LEICA SL, APO-SUMMICRON-SL f2/50mm, Photo by K

LEICA APO-SUMMICRON-SL 50mm F2 ASPH.

ライカSL用にAPO-SUMMICRON 50mmが登場。過去にM型用のAPO-SUMMICRON 50mmレンズについて、ライカ社のレンズ設計者であるピーター・カルベ氏にインタビューする機会がありました。その際に「M Monochromの登場を受けてようやく世に出せるレンズ」とコメントされたのが印象的でした。実際に1画素が1ピクセルに直結するM Monchromでなければ、その真価を発揮することができないというのです。当時ライカM(typ240)でも試してみました。もちろんよく写るのですが、M Monochromでの写りは確かに次元が違うのです。さてライカSL用に登場した同名のレンズ。ライカSLというカメラの描写力そのものがなかなかなものですが、マッチングのほうや如何に。楽しみにしていたテストの模様をお届けしたいと思います。

( Photography & Text : K )

LEICA SL, APO-SUMMICRON-SL f2/50mm, Photo by K

かなり見上げての撮影なので、少し絞っています。見事なキレであり、M Monochromでの撮影を思い出しました。歪曲もよく抑えられています。コンクリートとメタルの質感の違いもよく伝わります。

LEICA SL, APO-SUMMICRON-SL f2/50mm, Photo by K

開放での撮影ですが、このレベルのキレと立体的な描写は想定内。APO-SUMMICRONですから、まあこの程度は写るでしょう。しかし嬉しくなるなあ。光学的に欠点だらけのレンズであったとしても、それが作画に面白い効果をもたらしてくれるならよいわけです(人それぞれでしょうけど)。逆に、完全なレンズなどあり得ませんが、ただ欠点がない・高性能であるというだけでは面白くない。この作例のような写りならば、やっぱり惹かれますよ。

LEICA SL, APO-SUMMICRON-SL f2/50mm, Photo by K

水ものを捉えると、レンズの描写傾向はよくわかる気がします。背面の液晶覗き込んで二度見。これはM型用レンズをM Monochromとの組み合わせて使った時の印象そのものです。面白いのが、往年のM型用ズミクロンのような描写傾向も感じます。特にボケ味に感じますが、当時の物に比べて格段にクセはありませんが。

LEICA SL, APO-SUMMICRON-SL f2/50mm, Photo by K

このカットを見て、ライカSL用にAPO-SUMMICRONがリリースされた理由が分かったような気がしました。M型用レンズに比べて、レンズの力を感じやすいように思います。しっかり量感のある前ぼけですが、柔らかい。そして手を組んだピントピーク部分のキレと立体的な描写。後ぼけも前に比べれば少し劣る気はしますが、キレやぼけなどをトータルで見ると実に量感のある描写で、静謐なシーンをこのレンズで捉えると痺れるのが撮れそうな気がします。

LEICA SL, APO-SUMMICRON-SL f2/50mm, Photo by K

どうですか、このリアリティ。

LEICA SL, APO-SUMMICRON-SL f2/50mm, Photo by K

距離が距離なので、ほんの少しだけ絞りました。4つあるファンネルの左から2番目にピークを置いています。現場で自分の眼で見れば、もう少しシャドー部分が見えますが、実物を見ているような気にさせてくれる描写です。

LEICA SL, APO-SUMMICRON-SL f2/50mm, Photo by K

今年の梅雨は長く、なかなか撮影がままならない日々が続いて編集部は大変でした。お盆休みに入っても台風の影響で天候が猫の目のように変わり、分厚い雲の下でこのカットを撮影しました。燦々と日が照ると難しいカットですが、ボディパネルの成形揺らぎが写るかな?と試したカット(映り込みではなく、塗膜にかすかな紋様が見えると思います)。液晶を見てニンマリ。フォーカスが失われていくその様も艶めかしさを感じます。


PHOTO YODOBASHI

ライカらしい、孤高の標準レンズ

欠点らしき欠点は見当たらず分かりやすい派手さもないのですが、なんとなく手が伸びてしまう、そんなレンズだと思います。実はこんなレンズは少ないのです。たいていこんなレンズは等倍で見ると息を呑む描写なんですよね。ライカSL用の標準レンズにはF1.4のSUMMILUX 50mmが既に存在します。開放F値の違いはあれど「半段」。価格も(もはや)大差ありません。このレンズの”並び方”が実にライカらしいというか、なんというか。どちらかわかりやすく「お求めやすく」といったわけではありませんから。はっきりしていることはどちらを選んでも間違いないということ。ただどちらかを選べと言われれば、APO-SUMMICRONを手に取る気がします。

( 2019.10.18 )




Loading..

Loading..

Lマウント向けのアポ・ズミクロンはこの50mmで4本目。これ以上ない最上級のレンズ、揃えてみたくなりますよね。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..

Loading..

Loading..

大切なレンズの前玉をしっかり保護してくれるUVフィルター。高価なフィルターには高価な理由があります。

価格:Loading..(税込)

Loading..Loading..)

定価:Loading.. | 販売開始日:Loading..

Loading..