LEICA X-E (Typ102) | SHOOTING REPORT

斬新なシルバーカラーのレザーをまとったフルメタルボディ。ブラックレザーモデルが多くを占めるライカですから、ひときわ目を惹きます。どちらかというとカジュアルな装いにも馴染みそうなデザインですから、ファッションアイテムのひとつとして毎日連れ歩きながら、気の向くままにシャッターを切る…。ちょっと贅沢な想像が膨らんでしまいますよね。企画から製造に至るすべてを、ドイツで行なっている証である「MADE IN GERMANY」という刻印にも心をくすぐられます。フィルムのM型ライカとほぼ変わらぬ厚みのコンパクトなボディながら、有効画素数1620万画素となる大型APS-Cサイズのセンサーを搭載。デジタルカメラはなんだかんだ言っても、センサーサイズがものをいうわけで、吐き出す画の奥行きというか厚みにその威力が表れますから。そんな懐の深いセンサーへと、光りの情報を余すことなく届けるレンズは「エルマリートf2.8 / 24mm ASPH.」。35mm判換算で35mmあたりの画角になるわけですが、このちょっと広めの画角が結構普段使いには重宝するのです。風景スナップはもとより、あまり引きの無い場所でもフレームし易いですしね。LEICA X-Eという新しい選択肢。ライカファンのみならず、ちょっと気になるカメラだと思います。

( 写真:A.Inden / 文:KIMURAX )

“写真”を撮るためだけに。機能はシンプルに。

カメラ全般に言えることですが、フィルム時代に比べデジタル時代になってからというものその機能は多機能を極めてきている感があります。新製品なのだからと、なにかしら目新しい機能があっていいはずだと(もちろん筆者も含め)当然のように期待を寄せてしまうわけです。ところがこちらのLEICA X-E、そんな期待をいい意味で裏切ってくれます。背面の2.7型液晶モニターに映し出される設定画面は、メニューが1ページのみ。多機能化の著しい国内メーカーのデジカメを使い慣れている方でしたら、そのシンプルさに恐らくきっと驚かれることでしょう。もちろん動画撮影機能だってありません。それもすべては、“写真”を撮るという明快なミッションを遂行するため。必要な機能だけに絞り込み、撮影に集中しやすい操作環境をユーザーに提供しているのだろうと、勝手に想像するわけです。シンプル・イズ・ベストとはよく言ったもので、誰もが扱いやすい “道具”こそが、多くの人から支持され長きに渡り使い続けられるのだと思います。ライカというメーカーのものづくりへの思想が貫かれた1台を手に、被写体をフレームすると実に心地よい。1枚1枚を丁寧におさめたくなります。単なる道具にとどまらない、楽しさと緊張感をもらしてくれます。

黒塗りのボディが暗く落ち込んでいくという、ちょっと手強そうな被写体をフレームしてみました。すっと通ったプレスライン、艶やかな塗装感。そして流麗に歪められた映り込みまで忠実に再現しています。サイドのフェンダー周りも、ペタンと黒潰れしてしまってもおかしくないような所ですが、きちんとトーンが残っているあたりはさすが。大型センサーらしい豊かな階調表現を見せてくれます。

パンフォーカスで写っている写真を、絞り開放で撮ってみました。写真の左右にボケ味が加わったことで、中央の人たちの存在がよりハッキリと浮かび上がってくるように見えます。狙って入れた、照明の映り込みも視線誘導に一役買っているでしょうが、アウトフォーカスから立ち上がってくる緻密な写り。反射したプリント面の凸凹の再現も見事ですね。

こちらも開放の画ですが、実に立体感のある描写です。最短撮影距離30cmという数字だけを聞くと、もうちょっと寄れたらと思うこともあるでしょうが、ご覧の通りなかなかしっかりと寄れていますよね。眠っているのでしょうか、それとも考え込んでいるのでしょうか。シャドーに沈む、屈託の無い表情を優しく描き込んでいます。

心が動いた光景にカメラを向けて、スッとシャッターを切る。カメラ自体の重量ばかりでなく使い心地が軽快なので、日常の様々なシーンに溶け込めるカメラであると思います。1枚1枚丁寧にじっくりと撮影すれば、持ち帰った画にきっと驚きを覚えるはず。ほのかに光をうける階段の手すりなど、静謐なその場の空気が伝わって来るようですね。

雨あがりは艶やかな光に溢れて、普段見逃している被写体も魅力的に写ります。しっとりと水分を含んだ竹垣がまるで精気を取り戻したかのように見えて、1枚シャッターを切りました。ぶら下げていてもポケットに入れていても丁度良く、気楽なお散歩スナップにはうってつけのカメラですね。

鮮やかで細かな被写体、ディテールの表現はさすがですね。今回はRAWで撮影してじっくりと現像も楽しんでみましたが、「フイルム設定」と称される画作りは実にライカらしく、ポジフイルムで撮影するような気分でJPEG撮影をするのもおすすめです。ナチュラルは彩度を抑えた "渋い" 仕上がりで、このあたりは国内メーカーとは明らかに考え方が違うようですね。それぞれの国で光が異なるということも影響しているのだと思います。

M型ライカと比べるものではないのですが、被写体に近づける(あるいは近すぎることを気にしないでよい)という点は、むしろX-Eに使い勝手の良さを感じるポイントです。こういった被写体なら、拡大するファインダーを見ながらMFでじっくりピントを追い込んで撮影するのが良いでしょう。御覧頂いたように画質については心配ご無用。傑作を撮ろうなんて構えずに、気の向くままにパチパチとシャッターを切ってください。

 

手のひらに最高のスナップシューターを。

ルックスは大きくイメージチェンジしましたが、基本コンセプトはX1/X2から変わることはありません。手によく馴染む絶妙サイズのボディにAPS-Cセンサーと35mm相当の単焦点レンズを搭載し、お散歩から旅行までスナップ撮影には最高のパッケージだと思います。AF速度をはじめとする本体のレスポンスも良くなっており、カメラ任せで撮影をしていても問題ありません。ダイヤルで直感的に操作できるインターフェイスが良く考えられていて、慣れていくほどに思い通りの撮影ができると思います。日中なら絞って被写界深度を稼ぎ、MFピント固定によるスナップなんていう使いかたもいいですね。バルナックライカの気分で最新のデジタルライカを使う。そんな粋なユーザに、使いこなしていただきたいカメラです。

( 2014.09.27 )




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小さなボディに凝縮された性能とデザイン。撮る楽しみと持つ悦びを高い水準で両立してくれるカメラです。

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液晶モニターを多用するカメラですので、スペアのバッテリーは持っておいて損はないと思います。

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X-1、X-2とも共用の光学ファインダー。デジタルカメラだって、液晶に頼らなくとも撮影が愉しめるのです。

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お散歩には気軽に持ち出せるハンドストラップで。

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光学ファインダーの他にEVFもラインナップ。ローアングル撮影にもおすすめです。

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本格的なグリップもご用意しています。

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