LEICA X (Typ113) | SHOOTING REPORT

プレミアムコンパクトであるXシリーズの新製品が登場しました。その名も「X」ということで、シリーズの顔となるモデルになるでしょうか。X1/X2と同様に135フォーマット換算で35mm相当の画角になりますが、こちらは搭載するレンズがズミルックス f1.7 23mmという大口径レンズ。APS-Cサイズのセンサーを搭載するレンズ固定型カメラとしてはもっとも明るい部類となり、そのレンズによって生まれる世界に期待が高まります。従来通りF2.8のレンズを搭載するモデルは "X-E" としてラインナップされるわけですが、特に画角を変えてこなかったということにライカのコンセプトが感じられると思います。

( 写真:K / 文:48 )

まずは開放の画からご覧いただくとしましょう。期待通りと言いますか、一見してレンズの優秀さを感じることができます。第一印象として感じることは、JPEGの彩度が格段に上がったこと。元々X2などが大変に "渋い" 写りをしていたということがありますから、どちらかというと「標準的になった」と表現したほうがよいかもしれません。とはいっても派手な色やカチカチのコントラストということではなく実にライカらしい画作りで、多くの方にとっては使いやすくなったはずです。「あの色が良かったんだよなあ」という方は、設定画面から「フィルム選択」で「ニュートラル」を選べばOKです。どうぞご安心ください。

こういった距離感でゆるやかにボケていくのは本機ならでは。開放からシャープな描写で、直線もすこぶる気持ちよく写ります。テストカットを撮影してみたのですが歪曲もよく抑えられていて、開放から積極的に使っていきたいという印象ですね。インターフェイスは従来通りで、絞りの変更はダイヤルひとつ。この直感的な操作感もXシリーズの魅力です。

元々Xシリーズには「現場で撮っているときに手応えを得られなかったのに、持ち帰ってPCで見ると想像以上によく写っている」なんていう感覚がありますが、レンズの持つ余裕というべきかX1/X2等に比べると艶のある写りが得られる気がします。トーンの出方も良いですね。レンズは少し大きいのですが全体的に見ればやはりコンパクトですし、男性にはむしろ扱いやすいサイズではないでしょうか。

やはりライカ使いの方々が多いということで、X1の時代から「MFで撮ってしまう」なんていうユーザも多かったと思います。このあたりの性能は製品としてこなれてきたというべきか、AFは大変実用的なスピードになりました。動作も全体的にキビキビしており、ストレスなく撮影できると思います。こう書くと従来モデルが遅かったように聞こえてしまうと思いますが・・・まあ速くはなかったですよね。苦笑

 

最短撮影距離20cmというのは嬉しい設計です。マクロモードにスイッチする必要はなく、そのままの使いかたで至近距離の被写体にピントを合わせることができますから、テーブルフォトなどの撮影に際してもストレスがありません。背景のボケ具合の自然さもあって、ぐっと近づくと被写体が引き立ちますよね。ちなみにクオリティ上の問題だと思いますが、最短距離での撮影では開放値がF2.8となりました。正確な距離は示されていないのですが、大体70〜80cmくらいから自動的に絞り込みがはじまるようです。

よく手入れされたクラシックカーのインパネ。うっとりするような美しさにシャッターを切ったのですが、そのままの雰囲気を切り取ることができました。車内という狭いシーンで撮影するにも、寄って画面を整理するにも、最短撮影距離の制約を受けずにすむのはとてもありがたいですね。単焦点レンズを搭載するカメラにおいて、これは重要なポイントだと思います。

多彩な表情を見せるベルトのバックル。こういったシーンも十分にこなせるわけです。質感や立体感もよく伝わりますよね。

 

外観についてもご覧いただきましょう。Xシリーズのデザインはそのままに、レンズが少し大きくなったX。無駄を削ぎ落としたフォルムはいかにもライカという雰囲気で、所有欲をしっかりと満たしてくれる仕上がりです。こういったデザインは何年経っても古びず飽きのこないものですから、長く相棒として付き合っていけるのではないでしょうか。

シャッタースピードと絞りをコントロールできるシンプルなダイヤルのインターフェイスは変わりません。シャッターボタンの右側に動画撮影用のボタンがついたのが大きな変化。今回はテストしていませんが、フルハイビジョン動画撮影にも対応しているということで幅広い使いかたができそうです。

シルバーモデルも登場。こちらはブラウンレザーでエレガントな雰囲気ですね。どちらがお好みでしょうか。

 

上質な一台を、いつも鞄に忍ばせて。

携帯性と画質を考えたとき、選択肢に上がってくるカメラというのは実は限られてくるものです。荷物を大きくできない場面や重いカメラをぶら下げたくないシーンを想像すると、おそらく持ち物としての「質」も大事なファクターになるはず。ライカXはその写り・使い勝手・デザインを含めて、大人の趣味人が手にするに相応しいカメラだと思います。レスポンスの向上や大口径レンズの搭載ということで、既存のXシリーズをお持ちの方にもきっと気になる存在ですよね。光量の乏しいシーンで活躍できることはもちろんですが、最短撮影距離が短くなっていることが撮影の自由度を大いに高めてくれますから、実はガンガン写真を撮る方にぴったりのカメラ。実際ライカ使いの方ほどカメラを道具として使い倒されると思うのですが、M型では撮りにくいシーンや日々持ち歩くことを想像すると、Xが活躍するシーンは少なくないはずです。お気に入りの万年筆を選ぶように、じっくりとご検討ください。このカメラだからこそ持ち歩きたい気分になって、持ち歩いているからこそ撮れる光景があると思います。

( 2014.09.27 )




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ライカはブラックに限る、なんて方も多いのでは。凜々しいですよね。

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シルバーもカッコいいです。いや、カッコいいなんて安っぽいコトバでは言い表せない風格があります。

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EVFはLEICA Tと共用いただけます。GPS受信機内蔵です。

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スペアのバッテリーもお忘れなく。

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ストラップを交換してカバーを着ける。そんな提げ方も粋ですよね。

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シルバーにはこちらも良く似合います。どちらにするか悩んだら、両方どうぞ。

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使い込むほどに受けるキズや変色、それさえも愛着になります。

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速写ケースも2種類です、もちろん。

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VISOFLEX用にもお揃いのケースをどうぞ。

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いっそ全部揃えてしまおう。そんな気になりますよね。

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