SIGMA MACRO 70mm F2.8 EX DG

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

シグマ一（いち）切れるレンズではないでしょうか。恐ろしくシャープなレンズであり、光景をざっくりナイフで削り取って持って帰ってきたかのような、そんなリアリティをもたらしてくれるレンズです。これだけシャープだとボケ味は若干硬めなのは致し方ないところ。むしろ絞り込んで被写体と無音の中で正対したくなる、そんなレンズであり、ぜひそう使って欲しいという想いもあります。ボケ表現によるフレーム内での視線誘導は至極カンタン。絞り込んで、撮影者の視点を直接は見せないながらも、ジンワリと感じてくるような画に仕立て上げるだけ。こんなマクロを1本持っておくと、画のバリエーションがさらに拡がることでしょう。

( Photography : M.Ito / Text : KIMURAX )

前ボケした口と鼻の存在感が後退し、シャープに捉えられた目と耳が浮かび上がってくるので、平べったい愛嬌のある顔に見てきます。あえて外しているのも効果的。ヤギがフレームからクンクン鼻を突き出しているようです。

APS-Cサイズでの撮影ですが、ピントピークでは細やかな産毛まできっちりと解像。じっと見ていると動き出してきそうな、生命の息吹を感じます。

確かに硬めのボケ味ですが、これはこれで絵筆として個性的な画づくりに活かしていきたいですね。

さらに絞り込めば、無限遠でも画面の隅々に渡ってシャープな描写。豊かな階調表現で色乗りもよく、見たままの光景が寸分の狂いなく再現されているようです。