただ引き出しひとつひとつに明快な目的があるため、じっくり被写体と向き合う事で最高のセッティングが得られると思います。秋の夜長、最高の一瞬を捉えるためのセッティングを考える、そんな至福の時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

( 2016.12.01 )

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OM-D E-M1 Mark II、満を持して登場しました。新開発の画像処理エンジンに121点オールクロスの位相差AFセンサーで動きモノに対しても死角はありません!

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縦位置撮影時にも、横位置撮影時と同じ操作が可能なグリップ。電池が2個併用できるため、連写や長時間の屋外撮影をする方にぜひ!

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OM-D E-M1 Mark IIとこのレンズを組み合わせることで、最大6.5段の手ぶれ補正が可能となれば、試さない手はありませんね。

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開放F1.2の標準レンズ。徹底的にボケ味にこだわった一本です。カメラ本体で顔認識、瞳検出AFなどを利用すれば、ポートレートにも活躍します。

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