Nikon Ai AF Zoom-Nikkor 24-85mm f/2.8-4D IF

[ズーム] 広角 | 標準 | 望遠 | 高倍率  
[単焦点] 広角 | 標準 | 望遠 | マクロ

かつて Nikon には標準ズームとしては国産初となる 43～86mmF3.5 というレンズがありました。その後、各メーカーも倣うように標準ズームを製造するのですが、広く普及したのは 35～70mm という焦点域。それから徐々に広角側にも望遠側にも拡張されてきた、という標準ズームの歴史物語があります。本レンズはそんなかつての標準ズームからすれば「あと少し広ければ」「あと一歩寄れれば」という撮影者の気持ちを汲んでくれるとても使い勝手のよいレンズなのです。若干の歪曲が見て取れますが、そのマイナス面よりも、開放からの解像の良さと、ハイライトからシャドウまでやさしく均一な描写というプラス面の方が大きいでしょう。マクロモード搭載、3.5倍ズーム、明るい開放F値の割に小降りなサイズ、と日頃の相棒として最適なレンズとなってくれるでしょう。APS-Cのカメラで使用して（約 36～127.5mm相当の画角）、本レンズの良いとこ取りをする使い方もお勧めです。

( Photography : S.Zets / Text : Y.Moriki )

滑り止めの金属プレートが放つコントラストが緩やかに差し込む光を感じさせてくれます。錆びた手すりの質感やボケ具合、シャドウの落ち込み具合など、どこを見ても秀逸な描写です。

油断をした瞬間をパチリ。そよ風にたなびく髪の毛やシャツの繊維なども開放付近とは思えない解像感です。

接近して撮りたければすかさずマクロモードに切り替え。なかなか思い通りに泳いでくれない金魚を相手に、しばし忍耐の時を過ごす。そんなとき、頭の中には金魚の人生？から、撮影後のビールまで、いろんなことが渦巻いています。もちろん、レンズに安心感があるからこそ、ですが。