LEICA X2 実写レビュー

メーカー自身によるティーザー広告と、世の中を駆け巡る新製品のうわさ。"Mini M"と称して発表を予告してきたカメラが、いよいよ登場しました。
その名も「X VARIO」。ズームレンズを搭載したレンズフィックスのデジタルカメラです。Mマウントレンズを装着できるボディを期待していた方には少々肩透かしかもしれませんが、その名前からも「X2にズームレンズをつけたもの」という理解ができますよね。LEICA X1/X2はコンパクトなボディにAPS-Cセンサーを搭載し、高品位な画を生み出すミニマルなカメラとして、M型ライカをお持ちの方にも愛用されてきたものと思います。この画質はそのままに28mm-70mm相当というズームレンズを手に入れたボディとすれば、これひとつで標準的な画角を抑えるオールマイティな1台と考えることができます。単焦点レンズの世界に慣れていたライカユーザーに、ライカが提示した新しい世界。気にならずにはいられませんよね。

( 写真:A.Inden / 文:M.Ishizuka )

まずはボディの外観から見て行きましょう。バルナックライカを彷彿とさせたX2に比べ、軍艦部のラインはM型ライカに近いラインとなりました。Leicaエムブレムが右肩に配置されているのも同様で、スッキリとしたデザインはライカらしい仕上がり。搭載されるレンズ「VARIO-ELMAR 3.5-6.4/18-46 ASPH.」も絶妙なサイズに収まっている印象です。

X2と並べてみると、基本的なインターフェイスの配置は踏襲されていることがわかります。ムービー用のボタンが追加され、右手親指の位置にダイヤルが配置されました。レンズは前方がズームリング、手前がフォーカスリングとなります。マニュアルフォーカスの無限遠からさらに回すと、AFモードにスイッチするという機構。X2より少し大きなボディとなりましたが、このサイズによくまとまっていますよね。

実際に手にしたイメージは、このような具合。一般的な一眼レフカメラより小型であることはもちろんですが、M型と比較しても軽量で取り回しがしやすく、両手で構えるとレンズ含めてしっくり来ます。カメラというのは小さすぎても撮りにくいところがありますから、このあたりが丁度よいラインなのでしょう。

 

それでは実際に撮影したカットを見て行きましょう。X2でも感じたことですがJPEGのスタンダードな画は実に渋い色合いで、これだけでもライカを手にする意義を感じてしまうポイント。輝度差の大きいシーンですが、シャドウに落ちてゆく服のトーンが素晴らしいですよね。

X2譲りのセンサーで描写は緻密。等倍で見てキレキレの描写というわけではないのですが、一枚の画として眺めてみると見事なリアリティで被写体が迫ってくるようです。隅々まで破綻なく、よく設計されたレンズであると感じます。

ワイド端28mmで、スローシャッターを狙ってみました。歪曲はよく抑えられていて、気持ちのよい直線を感じることができます。

赤も黄色も分離しやすくデジタルでは表現の難しい色味ですが、ペイントの質感がしっかり表現できました。アンダー目で上手く画がまとまり、被写体の質感を際立たせてくれます。シャドウに浮かび上がる金属の質感もいいですね。

シルバーの車のサイドラインを強調するようにアンダーで撮影してみると、ゾクっとするほどの描写が得られました。このような条件は露出オートで決めるのが難しい場面ですが、使い込んでいくと自然にマニュアル撮影に移行できていることに気づきます。フォーカスも絞りもシャッタースピードも指先ひとつでマニュアル設定できるので、慣れた方には自然にコントロールできるようになるでしょう。このあたりの道具としての考え方は、やはりライカらしいと言えるでしょうか。

日本の風景も切り取り方でヨーロッパのような雰囲気に。降り注ぐ光も空気の湿度も異なる場所で、瞳の色も異なる人々が作ったカメラですから、日本のメーカーと目指すものが違っていても不思議なことはありません。ドイツ生まれの遺伝子を、おおいに楽しんでみましょう。

決して明るいレンズを搭載したカメラではありませんが、センサーの大きさもあって写真に自然なボケと立体感を添えてくれます。紫陽花の描写、いかがでしょうか。少し絞ることで立体感も出てきます。

広角から中望遠までズームが使えるというと「なんて便利なんだ」と思ってしまうのがライカユーザー。一眼だったら普通だよなんてツッコミは野暮というものです。これだけコンパクトで、これだけ写るのですから、素直に驚いてしまいますよね。テレ端も隅々まで安心して使える写りです。

70mmでの最短撮影はこのような具合に。クローズアップ撮影が楽しめることに感激してしまうのは、長いことM型ライカを使ってしまった後遺症のようなものでしょう。前後のボケ味もスムースで、自然ですよね。

こういった街角の一風景を、いい雰囲気で切り取ってくれるカメラだと思います。デフォルトでは眠くなりがちなJPEGの画ですが、X VARIOの画はきちんとコントラストを付けて黒が引き締まっていますよね。コントラストと階調のバランスが絶妙なのだと思います。

なんてことのない被写体なのですが、しっかりピントを合わせたときに得られる解像感・立体感は見事です。夏の海辺を思いださせるような襟首のシワが、よく伝わるでしょうか。

スポットライトの中に人が横切るのを待って撮影。マニュアルフォーカスで光っているポイントにピントを事前に合わせて、シャッターチャンスを逃がさないようにしています。モノクロフィルムモードで撮影しましたが、コントラストの強い場面にも豊かなトーンが残り、文句なしに格好いい仕上がりになりました。これでJPEG撮って出しですから、いやはやお見事というほかありません。

 

スペックだけを見れば比較的地味な印象を拭えなかった本機。実際に使ってみると、まずその写りに心を奪われてしまいました。ライカらしい画作りと、うまく撮影できたときの溜息の出るような描写。ライカX1/X2をお使いの方なら想像がつくかもしれませんが、ハマったときの画には本当に目を見張るものがあります。1台1台がキッチリとチューニングされているレンズ固定式であればこそ、この品質を担保できるのでしょう。少し暗いかな?と感じたレンズも、ボディサイズとのバランスや実際の写りを見れば、至極納得いくものでした。むやみにボケ量の多い写真ではなく、絞って被写界深度を稼いで撮る画の質の高さに、改めて「写真とはどうあるべきか」を考えさせられるところがあります。

フルオートで使っても十分に楽しめる機種ですが、マニュアル操作にスムースにシフトできるインターフェースが良くできていて、気がつけばマニュアルモードでの撮影が主になりました。このカメラに興味をお持ちの方なら、自分の手で露出やピントをコントロールする楽しみはご存知のはず。利便性を高めながらも道具としての本質を忘れないのは、ライカらしいモノ作りの姿勢と言えるでしょう。その使い勝手についてはX1/X2に通ずるところもあり、使い手を試すようなところがないわけではありません。このあたりは「ライカだしね」なんて笑って使える方々に、使いこなす面白さを含めて(覚悟して!?)手にしていただきたい、そんな風に思います。画面の隅々まで神経を使い、露出もピントも追い込んで使ってみてください。手間を惜しまず使えば、それに見合う画が待っています。

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画を見るとちょっと手を出したくなりませんか? 貴方が買わずに誰が買う。ライカの生み出した新しいプレミアムコンパクトを、どうぞお確かめください。

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専用レンズフードもあります。レンズの保護目的にも、ぴったりですね。

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ホールド感を増すハンドグリップもラインナップ。こういったオプションの存在がうれしいですよね。

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一体感のある撮影にはぜひEVFを。撮れる写真が変わります。

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つけたまま撮れる速写ケース。ボディの保護もありますが、格好いいですよね。

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キャリングストラップも併せてどうぞ。ブラックです。

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こちらはコニャックの速写ケース。悩ましい選択です。

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コニャックのキャリングストラップはこちら。どちらにしましょうか。

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