Lytro LYTRO ILLUM

Lytro LYTRO ILLUM | SHOOTING REPORT

撮影後にピントの位置や被写界深度を変えられる。目線の移動もできる。「ライトフィールドテクノロジー」を用いたカメラが、日本でも簡単に入手できるようになりました。Lytro社のLYTRO ILLUM(ライトロ社のライトロ イルム)です。普段ピントを置く位置や、ファインダーの見え具合などを気にしている我々には衝撃的ですよね。初めてこのカメラの存在を知ったときは驚きと同時に「どういう仕組みでそんなことが可能に?」と疑問で頭がいっぱいになりました。 仕組みの説明は後にまわすとして、まずは実際の画をご覧下さい。

( 写真 / 文:4beats )

——まずは操作方法から ——

  1. ブラウザに読み込まれると、ピントと目線移動の様子がムービーのように再生されます。
  2. 再生が終わったら、ポインタを画像の上に移動してみて下さい。まずは目線の移動が楽しめます。
    前後に配置された被写体の重なり具合などに着目すると目線の変化が判りやすいでしょう。一度クリックするまで目線移動のモードのままです。
  3. 次に、画面上でピントを合わせたい場所をクリックしてみて下さい。クリックする度にピント位置が移動するのがおわかり頂けると思います。
  4. もう一度目線移動をしたいときは、クリックしたままポインタを少し移動(つまりはドラッグ操作)をします。
    目線移動が始まったらクリックは離してもOK。次にクリックするまで目線移動の操作が続きます。
  5. うまく動かない場合は画像の下にある右三角マーク(あるいはグルリと丸くなった矢印)をクリックして、再読込みをしてみてください。
いかがでしょう。不思議ですよね、ピント位置を後から変更できるのって。

Lytro LYTRO ILLUM, 1/250, F2, ISO 80, Photo by  4beats

専用ソフトを使えば、普通に写真として書き出す事もできます。もちろんピント位置、被写界深度の他に、一般的な現像ソフトのように明るさの増減や色温度の調整なども可能です。

Lytro LYTRO ILLUMにわか仕込みの筆者には仕組みを説明するのは少々困難なのですが、、、

マイクロレンズアレイという特殊な「マイクロレンズ」が並んだ層が撮像素子(COMSセンサー)の前に配置されています。マイクロレンズは、通過する光の方向がわかる仕組みを持ち、マイクロレンズアレイ1つのサイズはセンサーの画素をいくつか集めた大きさ。それによって、

という特徴が加えられます。

カメラで例えるならピンホールカメラですが、サイズを大きくして薄い壁に空いた穴を想像してみてください。穴から壁の向こう側を見ようとすると、左の景色を見たければ穴に対して目は右へ移動しますよね。その逆も然り。目の位置によって見える方向が変わります。目の代わりにセンサーを配置してみたらどうなるでしょう。あるいはサイズを戻してピンホール式のデジタルカメラではどうでしょう。センサーの1画素ごとに見える方向が決まりますよね。それがマイクロレンズアレイに載っている極小レンズと、それによってグループ分けされたセンサーで再現されていると考えて下さい。そしてそれがたくさん並んでいるのです。

もう一つ例えを。ステレオカメラにはレンズと受光部が2つずつあるので、視差(左目と右目、片方ずつで見たときにできるズレ)がありますよね。カメラの数をもっと増やして上下左右に展開し、たくさんのレンズと受光部を用いた状態を想像すると、LYTRO ILLUMの構造をイメージしやすいかもしれません。ステレオカメラでは左右だけだった視差が上下左右に広がっているから視線移動ができるのですね。

では、どうして後からピントの移動ができるのでしょう。ピントが合っている、というのは被写体から届いた光がセンサー上では点に結像している状態です。逆にピントが合っていない被写体はセンサー上では点にならずに面になってしまいます。通常の場合、面になった状態から点の状態を作り出すのは、撮影後には不可能でした。なぜなら、(上のカットに準えると)手前のコーヒーカップと、奥の皿から届く光がボケて面になっていると、元々は微妙に違う方向から来ているのに、重なり合ってしまったために後から区別する方法がないからです。またコーヒーカップの厚みや皿の模様が元々どうだったのか、判らなくなってしまうからです。ではLYTROではどうでしょうか。ボケて面になった光でもどの方向から来たかが判っているので、コーヒーカップのボケと皿のボケを区別できるのです。そして面に広がっていた同一方向の光を点に集めるよう演算することで結像した状態を再現できるのです。

・・・おわかり頂けたでしょうか???

絞り:上 F2 / 下 F11
同じ落ち葉の写真を並べたのは絞り値が違うからです。もちろん撮影時ではなく撮影後に絞りの設定を変えてます。つまり撮った後から被写界深度のコントロールが出来るということです。


Lytro LYTRO ILLUM

新たな時代の一翼を担う可能性を秘めた異端児

レンズ一体型ながら、ルックスはミラーレスカメラのようですね。操作は最小限のボタンとタッチパネルになっている背面液晶で行います。肝心のピント合わせはAFもMFも可能な上に、ライブビューをみながら液晶画面をタッチすることでも可能。カメラの仕組み上、絞りは開放のままで、シヤッタースピードとISO感度で露出をあわせます。後からピント合わせが出来ると言っても、さすがに被写界深度に限界もあります。実画像を見つつピントのインジケーターを確認し、ピント位置を決める作業は慣れが必要かもしれません。あるいは今まで通りピントが欲しい範囲の「まん中よりすこし手前」に合わせてシャッターを切り、再生画像で確認したほうが速い場合もあるでしょう。

仕組み上、出力できる画素数が少なくなってしまうのは致し方ありませんが、センサー技術やライトフィールドテクノロジーに対する要求が高まれば、より高解像度なカメラも実現可能でしょう。理論はかなり昔からあるそうなのですが、カメラとしてはようやく我々の手に届くようになったばかりで、とても異端な印象があります。しかしかつてのデジタルカメラ黎明期を思い出して下さい。カメラにフロッピーディスクを挿し込んでいたり、テレビ画面サイズが精一杯の粗い画像だったことを思えば、このカメラが新たな時代の先駆けとなる可能性は十分にあるのです。20年後、LYTRO ILLUMの名が伝説となって語られる日が来たときに、その課程を楽しんだ一人でありたいものです。

( 2014.12.10 )




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